見出し画像

映画『アルピニスト』を観て。

この映画、題名(The Alpinist)のとうり山に挑む登山家の話でした。と、いっても登るというより実際は命綱なしの状態で死と隣り合わせになりながら頂を目指すフリークライマーの実録ドキュメンタリーです。

挑戦する度に現れる命の輝きと同時に、素晴らしい景色が映し出される映像。とても良い。

こういう山岳物の映像を見つけると、いつも観たくなる私は今回も見つけてすぐ鑑賞。最後は、なんだか胸に込み上げるものがありました。

命をかけた挑戦をしている人はいつも死と隣り合わせ。そして怖い事をしている事も自覚している。だけど、とても無邪気で楽しそうで輝いているんです。まるで、小さい子供のように…

「生きている」という実感はある意味「死」に直面して初めて真に実感できる。

「死」が間近に見えると、「今」が本当に輝く。

自らの身体と最小限の道具だけで、自然に身を委ねつつも挑むフリークライマーは、自分の身体に対するありがたさや自然を感じる尊さを理屈ではなく究極に理解している人達であろうと思う。

そしてフィルムの中でも言及されていたが、半数は山に向かいあっている間に命を落とすとのこと。

しかし、それは彼らの人生。一瞬一瞬、とても輝いている。命短いものもいるが、消え去った後も彼らの姿にはとても考えさせられるものがある。
おそらく、もし終わりを迎えたとしても最後に後悔は大きくはならないだろう。

どこに自分の脚と手を置き進むのかの姿勢、そして目線全ての動作が自らの責任において決断して選び抜かれているからだ。
もしも不慮の事故が起こったとしてもしっかりと人生を歩んできたといえると思う。

とても印象的だったシーンがある。それは、クライマーのマークが初の単独登頂したいと決めた場所には撮影クルーさえ同行して欲しくないと言った場面。
本当に自分だけでないと意味が全く異なってしまうと…。

とても、徹底している。

なるほど、自然と自分だけでないと最高の体験ではないとの言い分も筋が通っているなぁと……

人生はとても些細な決断の連続。そして、何を選ぶかでどう感じるかは異なってくる。
それは個々の人生の宝であり誰のものでもない。

“登頂したかどうかよりもそこに至る過程が重要”なのは人生でも同じ。

沢山の人達が、自分が登山家じゃなくてもクライマーの話に興味を持つのは「人生」をこんなに映し出す題材はないからだと思う。

この映画『アルピニスト』は、マークだけじゃなく周りの人達の温かさもすごい良かった。母親の真の愛情もとても素敵だった。

ぜひ、おすすめの映画です!

映画レビューいろいろ!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集