萩暮らし6日目【三見の星空】静かな夜に響くフクロウの声(4月24日)
喉に刺さった甘鯛の骨が取れたことで、昨夜はぐっすりと眠れました。
「さんちゃんち」の内部と日常
朝起きると、まずリビングの窓を開けて換気し、前日に干した洗濯ものを取り込みます。そして、代表・Mが前日に「道の駅 センザキッチン」(長門市、5日目参照)で買ったパンを温め、コーヒーを淹れます。その間に、私・Yは和室に置いてあるベッドマットレスを3つ折りし、ソファにします。
旧JR三見駅舎をお試し移住用の住宅にリノベーションした「さんちゃんち」は、約60平方メートルの1LDK。和室はちょっと広めの7畳くらい。シングル布団なら4組くらい敷けそうです。
リビングにはダイニングテーブルとワークスペース(窓際の長細いデスク)、畳スペース(仕事もできるカウンターつき)があります。それぞれの配置が絶妙なのでけっこうスペースにゆとりがあります。
「仕事道具はワークスペースに」「畳スペースはたたんだ洗濯ものの一時置き」「ダイニングテーブルには、観光パンフレットなどをまとめておく」と、使いわけることで、何がどこにあるかすぐわかります。
駅舎をリノベした建物なので、間取りなどはある程度制約があったと思うのですが、すごく暮らしやすい間取りになっています。「将来家をリノベするなら、これを参考にして…」「こんな設備を取り入れたらよさそう」と、夢が膨らむ私。
毎朝折りたたみのベッドマットレスをたたんで広げる、洗濯ものを干して取り込みたたむ。自宅ではベッドは寝室に置きっぱなし、洗濯ものもほとんどは乾燥までお任せです。
晴天に誘われて
さらに、今日はそれなりに仕事が忙しいにも関わらず、2回も散歩に出かけました。1回目は昼間の海辺。今日は萩に来てから初めて青い空が見えたので、Mの写真撮影に付き合わされたのです。
ささいなことかもしれませんが、自宅にいる時より確実に運動量が多い気がします(「さんちゃんち」には体重計がないので、体重が増えても減っても分からないのがちょっと残念かつ怖い…)。
防波堤のあたりにいくと、今日も釣り人がたくさんいます。Mはスマートフォンで海の様子を撮りまくっています。ウミネコの鳴き声がちょっと大きめですが、心が洗われる景色――。波の向こう、海の向こうをじっと見ていると、仕事のあれやこれやで重くなっていた心が軽くなります。
遠くを見つめることが多いが…
よく「遠くを見ていると近視が改善する」なんていいますが、毎日のように海のそのまた向こう、はるかかなたの小さな島や雲をみていても、視力は一向によくなりません。むしろいつもより小さい画面(普段は大きめのモニターにつないでますが、萩暮らしの間は普通のノートPCのみ)で仕事をしているせいか、何なら目がかすんで字がろくに読めない気すらします。
戻ってひと仕事して、夕飯を食べた後に休んでいると、Mが「きょうは星がキレイに見えそうな気がしない?」と言い出しました。かつてMと一緒に冬の函館山に登った時に、氷点下の風が吹きつけてくる山頂で30分以上も撮影につきあわされ、危うく凍死しかけたことを思い出しましたが、今は4月も終わりです。私は黙ってウインドブレーカーを着込み、Mについて夜の三見散歩に出かけました。
玄関を出ると、思ったよりも外が明るめです。
「あれ、星が見えない…? 今日は満月だから、星が見えないかな」
「いや、見えるよ」
――だんだん目が慣れてきたのか、1つ、また1つと星が見えるようになってきました。
「わあっ!」
夜空のあちこちに、星が瞬いています。
「あれはシリウスだな」とか言いながら、スマホを固定して星空撮影に暫し熱中するM氏。。。
初めてリアルに聞くあの鳴き声
シリウスに向かって三見漁港から駅舎へと歩いていると、虫の声に交じって山の方から何かが聞こえます。
「ホー、ホー、ホー、ホー、ホー……」
「これ、フクロウ(梟)?」「だね」「ミミズク(木菟)かもしれないけど…いるんだ!」
漁港の方に歩いていくと、大きな空いっぱいに星が広がって見えます。
「ほら、あそこにオリオン座が…」
星座に詳しいM氏はドヤ顔で解説してくれるのですが、そもそも視力が悪い私にはろくに見えません。
「3つ並んだ星がないやん」
「あるよ!」
「光が弱すぎて見えないよ」
「見えてるって!」
「北斗七星は見えるけどね」
「オリオンも見えるよ! ほら、あそこだよ!」
と、M氏……しつこい。
なぜそんなにオリオン座にこだわるのかはわかりませんが、見えないものは見えません。
「こんなに星がキレイだと、天体望遠鏡とか欲しくなるねぇ」
「スマホだと撮りにくいから、夜空の撮影に必要な機材も欲しい」
と言いながら、星空の下をひとしきり散歩しました。
昼間は静かに感じる三見ですが、虫の声や鳥の声でとても賑やかです。
【コメント by M 《2024/4/24》】
雨がちな日が多く続く今年2024年の4月だったような気がする。日中の晴れ間や晴れた夜空は貴重に思える。
この日はちょうど満月🌕でもあった。ただJR三見駅は、月が登ってくる東側には山があり、夜空が満月で明るくなるまでには少し時間がある。そのタイミングで漁港から晴れた夜空を――と考えて、出かけてみた。。
オリオン座が南西の空に見える(べ、別にこだわっている訳ではなくて、素人にも見つけやすいからよ、そりゃ)。長門市の辺り? は上空にある雲が街の灯りを反射しているようだ。そんなに大都会でもないのだが。
駅舎へと帰っていく20時40分ごろになって、満月🌕が山の上から昇ってきた。スマホでの撮影は限界があるが……、まぁこんなもんだべ。
ふくろうの鳴き声は、満月が顔を出した山の方から響いてくる気がする。リアルでフクロウの鳴き声を聞いたのは初めてかもしれない。駅の周辺には、さすがに飛んでこないかな。