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『月夜の詩集』

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私の投稿した詩を集めてあります
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記事一覧

【詩】「 詩ノ色」#色見本帖

詩を書こう 心に頼りなく浮かぶ小さな雲を文字に 頭の中を高速で巡る信号を文字に 過去に忘れてきた記憶を文字に 叶わないと思っている未来の夢を文字に 今の悲しみを 今の幸福を 文字に 全部文字にして 詩を書こう そこに現れる詩の色は 透明でキラキラと 光と空気と水を湛えて のぞきこめばその底には どんな色も沈んでいる やがて 浮かんでくる 詩ノ色 三羽烏さんの企画に参加します🌈✨ 三羽さんよろしくお願いします✨

【詩】誰もいない街を飛ぶ

せっかく飛んでいるのに 街には誰もいない 下の道路をみても ビルの窓をのぞいても 誰もいない 黒猫もいない 鳥もいない 私だけ一人 空中に。 目印は黄色い旗 それがあの人がいる場所を告げる あの人って誰? あの人? 私に”あの人”なんていない 叫びながら空を飛ぶ 誰もいないんだから 思い切り大きな声で でも私、大きな声が苦手だから そよ風ほども声もでない そのまま日が暮れてしまう 街は月に呑まれてしまう 星も月に呑まれてしまう 私も月に呑まれてしまう さようなら 誰も

詩 ” 秋と本物の幸せ ”【シロクマ文芸部】

秋と本物の幸せを手に入れたくて 私は夏から逃げ続けた 逃げても逃げても夏が終わらない 暑い 暑い 辛い どれだけ汗をかいただろう どんなに辛かったことか やっと秋が来た あとは本物の幸せが欲しい 何が本物の幸せだろう 電気の力を借りずに 汗をかかずに過ごせる涼しい時間 ぐっすりと眠れる夜 いやな夢に泣かないで 幸せな夢のない睡眠 ひとつ ふたつ みっつ やっと本物の幸せを手に入れた 布団をはねのけて ペンを握る 小牧幸助さんの企画に参加します

【詩】魔法のかかった時間

海辺の町であなたと過ごした 秘密の時間は魔法の時間 魔法の時間に話したことには 魔法がかかる 夢、希望、過去、胸の奥の悲しみ 取り出してテーブルに並べた 宝物も並べた 見えないカードが私たちに告げる 夢は叶います 必ず いつか 近い未来に 宝物を握りしめて歩いて行こう 叶った夢の中でまた会える 新しい魔法の時間がそこで待っている

詩のような短編 ” 風の色 ”【シロクマ文芸部】ピアノ曲付朗読

今回は先日”つるさん”に作って頂いたピアノ曲に合わせて朗読しました。良かったら聴いてみてください✨ 風の色をその人にたずねてみると 「金色」 と答えた。 「じゃあ昨日の風は?」 「銀色」 「一昨日の風は?」 「虹色」 「明日の風は?」 「黒」 私は息を飲んだ。 それまでは一つずつ答え合わせをするように、それぞれの日を思い浮かべていた。 昨日は静かな美しい日だった。細かな雨が音もなく降り、町を銀色に染めていた。風は姿を見せぬように建物の間をすべっていた。 一昨日は虹をみた。大

【詩】投げた言葉とナズナ

わたしが投げた言葉が そこらじゅうに落ちて散らばっている あなたに受け止めてもらえなかった 答えを返してもらえなかった  そんな言葉が落ち葉に埋もれて 土になりかけている もう言葉は どこにも誰にも 投げるのをやめよう 自分の胸の中で 一人で投げて 一人で拾う 投げていいよ 僕が返してあげる そういってナズナが生えた ハートをたくさん付けている 僕を摘み取って良いんだよ ハートをひっぱって 鳴らして良いんだよ しゃらしゃらと やさしい音を君に届けるから 一人じ

