仕舞う、終う、しまう
きっと、一度は感じたはず。
思い出は、いつも匂いとともにある。
お母さんの得意料理の混ぜご飯
2階からキッチンへ降りていく途中、この匂いを嗅ぐだけで心が踊った。
高校の時の楽しみはタオルの匂いでどのプレーヤーのものかあてること
変態みたいだけどマネージャーだったらやったことあると思う。
ちなみに私は汗の匂いが全然大丈夫らしく、みんなが顔をしかめる汗まみれのTシャツを喜々として干していた。
そして、表せない匂い。
思い出せなくなっても、忘れることはない。
低い体温も、声も、わたしが持つことのできない手も。
嗅覚は五感を蘇らせる。
ほんとうに、鮮やかなまでに。
嗅神経は唯一大脳に直接届く神経らしい。他のニューロンに情報を手渡すことなく、自分が受け取った刺激をダイレクトに私たちに届ける。
古代から存在する感覚
思い出の宝箱を守る、1番大切な鍵。
だんだんと薄れる匂いの記憶は苦しいけれど
始めるために終わりを決めることも必要だから
時間に蝕まれるのではなく、抱いたものまるごとを封印して、
いつか忘れてしまったときのためにしまっておくの。
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