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私たちは誰かの「美の基準」に振り回されていないだろうか?
たとえばピカソの絵。
ピカソの絵を見て、感動する人もいれば、
「なんのこっちゃ」
と首をひねる人もいる。
私は後者。
たとえば中学時代。
友達はみんな(旧)ジャニーズに夢中だったけど、私は、まったく興味がなかった。
「キムタクがちょ~カッコイイ!」
と力説されても、キムタクのカッコよさがわからなかった。
でも、それで怒られたことはない。
ピカソの絵の良さがわからなくても、
キムタクのカッコよさがわからなくても、
誰にも怒られたことはない。
「美」の基準やモノの良し悪しはきわめて主観的なものだから。
私は富士山が世界で一番美しい山だと思っているけど、広い世界から見たら、そう思わない人もたくさんいるだろう。
「オーストラリアのエアーズロックの方が世界一美しい」
そう主張する人もいる。
「美」とはそういうもの。
見る人の知識や経験、感覚、感情・・・
あらゆるものが重なり合って「美しさ」を感じる。
なのに、なんで容姿に関しては「美」の基準が画一的なのだろう?
SNSやネットニュースを見ると、いたたまれない気持ちになる。
ガッツリ加工した写真。
称賛されている人たちは、みんな似ている。
大きな目、細い顎、白い肌、細くて長い手足、そして小顔だ。
これを言ってしまうと、おばさん認定されると思うけど、
(生物学的には立派なおばさん年齢でもあるから否定しない)
最近の若い子のグループって見分けがつかない。
もっと言ってしまうと、日本人か韓国人かもわからない。
みんな同じにしか見えない。
私がおばさんになったからなのかと、
この間、TVでまじまじ見てみた。
ちょうど女性のグループが出ていたので、
見比べてみた。
7人くらいいたと思う。
なんとなく、ちょっとずつは違う気がするけど、歌い始めると、見分けがつかなくなるのだ。
やっぱり似てる・・・。
長い髪の毛、細くて長い手足、小さな顔、クリっとした目・・・
たしかにかわいいんだけど(男女問わず)、
でも、もっと色々いてもいいんじゃないかな?
街を歩けば、みんな違う顔をしている。
あなたの周りもそうでしょ?
顔も違えば、体型も違う、ヘアスタイル、
肌の色・・・
みんな違う。
それが普通だ。
なのに、ネットやSNSは似ている人たちが称賛される。
そして、それに憧れて、メイクを真似したり、中には工事をしてしまう人までいる。
昔よりはマシになったけど、それでも未だに「痩せ信仰」は根深い問題だ。
K-Popアイドルを真似て、食事制限している小学生がいるとも聞いたことがある。
なにかに憧れることはいいことだ。
でも、SNSを見ていると、あまりにも外見にとらわれ過ぎているんじゃないかとも思う。
しかも、誰かが作り出したファンタジーに。
今、流行っている、目が大きく、顎が細く、色が白く(加工しすぎると宇宙人になる)・・・の基準は、きっとどこかの誰かが生み出したものだろう。
本当は目が大きかろうが、小さかろうが、
美には関係のないこと。
なぜなら、美の基準は人それぞれ。
細い人が美しいとされる文化もあれば、
ふくよかな人が美の象徴とされる文化もある。
美の基準は主観的で多様なのだ。
「こうでなければならない」というものはない。
だからこそ、思う。
せめて自分だけは、自分にOKを出したい、と。
私にも自分の顔を気にしていた時期がある。
「鼻がもう少し高くて、鼻先が尖っていたら・・・」
私の鼻先は丸い。
だからマンガの主人公のようなツンと尖った鼻先に憧れた。
実際に洗濯ばさみを鼻につけて寝たこともある。
(洗濯ばさみを鼻につけて寝ると、鼻が高くなる説があった←昔ね)
もちろん、洗濯ばさみを鼻につけて寝たところで、変な跡がついて痛かっただけで、
鼻の高さは変わらなかった。
大学時代は浅野温子さんに憧れて、眉間にテープを貼って寝ていた。
(目尻を引っ張るとつり上がった目になる説があった←昔ね)
でも、皮膚がかぶれただけで、目はつり目にはならなかった。
どんなに小細工しても、私は私。
そう思ったら、コンプレックスの丸い鼻先も、特徴のない目も、それはそれでいいんじゃないかと思えるようになった。
一生懸命、自分の顔に小細工していたころから、年を重ねた。
あの頃、めっちゃ気にしていたことは、
今は気にならない。
なぜなら、私は年を取った。
年を取れば、色々なものが変化する。
当然だけど、顔も10代後半のままではない。
おでこや目尻にシワもできた。
そして、顔そのものも変わったと思う。
この間、大学時代の写真が出てきた。
今と違う顔をしていた。
顔そのものというよりは、
全体的雰囲気や表情。
ずいぶんと穏やかそうになったものだ。
年をとって険しい顔をしているよりも、
穏やかそうな顔の方がいい。
だから、50代の今の顔はいいんじゃないかな。
もちろん、誰かと比べると見劣りするところはあると思う。
でも、あくまでも自分が基準。
誰かが作った流行や、誰かの美の基準ではない。
自分自身の美のフィルターを通して見たときに、自分で納得できる自分だったらOK。
それって最高じゃん(by「ちいかわ」ハチワレ)。
自分だけは、いつも自分のことをちゃんと見ていてあげたいと思う。
自分が毎日、一生懸命に生きているのを知っているのは自分だけなのだから。
あなたはどんな美しさを大切にしていますか?