プールやるやる詐欺
「あのさぁ、今日さぁ、買い物行こうか♡」
「プールやりたい」
息子によって即座にかぶせられた母の誘い。
ええ、そんな気はしたけどね。
「いいけどさぁ・・やるよね?」
「うん、やる」
「本当に、プールやるよね?」
「うん、やる」
この炎天下、汗だくになって準備すんだから、
「本当にやるんだよね?」
母の圧たるや。
真剣な目で「やる」と言ったあなたを母は信じるよ?
日焼け止めを塗り、アームカバーをして、麦わら帽子をかぶり、タオルを首に巻き、準備スタート。
暑い。
外に立ってるだけで汗が吹き出す。
ポールをたて、日除を設置し、プールをざっと水で洗い流し、よっこらよっこらウッドデッキに運び、空気を入れ直す。
暑い。
そして、ホースで水を入れ始める。
しばし、このまま。
暑い。
汗だく。
母、着替える。
プールに水が溜まり、
さぁ、プールで思いっきり遊んでらっしゃいな
しかし、プール遊びって、なんで、あんなに揉めるのか。
ガラガラ(窓を開ける音)
「おかあさーん、Yくんが嫌いって言ったぁ」
ガラガラ
「おかあさーん、Sくんがつねったぁ」
ガラガラ
「おかあさーん、Yくんが蹴飛ばしたぁ」
ガラガラ
「おかあさーん、Sくんが貸してくれなぁい」
ガラガラ
「おかあさーん、Yくんがやめてって言ってるのにやめてくれなぁい」
ガラガラ
「おかあさーん・・・」
あああああああああああ
だまらっしゃい!
数分おきにくる交互の喧嘩報告なんなん?
エアコンの冷気が逃げる!
そして、30分ほど遊び、
ガラガラ
「ちょっとさぁ、休憩しようかな」
え、もう出んの?
母の無言の圧。
「ちょっと、休憩してぇ、あっ!もうお昼だし、お昼ご飯食べてぇ、もう一回プールやる」
私たちは、3人でカップラーメンを食べた。
(なんだろね、プールの時って、カップラーメン食べたくなるよね)
「あーお腹いっぱい♪ちょっと休憩してぇ、それでぇ、またプールやるわ」
休憩が多いな、おい。
まぁ、食べたばっかりやしね。
ええ、そうしましょうよ。
そして、テレビタイム。
終わらぬ休憩時間。
「プールやんないの?」
母の圧に、慌ててテレビを切る兄。
そして、全裸になる2人。
そして、
戦いごっこを始める2人。
え、なんで?
全裸の坊やが2人部屋中を走り回っている。
「ちょっと!危ない!」
「ちょっと!頭はダメ!」
「ちょっと!投げないで!」
「ちょっと!こっち来ないで!」
あああああああああああ
イライラする
ってゆーか水着着ろや!
そして、プールで遊べや!
母の叫びなんて聞きやしねぇぜ。
にしても、楽しそうだな。
なんで、全裸になるとあんなテンション高くなるんだろ。
開放感?
あぁ、プールに浮かんでる浮き輪が寂しそうだ。
「プール!!!!!!!!!!!!!!」
と、再度叫ぶ母。
しかし、ふと我に返る。
なんで、こんなに私は、プールに入れと眉間に皺寄せて、叫んでるんだろ。
WHY?
あぁ、そうだ、きっと。
汗だくになって準備したのに全然遊ばねぇしってことに、今まで何度もなっているからだ。
兄弟による、
プールやるやる詐欺
とでもいいましょうか。
だから、何がなんでも遊んでくれって思っちゃうわけですよ。
眉間に皺寄せちゃうわけですよ。
片付けるのだって、大変なんだから。
水抜いて、洗って、干して、ってさ。
また、汗だくよ。
せめて、楽しく遊んでちょーだいよ。
白熱した戦いごっこが繰り広げられてる中、
「プール!!!」という圧を1時間ほどかけ続け、
全裸兄弟はやっと入水した。
はぁ。
マジで疲れる、プール遊び。
と、ここまでnoteに綴っていたら、
プール出るらしい。
まぁ、もう17時だしね、いいんじゃないでしょうか。
「栓開いて、水ぬいといてくれるー」
と、言うと、
やれ僕がやる
やれ僕がやる
と、また大揉めですよ。
栓開くの、どっちでもいい
マジで疲れる、プール遊び。
来週もまた、連日家プールでしょう。
兄弟による、プールやるやる詐欺に立ち向かうべく、
母は、
圧をかけたいと思います。
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