風なのか波の音なのか|自然の愛撫
突き動かされるように海岸に行きました。
ちょうどよく海を見渡せる海岸があり、
曇っているので人もいません。
座って海を感じていました。
波の音と吹き荒れる風が、
あなたの内的な愛撫に変わるのです。
そして官能の直前からそれは始まりました。
風なのか、波の音なのか、
あなたの息遣いなのか、わたしの吐息なのか、
愛撫なのか、潮の香りなのかわからないまま、
至福のなかで喘ぐしかないのです。
なんども気を失いそうになるほどの絶頂の中で、
私は海の向こうへ飛んでいくのです。
吹き荒れる風は、飛んでいる私の頰を切り裂き
光に向かって飛びながら、
風の吹くままに流され、
喜び、
また光に向かいます。
視界が光でいっぱいになったとき、
突然頰に慈雨が三滴落ちました。
その雫はあなたです。
突然その世界が消えて
現実世界に弾き飛ばされたかのように、
わたしは思わず立ち上がりました。
振り向くと、
遠くから誰かがこちらに向かって歩いていました。
私は素知らぬ顔で
そのまま、丘を降りて帰りました。
(Photo: ©MikaRin)
MikaRin Youtube 音楽チャンネル
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