【読書】一人1台のルール
こんばんは。育休中教員のmiiです。
先日読んだデジタル・シティズンシップに感化され、さらに学んでみたくなったため、より実践例を仕入れようと『一人1台のルール:自由にデジタルを使えるようになるために』を読みました。
この本では、学校法人栄学園さとえ学園小学校での実践が紹介されています。本書で紹介されている「さとえ式レベルアップ型ルール」は、禁止型のルールではなく、自由にiPadを使えるようになるためのルールにしています。iPadを「かしこくなるための道具」として位置づけ、「かしこくなるため」にどのように使ってほしいのか、どういうことはできるようになってほしいのか、ということを明確にしているのが特徴です。デジタル・シティズンシップとも合致してますね。
今日はこの本で学んだことをまとめます。
1,児童を信頼する
さとえ小学校で設定されているルールは、グリーン→ブルー→ゴールドとレベルアップ型になっており、レベルごとにできることが設定されてます。例えば、グリーンではカメラ、スクリーンショット、インターネット検索等が使用でき、授業中に学習目的と家庭での宿題目的に使用できる。グリーンでは休み時間に使う時には教師かゴールドレベルの児童の許可がいる。ブルーでは、AirDrop、ブック、print等使用機能が増え、休み時間にも決められた場所で使用できる。ゴールドになると、ビデオ通話、メッセージ、Siri、TouchIDの使用も認められ、iPadの保管場所や使用場面の制限も無く、プログラミングキットも使用できるようになるそうです。
しかし、このようなレベルアップには、スキルとモラルが求められます。この本を読んで驚いたのは、ここで求められるスキルとモラルがとてもハイレベルなこと!いや、大人が使う時には当然身に付けておくべきスキルとモラルですが、でも、みっちり完璧に身に付けられているかと問われれば、私は。。できていないかも。。
児童に高いスキルとモラルを求めることは、教師の更に高いスキルやモラルが求められると思います。また、児童がここまで身に付けてくれるだろうという期待の表れでもあるのだと思います。そういった児童の持つ能力、成長力を信頼することの大切さを学びました。
2,失敗を恐れない
私は、このような先進校の取り組みを見るたびに、「あぁ、賢い学校だからできるのだなぁ」と思っているところが実はありました。しかし、さとえ学園小学校でも初めにiPad導入時には様々な失敗があったそうです。
実は、レベルアップ型ルールを設定する前は、児童会が定めたスローガン「iPadはかしこくなるための道具だ!」をもとに、児童がiPadを活用するに際して、かしこくなるための、そうではないのかを自ら判断して活用させるようにしよう、というものでした。 (中略) しかし、iPadはそう甘いものではありませんでした。日本に染み付いている「iPad=遊び道具」は払拭できませんでした。休み時間になると、授業の続きだといいながら授業と関係ないサイトを見て、それを友だちに紹介して伝染していき、授業中でも隠れて見ていくようになりました。
私の勤務校でもありそうな問題だなと思いました。失敗はどこでもある。失敗があり問題が起きたら、そこで、有効な策を打てるかが大事なのだなと思いました。ただ、起こった問題に対して叱ったり、なぁなぁの対応をするのではなく、具体的な対応策を打ち、それを軌道修正していく。トライ&エラーの姿勢を大人が見せることも、子どもの学びに繋がるなと思いました。
3,保護者と連携する
このレベルアップ型ルールでは、レベルアップの際に家庭での使用状況を保護者にもチェックしてもらうそうです。その際、ルールを守れているかどうか、疑わしきは黒で判断をするように事前にお願いをしておくとのこと。iPadを使った学習の意義、情報スキルとモラルについて保護者に丁寧に説明し理解をもらえないとできないと思います。
また、保護者から「iPadについて、子どものほうが詳しく、何をやっているのか分からない」「親の知らない所で子どもがiPadを操作してしまう」といった内容の相談を受け、保護者研修会も実施したそうです。保護者の声に耳を傾け、出てきた問題に真摯に対応する姿勢が素晴らしいと思いました。
全体の感想
私の勤務校でそのまま取り入れるのは難しいですが、子どもたちの身に付けるべきスキルやモラルを具体的に職員全体で共有することがまず大事だと思いました。身近にある賢く使える道具として自発的に活用していける児童を増やしていきたいです。
本書では、学習に使えそうなアプリとその活用方法のヒントもたくさん紹介されていたので、また見返して使っていきたいです。