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シベリア・シリーズ(短歌)


この腕をひとつあげても変わらない 玉ねぎみたいな夏の夜には

もちものとそのものとの違いもわからずに せっせせっせとコインを貯める

棺桶に入れんとせんばかりの様子 あれやこれやもいいねの数も

永遠に少年でいるつもりでしょう 母に抱かれて揺られて揺れて

内祝い 行き来する齢になりてなお 企てているレジスタンスよ

囲み作り 鍵をかけたらもうそこは 擬似のノイローゼとでも言おうか

珈琲を薬代わりにする朝は サラダの味もろくにしなくて

送信を取り消した跡が送られし 怪談に今日もことのはを見る

毛を切って、刈って、薄くて、細くなって、その上に太く毛を描く今日も

沈黙の眼差しひとつのみ在る シベリア・シリーズ 初夏の紫陽花


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