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一歩前に進みたくなる物語集

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小説やエッセイなど、さまざまな形で一歩前に進みたくなるような話を。
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未来はこれから選べばいい。君はスタートラインに立ったばかりなのだから。

未来はこれから選べばいい。君はスタートラインに立ったばかりなのだから。

「新社会人」とは、どのような人間を指す言葉だろうか。

一般的なイメージでは、新卒の大学生が企業に就職し、正社員として働きはじめることを指すと思う。

そのイメージと相反するように、私は20歳からアルバイトで働きはじめた。

親の経済状況が悪かったわけではない。夢を目指して専門学校に進学し、憧れの職に就けなかったという、ありきたりな話だ。

入社式はない。スーツも着ない。

未だ学生時代が終わって

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「特別な自分」と出会ったのは、狭くて広い日本という国だった。

「特別な自分」と出会ったのは、狭くて広い日本という国だった。

特別になりたかった。

誰よりも、突き抜ける才能がほしかった。

たくさんの人に認められて、お金も充分に与えられて

「あなたじゃないとダメ」って、言われたかった。

何か特別なことを成し遂げたくて

特別じゃない自分に、別れを告げたくて

私は、旅に出た。

*******

……こんな話をすると「どこの国に行ったんですか?」なんて質問が飛んできそうだけれども

先に言っておく。私の旅の舞台は「

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一人寂しい朝を支えてくれたのは、母の好きなあのヨーグルト。

一人寂しい朝を支えてくれたのは、母の好きなあのヨーグルト。

#ヨーグルトのある食卓

風邪をひくと、母は決まってヨーグルトを買ってきてくれた。

今思えば、母はヨーグルト好きだったのだろうと思う。冷蔵庫の中にはいつもヨーグルトが入っていたし、病気の時もヨーグルト。大人になって帰省しても、朝食にはヨーグルトに季節のフルーツをのせたデザートを作ってくれていた。

そんな当たり前の、母のヨーグルトが食べれなくなってしまった時期があった。それは、ちょっとした感情の

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