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課題のある子どもが自ら変わるサポートナッジ(一般校編)【学校教育×行動経済学】
サポートナッジとは??
不良行為をおこす恐れのある子どもたちが
集まった特殊な学校で、
「こわく、きびしく、面白く、楽しく」
「信頼関係に頼る」
生徒指導は一切通用しませんでした。
日々、生徒指導問題で格闘するなか、
上越教育大学:赤坂真二先生の
アドラー学級経営で有名な
「できていないとき」ではなく
「できているとき」に着目する指導を
定量化したいと考えるようになりました。
さらに、できていないときですら、
価値あるものに変えることはできないか。
そして、ゆるやかによい意思決定ができるよう、
ナッジすることができないかと考え、
「サポートナッジ」が生まれました。
前回は、児童自立支援施設の子どもへの
実践内容でしたが、
今回はいよいよ一般校編となります。
まだ読まれてない方はぜひパート1を
ご覧になってください↓
サポートナッジ一般校編〜序章〜
![](https://assets.st-note.com/img/1706953474456-FfuS0Eb3zJ.png?width=1200)
小学2年生。
昨年度から、
朝と帰りの用意がどうしても
間に合わない子どもがいました。
子どもの視覚優位な特性を考慮し、
行動を示すカードを作成しましたが、
1週間もするとその効果は薄れてしまいました。
低学年という発達段階では、
仕方のないことと割り切り、
指導を続けていました。
しかし、時々ですが、
子ども自身で準備できる日がありました。
この変化に対し、準備できない日を
「子どもの怠慢」と感じてしまい、
ストレスを溜めている自分がいました。
そこで、ナッジ理論を応用して、
支援が必要な子どもにも効果的に働く
サポートナッジを実践することにしました。
サポートナッジ開始〜6月〜
![](https://assets.st-note.com/img/1706780535895-GDqK3cktyc.jpg?width=1200)
「手軽に、すぐに、ゆるやかに」
6月、
シートの導入を対象児童(Aさん)に
伝えたところ、
当初は興味を示さず無反応でした。
しかし、Aさんも課題は自覚しており、
徐々に口にすることができました。
そこで、
「朝の準備ができた」
「帰りの準備ができた」
「授業の切り替えができた」
という項目を設定し、
帰りに振り返るようにしました。
1週目、
Aさんの意識も低く、成果が出ていないため、
自己評価を自らすることはありませんでした。
声をかけてもわざと反応しないように見えました。
そこで、「応援している」ことだけを伝え、
教師側で評価を行うと児童に伝えました。
また、1週目の様子を観察したところ、
全ての項目がAさんにとって
敷居が高いと感じました。
小さな成功を体験し、
シートに前向きな感情をもてるようにするため、
本人の承諾を得てから
「授業で切り替えることができた」の項目を
「わすれものをしなかった」という
Aさんにとって達成しやすいものに変更しました。
2週目の後半、
友だちの助けを借りながら
朝と帰りの準備を進め、
スムーズに取り組めた日がありました。
その際、教師に
「今日◎だよね」とシートの話をしにきました。
Aさんの頑張りを認め、
自分で評価を書くよう促すと、
嬉しそうに◎を書いていました。
Aさんはシートについて
気にしていないふりをしていましたが、
できていないことをしっかりと自覚していました。
3週目、
まだまだ気分に波はありましたが、
Aさん自らシートに
自己評価を書き込む習慣がつきました。
自身に甘い評価でしたが、
評価をしようとする姿勢を認め続けました。
4週目では、
自身の評価が現実とリンクしてきました。
△を適切に書けた日には、
自身と向き合えていることを価値づけました。
適切な自己評価ができはじめたと同時に、
準備できる日が増え始め、
2枚目のシートでは全て◎を獲得することができました。
クラスの子どももそのシートを見て
喜びあっていた姿が印象的でした。
私が口うるさく指導することなく、
少しのフィードバックのみで、
Aさんは自らよりよい意思決定をすることが
できるようになりました。
サポートナッジの伝染〜9月〜
![](https://assets.st-note.com/img/1706957904190-iwGTSageNE.png?width=1200)
9月、シートを作成し直すため、
Aさんと他に頑張りたいことはあるかと
話し合いをしていたところ、
複数の子どもが一緒に取り組みたいと申し出てきました。
これは予想外でした。
できていないことと向き合わなければいけない
「サポシー」に自ら志願する子がいるとは
思いませんでした。
理由を尋ねると
「頑張っている姿がなんかいいと思ったから」
「私もなんか挑戦したいと思ったから」
「できていないこと、なおしていきたいから」
とのこと。
Aさんが嫌々サポシーに取り組んでいたら、
きっと誰もやりたがらなかったでしょう。
自身から課題を出し、
自ら振り返ることで、
忘れ物が多い児童、
名札をなかなかつけない児童、
廊下をつい走ってしまう児童など、
取り組んだ全員
緩やかによい意思決定ができるようになりました。
Aさんの頑張りを間近で見ることで
「ブースト」効果が働き、
教師が課題を提示せずとも、
子どもが自らよりよい意思決定をしたいと思う
力が自然と上がる、複利的な効果が
一般校の大きな発見となった。
ブーストに関してはこちら↓
サポートナッジは教室ナッジで一番実用的
みなさんのクラスにもきっと
どうしても何かがうまくやれない子どもがいて、
教師があの手この手を尽くしていること、
ないでしょうか?
このサポートナッジは、
そんな課題を解決してくれました。
中学校では、染髪登校に対して
応用いただいている先生もいらっしゃいます。
できていないときばかりに目を向けず、
できているときを定量化していく。
ぜひ興味をもたれた方は
ご一報ください。
ではまた次の記事で。
あいさつナッジ↓