【詩】いなくなったアヒル

ああ、思い出した 昔は確かにこの池にアヒルたちがいた 池ではない、池のほとりに白いアヒルたちがいて 私の小さな息子をクチバシでつついて泣かせてしまった いつのまにかいなくなったアヒル いつのまにか大きくなって 遠い街に行ってしまった息子 私は一人でアヒルのいなくなった池の周りを歩く 今では黒い鵜が不格好に羽を広げて乾かしている 空にはユリカモメが不吉な渦を巻いている いつかそこに吸い上げられてしまいそう

【詩】つぶつぶ

おはぎを食べた お米のつぶつぶ 小豆のつぶつぶ 浜辺を歩いた 砂のつぶつぶ 飛沫のつぶつぶ 掃除機かけた 汗のつぶつぶ 埃のつぶつぶ 愚痴をぶつぶつ 涙をぽろぽろ お散歩てくてく 夜空に星が つぶつぶきらきら つぶつぶな毎日が つぶつぶ過ぎてゆく 私もつぶつぶ つぶつぶと暮らす *考えましたがやはりスタエフのリンクは末尾に置きます。 私は文章を書くためにnoteを続けているので、希望としては文章をまず読んで欲しいです。読みながら、読む人ごとのイメージを浮かべてもらい

【詩】種を手に入れた

お話の種を手に入れた 心に埋めておこう いつかその固い殻が割れて 見たことのない芽が出てくる お話がするすると ジャックの豆の木みたいに あの可愛い白い雲が浮かぶ空まで 伸びていく

詩 ” 流れ星をあなたと ”【シロクマ文芸部】

流れ星を あなたと一緒に待っている 満天の星空の 遠い山のキャンプ場で寝転んで でもいくら空を見上げていても 星は流れなくて そのうち うとうとしてしまう あなたの隣が嬉しくて ついうとうとしてしまう あ、というあなたの声で目をさまし でももう星は流れて消えてしまっている そんな夢も あなたも 消えてしまっている あ、と言ったのは私 一人で寝ている私 また目を閉じる 流れ星がみえた *山根あきらさんに朗読して頂きました✨  ぜひお聴きください

コラージュをするように

コラージュをするように 勝手なエピソードを人生に切り貼りすればいい 好きな時期に好きな出来事を。 好きな時期に好きな人を。 何もなかった時期に素敵な出来事を 友だちがいなかった時期に友だちを。 おしゃれな服がなかったときに すてきなワンピースを着た自分を どこからでも切り抜いてきて 好きなところに貼ればいい。 なにかの上に貼り付けてしまってもいい。 青い空がみえる あの屋上にいるのは私 リコーダーの音が聞こえる 吹いているのは私と彼女 放課後の教室でいつまでもおしゃべりしてい

星は空の点字、誰か読めますか

夜空に散らばった星は点字かもしれない 何と書いてあるか誰か読めますか? わたしには読めません 砂浜に埋まり波に洗われている小石 これも点字ですか? 足うらで踏んで読むタイプの。 これはきっと海からの伝言。 声がしない 人工の音もしない そんな夜の中に言葉があふれている または一人歩く自分の中からあふれてくる

手のひらに月と星の金平糖

あなたの手のひらを開いて何か乗っていますか 何も乗っていないその手のひらを ぎゅっと閉じて目も閉じてゆっくり5秒数えて 2秒かけてゆっくり手のひらをまた開いて そうしたらそこに私が入れておいた小さな金平糖が一粒 月や星の欠片でできた冷たいその金平糖を 急いで飲み込んでおなかの中に入れて。 そうしたらずっとおなかの中で氷の粒のように ひんやりとひんやりと光って いつまでもいつまでもそこで光って あなたを励まします。 あなたが元気になるまでおなかの中で光ります。 あなたが元気に

優しくされるとチョコレートが溶ける

周りに何人も優しい人がいて 悲しくなったときに それは悲しいねとか それはかわいそうだったねと 優しい言葉をもらえると 泣きそうになったり 泣いてしまったりして 今まで平気だったことに 涙が出そうになってしまったり出たりして 弱い気持ちの自分にびっくりするから 泣くような弱い自分はいやだから どうしようと思う。 今まで苦いチョコレートを塗って それがかたくかたくかたまって しっかりと守っていた チョコを溶かしてはいけないから。 チョコレートはあたたかいと溶けてしまう チョコレ