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妄想レビュー返答|「音缶」

こちらの企画の作品です。


いぬいさんの妄想レビューにジユンペイさんがアンサーソングで返答してくれたので、さらにイラストと文章で返答しちゃいます!



⬛︎いぬいさんの妄想レビュー⬛︎

無人駅での出来事なのですが、ひとつの「缶詰」をきっかけに、物語は意外な展開へと発展していきます。登場人物が繰り広げる会話もユーモラス。掛け合い漫才っぽいテンポがクスっと笑えます。最後は大団円なので、ほっこり爽やかな読後感です。

ジユンペイさんのアンサーソング


「音缶」


「あーーっ!! もう最悪だよ!!」

 僕は我慢していた怒りを声にのせて叫んだ。無人駅に響く自分の声に少しドキリとして周囲を見回すが、誰もいない。ホッとして長いため息をつく。

 いつもそうだ。あいつが悪いのに自分ばっかり可哀想な顔して言い訳ばかり。マジでムカつく。あいつの顔を思い出し、またイライラする。足元にあった缶を少し控えめに蹴飛ばした。壁に当たった缶は想像以上に大きな音を立てて転がった。またドキリとして、そろそろと缶を拾い上げる。

 なんだこれ? 缶詰? ラベルには『音缶"痴話喧嘩"』と書いてある。意味がわからない。誰かのイタズラ? リングに指をかけ、開けてみる。......なんだ。空っぽじゃん。音もしないし。何だか気が抜けてベンチにどっと座り込む。

 そこへ一組のカップルが駅に入ってきた。二人が隣のベンチに座るのを横目でチラリと見る。女の方がなにやら不機嫌そうだ。男のへの字眉に少し同情したが、知らん顔知らん顔。ポケットからスマホを取り出し、Twitterをチェックしようとしたその時ーー。

 カンッカラン......缶が転がる音を合図に音楽が鳴り出した。女も同時に喋り出す。


「いたっ!さいあく!え、ちょっと!服、ぬれちゃった。あんたが空き缶ぶつけるからでしょ!もう本当にやめてほしいわ!」


「え~っ。ごめんて~そんなにおこらないでよ~わかったから!
うん、おれがわるかったよ!」


「あんたいつもあたしのこと邪魔ばっかするじゃないよ!あーもうほんといやだ!
マジで今回は弁償してもらうからねタダで済むと思うなよ!
チョー汚れてるし、まじさいあく!」


「でもさ
俺のせいにばっかしないでよ
君も少しは、その、反省したら?
(あ、いやなんでもない)
本当、今の独り言だから」

女(ブチギレ)
「あ~?あ~?ほざいてんじゃねぇよ。
あたしが困ってるときはいつもあんたに原因があるって言ってんのよ!
もう!
やってらんないわ
そもそもあんたがこんなところで缶ジュースなんか飲んでしかもこんなアホみたいに甘ったるいカフェオレなんか飲んでさ男のくせにそれでそのままその辺にほっぽらかしといたのがいけないって言ってんのなんでわかんないのまじでおかげさまで服だけじゃなくて体までびしょびしょじゃないあたし

あっ

あれ

ごめん

カフェオレ飲んでたのあたしだぁ~~」


(※ジユンペイさん記事抜粋)



 女が喋り終わると同時に音楽も終わる。僕は
ただただポカンとして、足元の缶詰を見つめる。しかし、そこにあるのはラベルの剥がれた錆びた缶詰だった......。

 缶詰からカップルに目を移すと、あんなに不機嫌だった女はケラケラと楽しそうに笑いながら、到着した電車に男と共に乗り込んでいる。慌てて僕もスマホをポケットにしまい、電車に駆け込んだ。

 何だったんだ......。ぼんやりした頭は全く役に立ちそうにない。ただ、さっきのイライラはどこかに吹き飛び、少し晴れやかな気持ちになっているのは間違いないのだった。



ほっこり爽やかにはならなかった〜💦
ごめんなさい🙏💦

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