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読書は好きにならなきゃいけないの?

先日、子どもの通う小学校の図書ボランティアに参加しました。
小学生にアンケートを取った結果、高学年になると「読書が好きではない」という子どもの割合が増える傾向にある、というお話を伺いました。
司書さんによると、字ばかりの本を読む機会が増えてくる高学年になると、想像力をうまく働かせることができない子どもは読書が好きではなくなるようだ、というのです。
そして、学校図書館教育の成果目標として、読書が好きという児童の割合を増やすことがあげられていました。

アンケート結果と目標を書かれたプリントを見ながら、ふと感じたことがあったので、書き留めておきたいと思います。

以前、あるお母さんが、
「うちの子は休憩時間に本を読んだり、絵をかいたり、折り紙をするのが好きで、一人で教室で遊んでいるのが気に入っているの。でも、担任の先生から外でサッカーをするように勧められてね。仕方なく教室を出たけれど、サッカーに加わるのが嫌でずっと校内をうろうろ歩き回っていたらしいのよ」
という話をしていたことを思い出したのです。

ずっと一人で遊んでいるのではなく、周りのみんなと交流することも大切だ。
成長には運動が欠かせないから、室内遊びばかりでなく外で体を動かすことも必要だ。
こう、担任の先生は考えたに違いありません。
そして、子どもの健やかな成長を願う大人なら、そう思うのは当然といえば当然です。
でも結果的に、その子は教室を追い出され、サッカーに加わることもなく、うろうろして時間をつぶすことになってしまった…。
この話を聞いたとき、先生も悪くないし、子どもも悪くないのに、何となく残念な気持ちになりました。

体を動かすことも、本を読むことも、どっちも好きで、どっちもバランスよく出来たらそれに越したことはないけれど、そうでない子もたくさんいます。
運動は好きだけど、じっと座って本を読むのは嫌い、という子。
本を読むのは好きだけど、運動は苦手だからやりたくない、という子。
もちろん、学校として、大人として、親として、そういう子どもにも運動や読書を好きになってもらう努力をする必要があるのかもしれません。
自分が嫌いだと思っていたことでも、やっているうちに好きになってくる場合もありますし。
でも、自分やまわりの大人を見てみると、読書が嫌いな大人も、運動が嫌いな大人も、たくさんいます。
子どものころから好き嫌いはあったでしょうけれど、それなりにみんな幸せに暮らしています。
それなのに、大人になると子どもに読書も運動も好きになるよう勧めるというのはなんだかしっくりきません。

また、子どもが読書を嫌いな理由の一つに、読書感想文を書かされることがあると聞いたことがあります。
夏休みになると、よく宿題に出ますよね。
しかも、最近ではこう書いてね、という雛形まで提供され、その型にはまるように書くと立派な感想文が出来上がるという仕組みになっています。
雛形の提供までして、どうして宿題に出すのでしょうね。
読書嫌いを作る原因の一つなのに。
好きな本を好きなだけ好きな時に読む、感想文は書きたい人が書きたいように書く、ではいけないのでしょうか。
学校図書館の成果目標と相反している気がします。

そもそも読書が好き、という子どもが85%と圧倒的に多く、それを90%にまで上げるのが目標というのを見て、そのままじゃいけないの?とも思ってしまったのでした。
読書が嫌いでも、運動が好きかもしれないし、歌が好きかもしれないし、絵を描くのが好きなのかも。
それではいけないの?
運動も、歌も、絵も、読書も、なんでも好きにならなきゃいけないんでしょうか。

私は読書が好きだし、読書が心を育てたり、想像力や読解力を高めたり、心の支えになったり、人生に深みを与えてくれることを知っています。
だから、子どもが本好きになればその子にプラスになることがたくさんあるとも思います。
図書ボランティアとしても、子どもたちに本好きが増えてくれたらうれしいという思いもあります。

だから、無理に好きになるのではなく、自然と好きになれる環境やきっかけを作っていけるボランティアができるといいなあ、と思ったのでした。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!