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秋のトスカーナ旅①準備と飛行機編

10月中旬。10泊12日で、イタリアのトスカーナ地方へ新婚旅行へ行ってきた。
グループ旅行にせず全て自分達で手配や準備をし、色々と教訓を得た。
「私たち、よくやったよね」と自らを褒めてあげたいくらい、よく考え、調べた旅だった。
備忘として、もしくはどなたかの次なる旅の一助となれば幸いということで、すこし曖昧な部分もあるが、記録として綴っておこうと思う。
記録と言えど、色んなものへのツッコミ(≒愚痴)が満載である。
しかし総合すると楽しかったと思っているので、そこは前提であるのであしからず!


ピエンツァの街中で見かけた子供達。制服の青が深い。

1、 期間と荷物

まず手始めに決めたのは、何泊にするか、である。
これが意外と肝要だ。
思い切って2週間くらい、と最初は思ったのだが、海外旅行というのは意外と体力気力ともに消耗するもので、私は1週間経つと次第に帰りたい…わかめたぬきうどんが食べたい…と郷愁にかられるので、純粋に「楽しかった」成分多めで帰国する事ができる期間というのは個人的には重要な要素である。

結局、冒頭にも言ったように10泊と決めた。
結論としては正解だったように感じる。
イタリアの食に、旅の不便さに、完全に飽ききってしまう前に終われた絶妙な期間だったと思っている。

重要な要素がもう1つ、荷物をどうするか、である。
エアチャイナで私が購入したチケットプランでは、預け荷物が1人4個までのそれぞれ23キロまで。持ち込み手荷物が2個まで、それぞれ5キロまでであった。
熟慮の結果、80Lと60Lのスーツケース、手持ちで夫には大きめのリュックと貴重品のみの小さい斜め掛けボディバック、私の手持ちでやや大きめのボディバッグという感じになった。
10月中旬の中部イタリアは、朝晩と昼で気温差が大きく、持っていく洋服選びに苦慮した。
結局振り返って見ると、ニットや厚めのセーターは不要で、逆に半袖、他にも緩めのレギンスと靴下、薄手のヒートテック、タイツ、カーディガンをもう少し持っていくべきだっと思う。もっぱら上着はレザージャケットか、ユニクロのウルトラライトダウンが役に立ったのと、朝晩に冷えるヨーロッパ旅行において薄手のストールは個人的には必須である。

現地の交通手段で困ったのは、もっぱら「スーツケース置く場所問題」である。
空港から市内のレオナルドエクスプレスはさすがに充実していたが、通常の電車やバスだとスーツケースを置く場所が狭かったり無かったりして、困るシチュエーションがよくあった。
日本の通常の電車のように、窓際に沿って席が向かい合わせに配置されているタイプは少なく、都市間の移動ではもっぱら特急電車によくある進行方向とその逆側に席が向いているタイプが殆どで、通路に置いておくわけにもいかず、必然的にスーツケースを持ちながら乗るのが難しいのだ。
そういった時、60Lのスーツケースだとやや小さめなので座席の上の部分に乗せることが出来たりしたが、それも女性の力だと難しいと思う。夫がいなければ途方に暮れていたか、親切なイタリア人男性がいれば代わりにやってもらえたかもしれないが、それもそれでリスクがある。
一度、混んでいる車両の中でお互いの席までスーツケースを運ぶため、狭い通路で双方が前にも後ろにも詰まって動けなくなってにらめっこのようになってしまい、やや険悪になった場面があった。
「そっちがどきなさいよ」「何言ってんのそっちでしょ」「頭を使いなさいよ」の半歩手前状態になった。
結局周りの座席の人の頭まで使わせ、迷惑をかけながらもテトリスのように自分達と荷物を移動させ、ようやく自分たちの席に座った時は汗だくの疲労困憊で気分はかなりローに。
旅の後半になるとだんだんと学習して来て、バスや車両のいちばん端に席を取り、少なくとも同様な争いは起きないように平和につとめた。
結果的に2個のスーツケースはそれ以降大した問題にはならなかったものの、うち1つが60Lとすこし小さめにしていた事で助かった場面は多かった。
個人旅行では身軽さも重要だと改めて感じたのだった。


レオナルドエクスプレス。空港から市内まですぐに行ける。

2、 宿探しと予約

宿探しの予約サイトは、7割がbooking.com、残りはAirBnBで済ませた。
今回はなるべく値段を抑える方向で旅を組んでいたので、ホテルよりもB&Bやアパートメント系を中心に探していた。
イタリアにおいてはその方が選択肢も広がり値段が安く抑えられるというメリットがある様に思ったが、B&Bなどの個人の貸し部屋のようなものには当たり外れがある。
予約の際はかなり慎重にレビューを読み込み、夫と2人で幾つか良い候補を出し合い、その中でベストなものに決めて行った。

agodaも安さにおいては優秀なので、そちらも使っても良かったのだが、最初に飛行機を取ったのがbooking.conだったのと、サイトが複数だと後々混乱しそうだったので媒体はなるべく少なく留めておきたかった。結果booking.comでの手配やオーナーとのコンタクトは私が担当、AirBnBは夫が担当した。

