そろそろMVVとか理念経営ブームに飽きてきた
『人事がバックオフィスと呼ばれる時代は終わった』リンモチの小笹現会長の記事を読み、衝撃を受けたのを覚えている。自身の事業会社での挫折からくる想いの部分と同時に人事という市場の成長性を打算的に考え、事業会社の営業から組織・人事コンサルへの転身を検討し出したのはかれこれ10年近く前。その頃から人事の領域では、MVVや理念経営、パーパス経営等の概念が専門家の間では語られだし、今日では本屋ではそのたぐいの書籍が山積みになり、twitterでその重要性が日々ツイートされ、組織人事コンサルとしてはこの重要性の市場での認知はありがたいことではある。
しかし、もう飽きた・・・。人事制度を作り、研修企画・登壇、また営業セミナーを実施する中で、欠かせないバズワードであるMVV経営、エンゲージメント、心理的安全性等など・・・心理的安全性に関しては、起源は1999年のエドモンドソン教授の提唱から、Googleが心理的安全性に関してのリサーチをスタートしたのは2012年。
真新しい概念かのように評論家のようにその重要性を語る人事関係者、現場感のない理想を語る薄っぺらいツイート、想いだけを語る経営者。スローガン的な理念経営信仰論からなかなかブレークスルーを起こせず、年月が経っているのは、今日の人事領域の課題である。
そんな背景で、伊藤レポート人材版がリリースされ、2023年に人的資本開示の義務化。人事がファイナンスとつながったことを考えると、抽象的な人事の概念の具現化は進んでいるとは考えられるが、またこれも開示という手段の目的化に陥っているのが現状なのかもしれない。
MVV経営を否定しているわけではなく、むしろ逆。言うまでもなく重要であるからこそ、想いだけを語るのではなく具現化しませんか?と言いたい(笑)
(ちなみに私はコンサルをやりながら、事業会社の人事責任者とベンチャーのひとり人事をやっている。評論もするが、それ以上に実行をしている。むしろ私の知見は報われなかった現場スタッフ時代と人材マネジメントに苦労した現場での暗黙知の形式知化といった感じかもしれない。)
そして、具現化のヒントは、日米の組織構造の違いに隠されている。もともと日本がMVV経営と言いだしたのはアメリカの組織の模倣から。アメリカはトップダウンのピラミッド、トップがMVVを戦略に落とし込み、そのアクションプランを従業員が遂行する。もともとジョブ型なので、そのアカウンタビリティとリスポンシビリティが明確で、アクションプランマネジメントが徹底している。
一方日本は、ミドルアップがベースの逆構造。構造自体が異なる中で、MVVだけを設定しても戦略とのアライン、アクションプランへの落とし込みができず、単なるスローガンで終わり、末端まで浸透しない、または浸透していたとしても具体性がないケースが多い。
この考えがまとまったのはMBAでアカウンティングの講義を受けている時であった。アカウンティングは逆にミクロかつ具体的な数字をどう生きたものにするか、上位概念と結び付け従業員をドライブさせKPIマネジメントを行うかという課題感が潜んでいる。要するに人事と逆。すでにアカウンティングの講師は、役割定義(アカウンタビリティー)の重要性を説いていた。
要するに、人事はファイナンスとつながった。次はアカウンティングとつながり、アクションプランマネジメントを人事制度に落とし込むことが、打ち手になると考えている。
そんな目線で見ると、やはりうまく回っている組織はアクションプランマネジメントの仕組みが整っている。
では、MVVを戦略に落とし込み、いかにアクションプランマネジメントをおこなっていくかは、人事のコンサルテーションの手法だが、また追ってnoteに具体的にあげていこうと思う。
スローガン的理念経営の具現化、答えはアクションプランマネジメントにあり。人材マネジメントは科学。