恋刀 皆

はじめまして、やっとかめノシ こひなた みなと申します。無言フォロー失礼いたします。僕はせかい、せかいは僕、そして自称、迷子のプロ。基本的に自身の創作に一意専心。皆様の記事のお役には立てませぬ。あなたのお陰で生きています。どうかよろしくお願いいたします。ありがとう、愛してる!i

恋刀 皆

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  • OD!i

    恋文おとぎ話開幕。

  • ✕〇!i

    普通以上、普通未満の人々が繰り広げる。やはり普通の物語です。

  • 開幕前夜

    はじまるまえのしずかなとき。

最近の記事

『OD!i』第70話「精神への旅路⑤」

「…………、ふぅ……」  疾走回路はなんでも可能にしてくれる能力ではありません。 元々の素養が足りない今のあたしでは、宝の山も持ち腐れです。  つまり、どんなに疾走しても、 あたしの素養から、解に至れない問題は、 取捨選択される中で取り零されて行きます。  今日の休日は、 無駄どころか大いに実りのあるもので御座居ましたが、 あたしのお借りした全ての書籍に対する理解は、 三割が精々でしょう……。 “塵も積もれば山となる”。  一粒でも多く、また迅速に、素養

    • 『OD!i』第69話「精神への旅路④」

       雁野先生がいなくなった店内であたしがしばらく物思う頃に、 それは訪れました。 ……さ……げ……ささ……捧華…達者……か……  やっと……、ようやく……! ……フルドライヴ!?……もう大丈夫なの?…… ……いや……もう数日前に……調っておったのだがな…… ……?……なんで?……どうして声掛けてくれなかったの?…… ……あたしの所為?…… ……む……それは……気にするな…… ……?……わ……分かった。…… ……だがこれだけは伝えておこう……  ど……、どっ

      • 『OD!i』第68話「精神への旅路③」

        「……は、ぁははは……」  正午を過ぎて、あたしは今、 瑞希図書館近くの喫茶店【CookPelli(クックペリ)】で、 美味しそうな春の味覚のランチを目の前にしてすら、 ただ呆然としていました。  その理由は、 瑞希図書館地下書庫の広大な本棚のジャングルにまいってしまっていた為。  ……しかし、……しかし、 全ては無理でしたが必要な書籍への目星とメモはとれました。 折角の春の味覚を味わわなくては、 両親にも、お店の方にもお料理にも申し訳ない。 気持ちを入

        • 『OD!i』第67話「精神への旅路②」

           ここはこれからあたしが大変お世話になる場所。 ですから、適度な緊張感と礼儀礼節を忘れてはいけません。 外観から、お父さん達に連れて行ってもらっていた菜楽町の図書館の、 大体十倍程の大きさに感じていました。 まず一階は学習スペース、PCも使えるみたいです。 一階の本棚の量は驚くべき程のものは御座居ませんでした。  しかし大人しく振る舞い、図書館の全体構造の地図を拝見する事で、 自らの憶測を確かな情報だとすりかえて信じきってしまう事は、 本当に危ない思考だと、あ

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        記事

          『OD!i』第66話「精神への旅路①」

           あたしの今の生活には、 土曜日はなくてはならない大切な休日です。 なぜなら、月曜日から金曜日は、 やはり学園生活である事に変わりはありませんし、 日曜日には計画Aが必ず開かれるのですから。 あたしに足りない素養を高めるには、 図書館で勉強する時間が、どうしても欲しいからです。 昨夜から準備をして、今日に備えていました。  ですが今朝支度を整えていると、 学園に入学するまでの、 あたしの浅はかさを思い知らされました。  それは、毎日必要な衣類を洗濯しなが

          『OD!i』第66話「精神への旅路①」

          『OD!i』第65話「髪型②」

           清夜花に引かれて、 清夜花もあたしも、 持っていた傘を、傘立てに置かせていただきました。 決して広いとは言えない店内へ入ります。  店内全体は直角三角形の様な造りで、 壁面全体は様々な配色や動物が描かれていて芸術的。 音楽は主張の少ないイージーリスニング。  お客さんが既に一人いらっしゃって、 二人の店員さんの内の一人は、 そのお客さんに接客。 もう一人のレジに座っていた女性店員さんが、 清夜花に声を掛けてきてくれました。 「あら貴女? また来てくれ

          『OD!i』第65話「髪型②」

          『OD!i』第64話「髪型①」

           午後十六時半頃、弥那町裏通りにて。 あたしは「理美容室」という言葉を、 初めて知ったものですから、 目的地までの道すがら、 清夜花に説明を求めると、 それは単純に、 ひとつの店舗がふたつに分かれて、 それぞれ一人ずつ、 理容師と美容師が居るという話でした。  そして、 あともうひとつ気になる事が御座居まして……、 ……………… ………… …… 「清夜花? 法華さんはお元気?」  学園に来てからというもの。 清夜花と法華さんが一緒に居る所を見た事が

          『OD!i』第64話「髪型①」

          『OD!i』第63話「公衆電話②」

           お昼休み、 eとEのクラスメイト達でお食事です♪ 雁野先生と川瀬先生はいらっしゃいません。 「いただきます」 お食事の中で、 特に眼を引くのは、鯵(あじ)の開きにきんぴらごぼう♪ このごぼうは、きっと新ごぼうだ。 柔らかくて食べやすい♪ よく噛んでよく噛んで……、 「ごちそうさまでした」 ……………… ………… ……  今日はもう帰っていいそうですが、 皆さん食後からかのんびりとしてます。 皆さんだってこれからのお時間、ご予定があるはずです。 今の