3、 飛行機と旅の優先順位

次に大きな要素、「飛行機どうしよう」である。
ここで、まずこの旅行の優先順位やテーマを何にするか、という疑問が迫って来た。
この時点ではまだグループツアーにする選択肢もあったのだが、自分達のペースで好きな場所での滞在に融通がきくという理由で、個人旅行にする事に決めた。
そもそも前者にしていたら、ここに残すほどの情報やハックも無いと思う。ただ連れて行ってくれるままに身を任せて楽しんでいれば良いのだから。

今回の旅の大きな目的は「トスカーナの田舎の風景を見てのんびりする」であった。
そもそもそういった場所は、日本のツアーグループにおいてはメジャーな行き先では無く、頑張って探したところでどれも魅力は感じなかったり、日本人が個人でやっているオプションツアーや代理店からは返事が来なかったりした。いや、なんで返事来ないの…?

そういった背景もあり、夫と話し合い、この3つの要素が大きい旅となった。
・田舎で風光明媚な景色を楽しむ
・移動には余裕を持たせて、ギチギチスケジュールにしない
・なるべく費用をおさえる

さて飛行機だが、言わずもがな、直行便はどれも高く、その選択肢はそうそうに捨てた。
結果として、エアチャイナにて北京空港乗り換えでローマに行くことした。

目的であるトスカーナには、フィレンツェスタートにした方が利便性はやや良いのだが、フィレンツェ空港行きにすると値段が高くなる上に、ローマからフィレンツェまでは2時間以内で行けるという事で、行きも帰りもローマ⇔北京⇔羽田にしたのだった。

3、 北京空港での乗り継ぎ

結果としてその判断には満足している。
高い渡航費が抑えられた上、ロシアの上空を飛べるので回り道の時間がかからない。そして、北京空港での乗り換えはそんなに悪くはなかった。
行きと帰りでそれぞれ2時間半と4時間、北京空港内で過ごした。
確かに退屈ではある。免税店もそこまで充実しているわけではないし、どこかのラウンジを使ったわけではない。
しかし広々としていて席は無限にあるし、トイレもほどほどに清潔で(日本ほどでは無いが)ドリンクスタンドや飲食店も困らない程度には揃っている。
もし行かれる方がいたら、太平洋珈琲(PACIFIC COFFEE )というドリンクスタンドの抹茶ラテは、相当美味しかったのでお勧めである。
(そもそも中国は、コーヒーはともかく、オリジナルフレーバー系ドリンクが日本よりレベルが高いと思う)

注意点としては、まずはペットボトルである。
自販機は基本元しか使えず、ユーロや円、クレカには対応していない。厳密に言うと、何かしらに登録すればVISAとマスターカード(朧げだが)は使えるのだが、その手間がかかるので、ペットボトル飲料または水筒は事前に手に入れていくことをお勧めする。
至る所に無料で飲料水とお湯が出るサーバーもあるが、入れ物が無いのであるので余計、である。

また、広すぎ問題である。
飛行機に乗る時は一旦搭乗口を確認してから免税店に行く習性が染み付いているのだが、搭乗口が並ぶエリアと免税店が集まるエリアとでは少し距離があり、搭乗口によってはかなり歩くパターンもあると思う。
搭乗口が並ぶエリアでは、「ちょっとトイレ行ってこようかな」が「ちょっと」では済まない。「トイレ…まだか…」と遠い目になる事必至だ。
まぁこれは北京に限らず広い空港あるあるなので、乗り継ぎが2時間以内の方の場合はちょっと気をつけた方が良いと思う。
今回はエアチャイナ同士だったこともあってか、乗り継ぎ自体にただ順路に従うだけでさして苦労はしなかったが、パスポート、チケットの確認、そして手荷物検査があり、ここでのボディチェックではこんなに触られるんだ、というくらい執拗に全身をさわさわされ(もちろん同性にですが)思わず夫と笑ってしまった。
ちなみにここでペットボトル飲料を事前に捨ててしまったのだが、夫のは取られていなかったので、乗り継ぎ前に買ったペットボトルは見逃してもらえるのかもしれない。帰りの乗り継ぎで、口をつけていない水を捨ててしまい、3ユーロもしたのに、悔しいぃ…と歯噛みした。

