2021年ブックレビュー『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ著)
この名作推理小説を、これまで読んでいなかったとは。自分でもびっくり。
「クローズドサークル」と呼ばれる「絶海の孤島」を舞台に、「マザーグース」の童謡「十人のインディアン」の通りに繰り広げられる見立て殺人。
こんなミステリーが1939年に生まれていたとは、改めて驚いてしまう。日本では、「見立て殺人」を扱った横溝正史の「獄門島」が1948年、「悪魔の手毬唄」が1959年。さすがは、ミステリ―の女王。
オーエン夫妻という謎の人物から招待を受けた8人の男女がイギリスの孤島「兵隊島」に渡るシーンから、物語は始まる。島の屋敷で待っていたのは、オーエン夫妻に雇われた使用人の夫婦。オーエン夫妻が姿を現わさないまま始まった最初の晩餐で、屋敷にいる10人の殺人罪を告発する声が蓄音機から流れ出す。そして、最も若いマーストンという男性が毒殺される。残りの人たちも次々と殺され、その死に方が童謡「十人のインディアン」の歌詞そっくりの方法であることや、屋敷にあった10個の兵隊人形が一人殺される度に減っていくことが、明らかになっていく。
犯人は10人の中にいるのか、それとも別にいるのかー。最後の章は真犯人の告白で、事件の真相が明らかになる。
…しかし、意地悪な私は疑問が多かった。殺人ができすぎ、うまくいき過ぎのように思えて仕方ない。(フィクションなのだから、当たり前?)
例えば、犯人の殺人計画が進んで、残り2人となった女教師と元陸軍大尉が疑心暗鬼になり、殺し合う場面。もし、殺し合わなかったら犯人の思惑通りにはならず、計画は完成しない。さらに一人残った女教師は精神をやられて自殺してしまうのだけど、必ずしも自殺するとは限らないわけで…。
これもオーディブルのサービスで聴いた作品なので、やっぱり文字で再度確かめてみなくちゃ。
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