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レストランレポート neito(東京・白金高輪)

2025年1月11日(土)に、兼ねてより気になっていた白金高輪のneitoに伺いました。

neitoは明治記念館総料理長など様々な経歴を持つ青柳義幸シェフと、パレスホテル東京で37年もの経験を持つソムリエの山本正弘氏がエグゼクティブアドバイザーとして、タッグを組んで立ち上げたレストランです。

neitoについて

巨匠2人のコラボとなる”正統派フレンチレストラン”の醍醐味とも言われるこちらのレストランの開業に、業界がザワザワしたことはつい最近のこと。

わたしもワイン関連書籍の記事で拝見して、ずっと行ってみたいと思っていたレストランのひとつでした。

王道のクラシカルなフレンチを青柳シェフの素晴らしい手法により、素材を大切にした料理に仕上げることを哲学としており、多くの方に楽しんでいただけるよう、正統派フレンチレストランとしては親しみやすいレンジで提供してくれています。

そして、それぞれの素晴らしいお料理に、美しいワインが彩りを添えている、まさに究極のレストランとはこのことですね。

公式ホームページには、neitoのコンセプトがこのように表現されています。

「寧」と過ごす フレンチレストラン​​

それは、一秒一秒に価値を見出し、丁寧に過ごせる場所。何かに追われるかのように過ごしている今この時代だからこそ私たちは料理で寧と過ごす“ 時間”を提供したい。

https://www.neito.jp/concept

レストランの外観

白金高輪駅3出口を出てすぐ、ひっそりと佇む駅前の一角にneitoはあります。

オレンジの灯火に包まれた荘厳な雰囲気は、外観からすでにただものではないお店なのだという空気を纏わせていました。

到着時の印象

予定より早く到着したところ、サービス担当もされているソムリエが心良くお招きくださいました。入り口でコートをお預けし、スムーズに席まで案内くださいます。それぞれの無駄のない動作から、さすが一流のおもてなしだということが垣間見れます。

店内の雰囲気

入り口を抜けると、横に広がる店内で、左側には2人掛け、4人掛けのテーブル席が数席と、右側にはカウンター越しにシェフの料理姿が見渡せるような空間です。

全体で32席の用意があり、個室もあるため、両家の顔合わせや会食の席としての利用にも適していますね。

淡い色合いのインテリア、木調の柔らかい雰囲気のバランスで、余白を大切にしていることが感じられる構造です。

今回は2人で伺いましたが、テーブル席を2つつなげて、ゆったりと過ごせるようお心遣いをいただきました。

本日のコース

この日いただいたのは、ワインペアリング4種付ディナーコース 全7品

ファーストドリンクとして含まれている飲み物はスパークリングワインでしたが、追加料金でシャンパーニュのご用意もあります、と伺い、もちろんシャンパーニュに変更。

NV キュペルリー グラン・レゼルヴ グラン・クリュ ブリュット

乾杯のシャンパーニュ

グレープフルーツの香りが顕著、温度が上がると白桃、酸はおだやか。

初めていただくメゾンのシャンパーニュでしたが、大変クオリティが高く、今購入しておくべきシャンパーニュのひとつだと思いました。

一般的なグラス提供だと、50〜70mlが多い中、neitoでは、おそらく100mlほどのシャンパーニュ提供をされており、量もたくさんいただくわたしたちですが(笑)お料理の比率に十分足りる量のシャンパーニュをいただけ、最初の時点ですでに心を奪われました。

そして、こちらのランプシェードにキュンとしたのはわたしだけではないはずです。

キュンとしたランプシェード、個人的には街並みが描かれたものがお気に入り。

伺ったところ、フランス人デザイナーの手業で、全てデザインが異なるのだそう。
自然な流れで、他のテーブルに配置しているランプシェードのデザインも持ってきて見せてくださり、きめ細やかな対応に感銘を受けました。

最初に合わせたアミューズは3種類が盛り付けられたワンプレート

食前のお楽しみ

ブランダード
一般的に干し鱈を使ったペーストの南フランスの郷土料理ですが、今回は替わりにサーモンを使用。レモンのコンフィチュールが添えられ、ほろ苦いレモンの風味が口中を爽やかに、素晴らしく全体を引き締めてくれています。
(気持ちが昂ってお写真撮る前に食べてしまいました。痛恨の極み......ひと口スプーンでサービスされていました。)

パテドカンパーニュ
ワインの要素を強めに、風味よく仕上げられていました。シャンパーニュとの相性が抜群、お肉の濃厚さをしっかり感じられる、食べ応えのあるパテドカンパーニュでした。

鳥レバーのムース
予想を超える、なんとクリームブリュレ風の鳥レバー
こんなムース食べたことがない! 見た目はクリームブリュレ、表面の炙った砂糖の焦げた感じがなんとも絶妙で、クセのない鳥レバーとの相性が素晴らしかったです。

冷前菜

柔らかく煮込んだ兎の腿肉とジャガイモとフォアグラのテリーヌ トリュフソース

全体をコンソメのゼリーでテリーヌのように仕立てた一品。
彩りも美しく、果物やレモン、トリュフなど様々な香り、味わいを感じられるソース。

彩りを添える紫ブロッコリーは酢漬けにされていたり、全ての食材にしっかりと細やかな調理が施され、どこから食べても美味しくて、目も舌も楽しませてくれる逸品でした。

これは永遠に食べられます。

合わせた白ワインはブルゴーニュの白。
2022 ブルゴーニュ・ブラン / ガエル・エ・ジェローム・ムニエ

グラスからファーストに感じられるキンモクセイの香りが圧倒的に華やかで、人生で初めての香りに包まれました。
温度が上がるにつれて、アカシヤのハチミツ、控えめなバニラのニュアンス。

温前菜

玉葱まるごと オニオングラタンスープ

こんなオニオングラタンスープは初めて!
蓋の裏側まで、外側の皮以外全て食べることができした。口の中でほどけるように柔らかくて、スープが染み込んだ甘い玉葱に至極の気持ちにさせられました。

また、グリュイエールチーズが良い仕事をしています。この時のわたしのメモがこちら⇩

やばい!おいしい!とろとろ!