          『OD!i』第63話「公衆電話②」

          『OD!i』第62話「公衆電話①」

           およそ穀雨の初候。 その名の通り、 本日はたくさんの作物へ恵みの雨が、 昨夜から降り続けています。 しかし、天気予報では、 お昼頃には止むそうです。  あたし達は今広大とは言えずとも、 広く白い清潔な保健室に遅刻者なしで、 登校しています。 菜楽荘のお家が一体何個入るんだろ……? ……………… ………… …… 「あのでけぇ6の形をしたCTみたいなのがラプラスの魔か?」 「そうでもあるがそうでもない、ラプラスの魔は和歌市のあらゆる場所に、その形を、大き

          『OD!i』第62話「公衆電話①」

          『OD!i』第61話「汝の敵を知れ②」

           杏莉子の提案も無事に終了し、 解散の雰囲気流れる矢先、 雁野先生がいつの間にかいらっしゃいました。  あたしは内心驚きはするものの、 もう一同で、 明らに動揺をしている人は居ません。 「大分よさそーだな。おまえら全体の事を言ってんだぜ? 特に早水は運にも恵まれているよーだな? おまえらの為に、精魂込めた歌坂からのトレーニング表ももらってオイラちゃん満足だ。皇? 開いてくれてサンキュ」 「いえ、こちらこそです雁野先生。恵喜烏帽子さんや神守森さんの提案が、小生を開

          『OD!i』第61話「汝の敵を知れ②」

          『OD!i』第60話「汝の敵を知れ①」

           恵喜烏帽子氏との一日から次の日。 マラニックまで、あたしは祷と一言も話せなかった。 しかし、マラニックが始まり、 共に2km程に差し掛かろうという時、 「捧華? 昨日は感情的になってすまんかったち」  祷が頭を下げてきた。 ただ今はわずかな事情を知ってしまっているから、 祷のその行為はあたしをより切なくさせるものでしかなかった……。 「ううん。いいよ祷。あたし気にしてない。女の子は体調も精神衛生管理も、男の子よりずっと大変なんだぞって、お母さんが言ってたし、

          『OD!i』第60話「汝の敵を知れ①」

          『OD!i』第59話「独裁の両眼③」

          「俺は今もまだ暗闇の中を歩いているが、ここの日々の生活の中で謙虚を学べている。学園(ここ)に来ちまうとな。幼い頃はいつもなんでも一等賞が俺の日常だった。そんな幼少の頃に出逢ったんだ。常世 祷ちゃんに。当時の彼女は引っ込み思案な子で、俺が彼女をからかう奴らから、よくかばってた」  恵喜烏帽子氏はここで会話を一旦切り、 ひたむきさを込めて、 「俺は……あの頃からずっと、祷ちゃんが大好きだったから」 あたしは凛とした声音の震えを覚える。 「今住んでいる祷ちゃんの家は実家じ

          『OD!i』第59話「独裁の両眼③」

          『OD!i』第58話「独裁の両眼②」

           同日午後一時五十分。 駅前喫茶店【YURI】。  服装には迷いましたが、 きっと真面目な相談に違いないと判断して、 カジュアルでも控えめな装いにしました。 上から祷の鉢巻、 アウターはネイビーのショート丈のテーラードジャケット。 インナーの白のロンTは、あたしのお気に入りと戒めの言葉が刻んである。 ボトムスは白のパンツ。 大切な足元は百年来から普及する定番の黒のスニーカー。 お母さんから受け継いだ丸い筒型のショルダーバッグに、 女(あたし)の秘密を詰め

          『OD!i』第58話「独裁の両眼②」

          『OD!i』第57話「独裁の両眼①」

           今朝一番の出来事は、 きるくが自動で起動し、 luv(ラヴ)-lab(ラブ)-Phone(フォン)、 llPで、 雁野先生からの複数同時通話が行われた事でした。 大切なお知らせは、 今週の金曜日に、身体測定というものがあるそうで、 ラプラスの魔があるから時間はあまり取らないそうですが、 もうひとつ、 それに合わせてあたし達全員のDNA採取も行うとの事です。 「われは人あらざる者だが、そのラプラスの魔はわれにも有効なのか?」  神守森氏の発言で、 皆さ

          『OD!i』第57話「独裁の両眼①」

          『OD!i』第56話「愚者もしくはヴァース‐コーラス④」

           帰路は途中まで三尾氏とご一緒で、 今は普段通りに明るい三尾氏が告げてくれます。 「早水はやっぱり凄いな♪ 小津店長がたまにベースで、サポートのアルバイトに入って欲しいだってな♪ わいさが今日の演奏に感動したのは本当だぜ?」  あたしは少し俯いて照れながら、 小津店長と連絡先のメモを交換させて戴いて、 内心のほくほく感♪ ……ですが、 「はい。三尾氏、正直とても嬉しいです。しかし、お金をいただけるとなれば、心を込めてお受けせねばなりません!」 すると途端に空気

          『OD!i』第56話「愚者もしくはヴァース‐コーラス④」

          『OD!i』第55話「愚者もしくはヴァース‐コーラス③」

          「……ふむ、つまりおおよそは二人共が、命に触れていられる場所。音に触れていられる場所に居たくて、なおかつ、永遠払いに甘えていたくはないという所か」  小津店長は腕組みをしながら、 しばらくして、こう仰る。 「とりあえず原則として、アルバイトには絶対に厨房に立たせない。だから君達には、接客しか今のところは選択肢はない、」 と、ここで小津店長は愉しげな笑顔で間を置き、 次の言葉を仰る。 「が、だ。君達には音楽への興味がある。そして、僕はこの店の長(おさ)だ。新たな才能

          『OD!i』第55話「愚者もしくはヴァース‐コーラス③」