航空会社が異なる乗り継ぎでも、乗り継ぎ自体に時間が余裕があり、同一ターミナルであるのなら(通常は同じか?)基本的には問題は無いと感じた。


とにかく広い、大きい。

4、 エアチャイナの機内

まず前提として、私はあまり機内での快適性に多くを求めないタイプだ。エコノミー上等。LCCでも全然OK人間なのだ。
そんな自分なので大きな不満はないが、もし予算に余裕があるのであれば、エアチャイナ自体は積極的にお勧めしたいとは言えない。
はっきり言うのも躊躇するが、機内の設備があまり芳しくない。
例えば映画。長距離フライトでは欠かせないお楽しみ要素であるが、ラインナップがとにかくしょっぱい。
日本語字幕や音声はまずほとんど皆無であるし、ハリウッド映画系に至っては首をかしげるような感じであった。かろうじで「すずめの戸締り」、あとはいつのだか分からない忠犬ハチ公系の映画しか日本語で観られるものはないし、英語でもまぁいっかと思えるものもディズニーピクサー系が3作品くらい(1つは中国らしくカンフーパンダなど)であった。周りを見渡して、こんなに乗客が映画を観ていない長距離フライトの機内は始めてであった。
中華系のドラマや映画は充実していたように思うのだけど、中国人でさえ、私の視界では誰1人画面を観ていなかった。異様な光景である。
こうなると、スマホに入れてきたKindleなどで時間をつぶそうとなる。そうなるとさて、充電はもちろんあるでしょうな、と座席ななめ下をのぞきこむと、怪しく緑色に光る電源口を発見。よくよく見ると、まさかの非USBポートなのだ。え?そんなことあるんだ?
という事で、もしかしたら行きも帰りもハズレ機体を引いたのかもしれないが、ひとまずスマホ関連は満タン充電で臨むか、中国対応のプラグを持っていくことをおすすめする。正直バッテリーを持ち込んで充電することもできるのだが、機内では本来禁止されているという事で、通りすがりのCAさんにしっかりめに注意されてしまった。(北京空港でもチャージスポットがあったように記憶しているが、確認していない。そこはどっちだったのだろう。)

あとは夫のほうの画面自体が壊れていてうんともすんとも反応しなかったり、ライトの向きがバラバラだったりした。
席のライトに関しては閉口した。自分のをつけると2個隣の席に当たる。推理パズルゲームじゃないんだからさ…。寝ている人は急にピカピカと顔を照らされて至極迷惑な話である。
また、CAさんやご飯の質はまずまず、といった感じ。

合言葉は「期待はしない」である。
そんなこんなで、機内の快適性を重視する人には決してお勧めは出来ない、という感じだった。


小鉢は、給食で昔出てきたような謎の海藻の和え物。ごま油風味でした。

5、 旅程

下記が、夫と唸りながらも決めていった最終的な旅程である。
体力がない私には、この日は移動日と割り切る日をいくつか設けたことが、結果的によかったと思う。もしその日に少しでも観光ができればお得な気分でうれしいし、出来なくても「予定通りだな」と納得できたからだ。

1日目:(前の晩は羽田空港近くのホテルに前泊)早朝の羽田から北京乗換えでローマ フィウミチーノ空港へ。同日の夜19時半着。ローマ泊。
2日目:ローマから高速鉄道でフィレンツェへ。フィレンツェ泊。
3日目、4日目:フィレンツェ観光
5日目:フィレンツェから電車でキウージ駅へ。キウージからバスにてモンテプルチャーノへ。モンテプルチャーノ観光。同場所にて泊。
6日目:モンテプルチャーノからピエンツァへ。ピエンツァ泊
7日目:ピエンツァ観光。
8日目:ピエンツァからバスでシエナへ。シエナでプチ観光の後、電車でフィレンツェへ。フィレンツェ泊。
9日目:フィレンツェからローマへ。ローマ泊。
10日目:ローマ、ヴァチカン観光。ローマ泊。
11日目:ローマ観光。夜の便でフィウミチーノから北京乗換で羽田まで。ローマ泊。
12日目:夜21時半に羽田着。

こうやって見ると10日間いるのにもかかわらず有名な大都市は2つだけである。夫の希望でもあったヴェネチアにも足をのばすことは不可能では無かったのだが、私のわがままで今回はトスカーナの田舎の街をメインに選んだ。
ちょっとした旅の苦労は、あとから良い思い出になる。
今回の旅、トスカーナの田舎で体験することになったバス移動の冒険は、その意味では心に残る体験になった。

実際の旅がどのようになったかは、次の機会があれば書いてみようと思う。


景色が素晴らしいモンテプルチャーノのトラットリア。数えきれないほどカプチーノを飲んだ。



 



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