(笑)ボキャブラリーの単調さに悲しくなりました。

途中でいただいたパンも本当においしかったです。

「加水率をギリギリまで高めているため、ふわふわなので、全体を持ち上げるように掴んでください」とのアドバイス。

パンの表現には似つかわしくないかもしれませんが、ほんとうに、柔らかすぎてこぼれ落ちそうなほどでした。

そういえば、お水のセレクトも興味深かったのでご紹介します。
エヴィアンのスパークリングウォーターは珍しいですよね? 泡調は穏やかで口中を心地よくニュートラルに戻してくれるお水でした。

さて、わたしがneitoに伺いたい、と思ったきっかけとなったワイン関連書籍の記事に”魚料理に赤ワイン”を合わせます、という言葉が掲載されていました。

本中では、サンセールの赤を合わせていたところ、次の鮟鱇にオススメされたのは、ラングドックのピノ・ノワール。

なるほど!やはり赤ワインの提案とは!!
はやる気持ちが抑えられません。

ヴァン・コントレール・ピノ・ノワール / ドメーヌ・ド・フォンドゥース

普段はラングドック地方のワインはリストに載せないが、生産者の想いを聞いていて良いと思った、というソムリエのセレクト。

少し温度を低く提供されていることもあり、酸がキレイに残ってるいる印象を受けます。
ブルゴーニュのピノ・ノワールとはまた異なる表情を持ち、リラックスして楽しめるピノ・ノワールだと感じました。特にお食事との相性は◎

魚料理

鮟鱇のベーコン巻きロースト ミモレットとパセリ風味 ハーブのリゾット添え

極力うすいベーコンで鮟鱇をロールし、貝の出し汁をポルト酒でといた少しスパイシーなソースにゆり根を装飾。

淡白な味わいの鮟鱇は食感はとてもしっとりとしていて、濃厚なポルト酒が絡んで最高においしかったです。ハーブのシンプルなリゾットと一緒にいただくことでまた風味が広がって、大変美味でした。

ソース単体で考えてみると赤ワインの提案も浮かびますが、メイン食材の鮟鱇だけをみると、どうしても白ワインを選んでしまいがちです。
ソムリエのワインのセレクトに脱帽しました。

肉料理

茨木産志筑鴨肉の炭火焼 ポトフー仕立て 冬野菜とともに

やわらかい味わいの鴨出汁に、炭火焼の香ばしさが相まって幸せな気持ちにさせられる逸品。

合わせたのは、ボルドー・サンテミリオンのジャックノワール。

鴨肉を咀嚼した時の風味と、メルロー100%の雰囲気が合うと思います、とのソムリエコメント。

鴨はもちろん、野菜の素材本来の味わいが引き出されていて甘く、大変おいしくて、深い味わいでした。熟成しているメルローだからこその相性なのだと勉強になります。

デザート

クレープフランベ バニラアイス添え

目の前で仕上げてくれるあつあつのクレープ。
オレンジジュースやコアントローを熟練の技でクレープに染み込ませ、あたたかいクレープと冷たいバニラアイスのコントラストはなんとも贅沢な気持ちにさせてくれます。

濃厚な味わいのクレープには、負けない強さのデザートワインを。
シャトー・デ・ゼサール・キュヴェ・フラヴィ

こちらのデザートワインについても、ソーテルヌではなく、敢えて南西地方をセレクトすることで、全体的な価格感を抑えているのだと、ソムリエの見識の深さを改めて感じさせられました。

小菓子

最後のデセールはなんと4種。
左から、お抹茶とマスカルポーネで仕上げたティラミス、濃厚バターのフィナンシェ、洋梨の果汁たっぷりゼリー、ガナッシュ風のフランボワーズ。

どれも大変上品で、美味しくいただきました。
食後の飲み物はコーヒー、紅茶、ハーブティー、エスプレッソから選択可能です。

まとめ

neitoは、素材本来の味わいをフランス料理の巨匠・青柳シェフの手腕により、美しい芸術品となって、目でも、味わいでも、楽しむことができる至極のレストランです。

サービスも終始心地よく、ソムリエの知識も豊富で、クラシカルなフレンチでは珍しく、心穏やかに会話さえ楽しめる大変満足な大人の空間でした。

ぜひご夫婦の思い出の日や、家族の記念日、大切な人とのゆったりとした時間に選んでいただきたいレストランです。

店舗情報
ジャンル:フレンチ、イノベーティブ
住所:東京都港区白金1-27-6 白金高輪ステーションビル 1F
予約可:
 電話:050-5593-6755
 Web:https://rk-sys.jp/jscafe/?s=JnP
アクセス:都営三田線、南北線 白金高輪駅 3番出口から徒歩1分、白金高輪駅から110m
営業時間:
月・木・金・土・日・祝日・祝前日・祝後日
ランチ  11:30 - 15:00(L.O. 料理13:30 ドリンク14:30)
ディナー 17:30 - 21:00(L.O. 料理19:30 ドリンク20:30)
火・水 定休日
公式ホームページ:https://www.neito.jp/

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かおりん
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