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VUCA時代に必要な資質能力を育てる授業__Vol1010


1 商店街の工夫


┌<引用>────────────────
全国では1990年代ごろからピンチになります。
大型スーパーや巨大モールが郊外にできます。
その影響で商店街は「シャッター通り」になりました。

【谷和樹の教育新宝島】vol.41 / Part1 2024年9月13日発行 
今週の向山実践 「商店街の工夫」編集/発行元:向山洋一教育技術研究所
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2002年「第1回まちづくり教育シンポジウム」で行った地元商店街の授業を思い出しました。

まさに「シャッター通り」を扱った授業でした。
*地元商店街の写真を提示
発問 これは、何時の写真でしょう?
発問 これは、日曜日の午後3時のようすです。どんなことを思いますか?
説明 日曜日ですが、お客さんがあまりこないので、シャッターを閉めているお店があります。
   やめてしまったお店もあります。

まちづくり教育シンポジウムに参加し、教師として、まちづくり教育に貢献したいという思いが強まりました。
続く谷氏の言葉を読んでハッとしました。

┌<引用>────────────────
でも、最近はまた状況が変化しています。
地方の商店街をもういちど元気に!
そんな動きがたくさんあります。
地元でがんばっている商店街はありますか?
あるなら、ぜひそれを教材にしてみましょう。
令和時代ならではのお店の授業ができると思いますよ。

【谷和樹の教育新宝島】vol.41 / Part1 2024年9月13日発行 
今週の向山実践 「商店街の工夫」編集/発行元:向山洋一教育技術研究所
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本当です!
地元に、がんばっている商店街があります!
商店街を歩いていると、町の活気が感じられます。
様々なイベントが開催されています。
何より、商店街の方々、そして地域の方々が楽しそうなのです。


2 「納得解」を生み出す力



向山氏は9月に行うこの「商店街」の授業の伏線を1学期から張っていたことを知りました。
子ども達に「商店街における多様な体験をさせていました。
子ども達の「体験の層を広げていた」のです。

子ども達が、問題を身近な体験に惹きつけて考えることの重要性について、関連する論文がありました。
教育トークライン2007年2月号の谷氏の論文です。

┌<引用>────────────────
向山氏は子どもたちの仮説を分析した上で「明白な一つの結論」と「二つの傾向」を導いた。
「明白な一つの結論」とは次である。

子ども達の意見の中で最も広い分野をしめているのは、直接体験したことに基づいている内容である。

この指摘は、次の点で重要である。
第一に、子どもの事実から出発しているという点である。
実際に仮説を書かせた。そのすべてを一覧表にした。内容を分析して分類した。このような綴密な作業を経ている。数値的な根拠がある。こうした「確かな子どもの事実」に立脚しているから、研究の枠組みが安定するのだ。
第二に、この「明白な結論」が、次の概念を導いたという点である。

谷和樹「子ども達の仮説から導かれた『明白な結論』と授業の新たな『枠組み』とは
教育トークライン2007年2月号
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直接体験したことがたくさんあり、また、その体験が多様であることが大切なのです。
だからこそ、教室に、異なる解釈が生まれます。
異なる解釈が生まれたからと言って、それが子ども達の納得解とは言えません。
子ども達の納得解となるために必要な学習の1つが「討論」です。
「解釈が分かれる問題」について取り上げ、討論を経ることで、納得解となるのです。

VUCA時代に育むべき資質・能力の1つに、「納得解」を生み出す力があります。
VUCA時代に通用する授業を、何十年も前に提案されている。
向山氏の凄さを、また1つ、学んだ宝島です。

3 これからの時代に必要な「物語力」「調和力」



新宝島が届くと、関連する文献が読みたくなります。
今回は、谷氏の「発問の秘密」シリーズでした。
教育トークラインの連載です。
2007年2月号の谷氏の論文の後に、板倉氏の読書術コーナーがありました。
ダニエルピンクの提唱するこれからの時代に必要な力について書かれていました。
その「物語とは」と「調和とは」を読み、興奮しました。
まさに、向山氏の提案されている授業のようです。
偶然とは思えない偶然で、興奮しまいた。

┌<引用>────────────────
これからは新しいことを考え出す人の時代
その突出した人間は6つの感性を持つ。
1 機能だけでなくデザイン
2 議論よりは物語
3 個別より全体の調和
4 論理ではなく共感
5 まじめだけではなく遊び心
6 モノよりも生きがい
(略)
物語とは「相手を納得させる話ができる能力」である。
調和とは全体像を描き、バラバラなのものをつなぎ合わせ印象的で新しい全体観を築き上げる能力。

板倉弘幸「ハイコンセプトとは新しいことを考え出すことで教育の世界でも重要事項である」
教育トークライン2007年2月号
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谷氏は、向山氏の商店街の授業をベースに、今の時代ならばどんな授業が展開できるのか、ヒントをたくさん記載していました。「向山氏の文献との対話や共同を通じて知識やアイデアを共有し、新しい授業の解」を生み出したのです。

これは、VUCA時代の教師にとっての必要な力だなあと思いました。