[1分小説] 痴漢についての考察 - by 女子高生
「ねぇ、A子はどっちが嫌?
触られる系の痴漢と盗撮されるのと」
「えー、なに急にその質問?」
「今朝、小田急線で痴漢に遭ったの。おしり触られて、耳たぶ舐められた。最悪」
「最悪じゃん。大丈夫だった?」
「うん、平気。よく遭うし。今日のは強烈だったけど。満員電車ってほんとに痴漢の温床だよね」
「私もあるよ。スカートの下、盗撮されたり」
「うわー」
「触られるのも気持ち悪いけど、撮られた動画ってずっと相手の手元に残るじゃん。それも気味悪いよね」
「女ってなんで狙われるんだろうね」
「性的価値が高いんだよ」
「あはは、それっぽいこと言うね。男子が聞いたら怒りそう」
「でもさ、あたし思うんだけど、
その価値の高さっていうの?それでお金稼げちゃうことが、何だかさぁ、怖いなって思う。よく分かんないけど」
「あぁ、たしかにねぇ。でもこんなこと言ってるわたしたちって、大人だね」
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