「光る君へ」余波(2024年10月30日)

「日本の歴史」(中央公論社)を読み始めた。

道長周辺の権力闘争や、光源氏周辺のみやびではなくみだらとしか思えないような状況が受け入れられる社会とはどんなものなのかを知りたくなったからだ。
とはいえ、大鏡、御堂関白記、権記あたりを読む気力はない。

高校時代、日本史の先生がこれさえ読めばいいと言っていたのを思い出して何十年ぶりかで手にした次第。チートである。

高校時代もテストの前にパラパラとめくった程度で、およそ読んだとは言い難いのであるが、今回めくってみると、とても面白い。

出演者ほぼ藤原姓というめちゃ面倒くさい構成、これのせいで高校時代は挫折したのであるが、大河のおかげで、キャスティングが済んでいる。
脳内で顔を思い浮かべながら読むからリアルだ。

「俺って優しいから」公任は娘婿に気を使って、婿が腹痛で内裏を下がる際にも付いていったとか、兼家と道綱の母の恋の鞘当てとかも書いてある。

そして、賢人実資。
なぜロバート秋山なのだろうと思っていたが、実資はかなりの女好きとある。
「光る君へ」での、公任の家で女房と御簾の中に入るなんてのは可愛い表現のようだ。

実資の邸の井戸から出る良質の水を汲みに来る付近の下女たちの中で、気に入った女を引っ張りこむくせがあった、と書かれている。
引っ張り込む実資をロバート秋山で想像してみる。

しかも、道長の子頼通にハニートラップを仕掛けられ、凹まされたとの記述さえある。
オタオタしたり憤慨するロバート秋山こと実資を想像してみる。オモロイけどすごいな。

なるほど、セリフ以外からにじみ出るロバート秋山の存在感が実資なのかと妙に納得した。

そんなアレコレが書かれている「日本の歴史」。奥付には昭和40年に初版とある。
わが家にあるのは昭和41年版だが、その数別巻込み31巻。なかなかのボリュームである。

両親わたしの3人家族のわが家の本棚にはこれと並んで20巻ほどの世界の名著シリーズ、百科事典といったハードな本が収まっていた。本棚の3分の2を占めていたと思う。
百科事典は開いた記憶があるが、世界の名著は手も触れていない。両親が読んでいるところも見たことない。
応接室のレコードプレーヤーの隣に、ドンと鎮座して、なんというか、本棚込みの飾りのようなものだった。昭和の飾る積読である。
積読にしては積んでいた年数もかけた費用も置く場所も半端ない。

6年前、一人暮らしだった母の死後、片付けの際に迷った末、「日本の歴史」一揃えだけをわたしの手元に持ち帰った。
世界の名著と百科事典は資源となって生まれ変わって頂くことにした。
「日本の歴史」を資源にしなかったのは、どこかで、日本史の先生のお勧めってことが引っかかっていたのかもしれない。

未練たらしく持ち帰ったものの、なにせ31巻、わが家の作りつけの本棚に収めるか迷って、取り敢えず物置に入れておいたのだった。
それがこんなタイミングで読みはじめるとは。
しかも高校の時より熱心に読んでいる。
長きに渡る積読もこんな形で解消した。これも「光る君へ」余波である。

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