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息子のハッピーバレンタイン
ピンポーン
時刻は18:30。
インタホーンが鳴った。
「あっ、あのっ、お忙しい時にすみません。Hです」
モニターにバレエ帰りであろうひっつめヘアの可愛いHちゃんが映っている。
これは、もしかしてもしかして・・・アレじゃないの!?
Hちゃんは、息子の幼馴染の女の子。
4歳の頃から毎年バレンタイン、ホワイトデー、お互いのお誕生日にはプレゼントを贈り合っている。
息子のお嫁さん候補No. 1だ。
「あっ!Hちゃんだ!○くんHちゃんきたよ!!」
浮かれる母。
「・・・バレンタインかも!!」
顔がニヤける息子。
iPadで絵を描いていたがすぐに手を止め急いで玄関に向かう。
「あっ、僕、ははは裸足だ。どうしよう」
「そんなん裸足でサンダル履けばいいやん!」
「これ?このサンダルでいい?」
「うん。それそれ」
「あっ、これ○くん(弟)のだった、僕のは?僕のはどこ?あっ、こっちか!」
玄関の鏡で髪の毛をチェックする息子。
スマホの動画を準備する母。
あたふたが過ぎる親子。
ガチャ
「○くん。ハッピーバレンタイン!どうぞ」
「・・・ありがと」
声、ちっさ
「チョコレートの下に、ホワイトチョコが隠れています!」
息子、無言。
でも俯くその顔からニヤコラが溢れちゃってる。
「Hちゃんバレエ帰りなのにありがとねー!Hちゃんのバレエの発表会、絶対観に行くからね!」
「え〜!ありがとうございます!お忙しいのに!」
Hちゃんの受け答えが素晴らしすぎる。
息子はというと、キャッキャしている私とHちゃんのそばでずっともらったチョコを見つめながらニヤコラモジモジしている。
この感じ、4歳の頃から変わってない。
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靴箱の靴をいきなり数え出したっけ
お互いもう8歳。小学2年生だ。
息子は学校に行っていないので、Hちゃんとほとんど会わない。
Hちゃんもそろそろ好きな男の子くらいいるかもしれないし、もうバレンタインもないかな〜と思っていた。
だから、嬉しかった。
息子よりも私の方が嬉しかったかもしれない。
まだこの可愛い2人の姿を特等席で見られたこと。
Hちゃんが、学校に行っていなくても会わなくてもこうしてわざわざチョコレートを届けに来てくれたということ。
嬉しい。
その、心で繋がっている感じが嬉しい。
そろそろお年頃になってくるだろうしね、こうやって親が2人の側でやり取りを見届けるなんてもう本当に本当に今年が最後かもしれないな。
可愛い2人をこんなに近くで見てこられて幸せだ。
Hちゃん、息子を笑顔にしてくれてありがとう。
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息子は照れちゃって一言も喋らなかった。
でも、Hちゃんは帰ってから「私にはわかる!○くんのあの照れは喜んでくれているはず!」と言っていたそうだ。
Hちゃん、わかってくれてる・・・。
母、感動。
息子もお風呂に入りながら「お返しは何作ろうかな〜」とニヤコラしていた。
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Hちゃんの名前と息子の名前には同じ漢字が入っていて、どちらも同じ意味の名前だ。
お互いがお互いを照らすようなそんな関係であってほしい。
ずっと仲良しでいてほしい。
過ごす環境は違っても、進む道が違っても、
心で通じ合っているような、そんな2人でいてほしい。
そして、やっぱり思う。
いつか、息子のお嫁さんになってくれませんか。
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※※追記