村上晃一『ラグビーが教えてくれること』
ラグビーワールドカップ2019日本大会では、ラグビー選手の礼儀正しさや、紳士的な態度が注目されました。「なぜラグビー選手は紳士的なのか?」の根底にあるのが、世界的なラグビーの統括団体であるワールドラグビーが設定した「ラグビー憲章」です。
本書は、小学校高学年向けに「ラグビー憲章」を解説した本です。ですが、大人の方にも是非読んでいただきたい一冊です。
本の紹介 出版社のページより
2015年に開催されたラグビーの世界大会を覚えていますか? 格上の相手を破った日本代表の大活躍に感動した人も多いのでは? あの感動を再び、しかも日本で見ることか出来ます! ラグビーを愛する人にはもちろん、ルールを知らない人にも、経験がない人にも、ぜひおくりたい、ラグビーの魅力がわかるスポーツ・ノンフィクション。
本の紹介 「BOOK」データベースより
2019年、日本で世界一が決まる!名選手、女性、小学生、コーチ、みんなラグビーに出会って成長した。読めば勇気がわいてくる。いっしょにラグビーを楽しもう!
ラグビー憲章とは
ラグビー選手、スタッフ、コーチなどラグビーに関わる人が、大切にするべき価値、従う行動指針の上位概念として、ワールドラグビーによって、2009年に5つの価値(コアバリュー)が制定されました。
品位(INTEGRITY)
品位とはゲームの核をなすものであり、誠実さとフェアプレーによって生み出される。
情熱(PASSION)
ラグビーに関わる人々は、ゲームに対する情熱的な熱意を持っている。ラグビーは、興奮を呼び、愛着心を沸かせ、世界中のラグビーファミリーとの一体感を生む。
結束(SOLIDARITY)
ラグビーは、生涯続く友情、絆、チームワーク、そして、文化的、地理的、政治的、宗教的な相違を超えた忠誠心につながる、一つにまとまった精神をもたらす。
規律(DISCIPLINE)
規律は、ゲームに不可欠なものであり、フィールドの内と外の両方において、競技規則、競技に関する規定、そして、ラグビーのコアバリューの順守を通じて示される。
尊重(RESPECT)
チームメイト、相手、マッチオフィシャル、そして、ゲームに参加する人を尊重することは、最も重要である。
各項目の詳細は、以下のnoteを見ていただけるとうれしいです。
感想
ラグビーに関する書籍は多く、それぞれの書籍の中で、「ラグビーのすばらしさ」としてラグビー憲章に書かれた精神について触れられます。ですが、ラグビーの精神を中心に置いて、書かれている本は、本書しか知りません。
小学校高学年向け、と言われますが、大人が読んでも十分に発見があります。
個人的に一番印象的だったのは、「品位」のところにある、坂田好弘さんの話です。
坂田さんは、ラグビーの本場であるニュージーランドにも認められた才能、「空飛ぶウイング」の冠を持つ、世界的名プレーヤーでした。
坂田さんは、どれだけトライをしても決して自分からはしゃぐことはなかったわなかったそうです。それは「ラグビーはトライしたものがえらいのではない」という恩師からの教えだそうです。
ラグビー憲章に書かれたラグビー精神は、ラグビーのプレーだけをしていて自然に身につくものではない、と分かりました。恩師から選手に、また選手がコーチや監督になって、次の選手につながっていく。パスをつないで「文化」にしてきたことを知りました。
後記
著者の村上さんは、ラグビーの解説・ラグビー記事の寄稿のほか、トークライブなどでラグビーの魅力を語り広めています。私もトークライブで村上さんのお話を聴いて「ラグビー憲章」への興味・理解が深まりました。
村上さん、ありがとうございます。
サポートはラグビー関係のクラウドファウンディングや寄付に充てます(例:ブラインドラグビーのイングランド遠征)。「いいな」と思ったら、サポートをお願いいたします。