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本屋さんが楽しすぎる


小さい頃から、本屋さんが大好き。
本屋さんというのは、どうしてあんなにも楽しいんだろう。


紀伊國屋書店やジュンク堂のような、
フロアごとに文学、児童書、とジャンル分けされた大きな本屋さんはもちろん楽しい。
普通の本屋さんにはない専門書や
マニアックな図鑑や画集などに胸をときめかせ
何時間でもいることができる。

個人でやっているような、おしゃれな本屋さんや古書店もまた楽しい。
選び抜かれた一冊一冊はそのお店の個性を纏い、
どの本も読みたくなってしまう。
選書にセンスがあって、まさに本のセレクトショップだ。
こういった本屋さんに来るお客さんはサブカルチャーに精通した、おしゃれな人が多いように思う。


だけどわたしが好きなのは
町の、いわゆる普通の本屋さん。
「普通の」というのは難しいけど
基本的にワンフロアで、そこまで大きくなく、
スーパーやショッピングモールの中に入っているような本屋さん。
置いてる本のジャンルに偏りがなくて、
誰でもふらっと入れるような人の暮らしに寄り添う、何気ない本屋さんが大好きなのだ。




午後3時。
とあるスーパーの3階にある本屋さんへ行くと
買い物帰りの主婦や学生、散歩でふらっと立ち寄ったようなおじいちゃんがいて
穏やかな時間が流れていた。



まずは新刊コーナーを見る。
なんと、益田ミリさんの『今日の人生3』が発売されている!
わたしはこのシリーズの1と2は既に読んでいるが、まさか3がでるとは思ってなかった。
相変わらず装丁も可愛い。
わあ〜〜!!買おうかな!
テンションが上がる。
値段を見ると税込で1700円ほど。

…。


本ってだいぶ値上がりしましたよね。
前はせいぜい1300〜1400円で買えた気がするんだけど、2千円かあ…
とりあえず考えよう。
冷静になって旅コーナーを見に行く。



夏休み、夫と旅行に行く話をしているので
今日はその本を買いに来たのだった。
お目当ての本を見つけ、少し立ち読み。

きれいな観光地、美味しそうな食べ物がたくさん載っていて楽しくなる。
ここって星が見られるんだ!見たい!!
わあ〜こんな場所があるんだ!行ってみたいなあ。
海鮮丼…美味しそう〜!!
行きたい場所、食べたいものを見つけ
わくわくが止まらない。
夫と一緒に見たいなあ。
早く話したいなあ。
2冊購入決定。

旅コーナーのとなりに、
洋館建築の本も並んでいた。
美しい建物めぐりが趣味のわたしは
こういった本を見つけるとつい手に取ってしまう。
洋館の窓ガラス、タイルの床、ドアノブ…
どこを切り取っても美しく、ため息がでる。
素敵だなあ…


ちらっと値段を見る。
これまた2千円近くである。

…。

そうですよね。
前向きに検討して文庫コーナーへ。




この本屋さんではノンフィクション小説推しなのか、文庫のコーナーに棚が作られていた。
羆嵐、高熱隧道、八甲田山死の彷徨、漂流、破獄など、ノンフィクションの名作がずらりと並んでいる。

こういったノンフィクションや、実際にあった事件を題材にした小説は楽しい。
とくに八甲田山死の彷徨は読みたいと思っていた。
あらすじは以下。

明治35年、青森・八甲田山で起きた大規模遭難事件。
陸軍によって隠蔽されていた、199名の死者が出た実際の悲劇を発掘、小説化した。
高倉健、北大路欣也主演の映画原作としても知られる。北大路の台詞「天は我々を見放した」は流行語となった。

日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進”の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。徳島大尉が率いる少数精鋭の弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。2隊を対比して、組織とリーダーのあり方を問い、自然と人間の闘いを描いた名作。

amazonの概要から


猛吹雪のなか日本陸軍210名で遭難し、
199名が死亡したという事件である。
いや〜すごい話だなあ、と思うし
どんなに訓練された人間でも、自然の猛威を前には無力なんだなあ…と考えさせられたりして
ちらっと裏面を見る。

850円。
うーん…悩ましい…
けど中古でいいかな、と思い見送ることにする。

この事件の資料を展示した
八甲田山雪中行軍遭難資料館というのが青森にあるので、いつかこの本を読んで行ってみたいなあ、と思ってる。
少し怖い気持ちもあるけど。


さて。
ここまでで購入すると決めた本は旅行の本2冊。
でもあと一冊、なにか読む本が欲しい気分。



本当は益田ミリさんの新刊が欲しいけど予算オーバーなので、手軽に何かないかな〜とミリさんの文庫を見に行く。

ちなみにミリさんの文庫本は読みやすくてつい買ってしまうので、家にはもうすでに読んだ本が結構ある。
まだ読んでない本、あるかな〜と思ったら
あった!
よし、これに決めた。
うれしいな。
ホクホクの気持ちでレジへ向かう。




買った本はこちらの3冊。

結局旅の本ばかり。


家に帰り、夫とお茶を飲みながら旅の本を見る。
これ美味しそう!一緒に食べたいね。
ここに行きたいね。
そんなことを話す時間はとても平和で、
こんな時間がずっと続くといいなあと思った。


ミリさんの旅の本は通勤中に読むつもりだ。



どこへ行ったわけでもないのに
本屋さんへ行くだけで元気になる。

たくさんの行きたい場所、食べたいものに心が躍り、読みたい本を見つけるとわくわくする。


実際行ったわけでも、食べたわけでも、
読んだわけでもないのに
あの充実感はなんなのだろう。


大袈裟だけどきっと、生きる希望が湧いてくるのかもしれない。

ここに行きたいな。
これを食べたいな。
読んでみたいな。
だからまた頑張ろうって。

本屋さんへ行くと自然とそう思い、
気持ちが前向きになるのかもしれない。


そんな、ただ本屋さんへ行っただけなのに楽しかった日のこと。


これからもすっぴんでふらっと行ける範囲に
いつも本屋さんがありますように。



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