ユーザビリティエンジニアリングをどう読み実践したか
ポップインサイト社主催のセミナー「UXリサーチ初学者の壁とは~樽本徹也さんをかこむ会」にて登壇させていただきました。日本を代表するUXリサーチャーである樽本さんのお話が聞ける貴重な機会ということで、300名以上の方にお申し込みいただいたようです。
私は「ユーザビリティエンジニアリングをどう読み実践したか」というタイトルで、ご本人の前で恐縮ながら樽本さんの名著の自分なりの読み方をお話をさせていただきました。発表資料はこちらです。
私は新卒でリクルートに入社しはじめはデジタルマーケティングの部署にいたのですが、部署異動を経てある時プロダクトマネージャーになりました。その時の経緯はこちらのnoteにも書いています。
さらに担当することになったのが既存アプリのリニューアル。デジタルマーケティング担当時代からログ解析はやっていたのですが、サイトログからの課題は特定できてもそこからどう進めていいのか全くわかりませんでした。そこから試行錯誤しながら進め、振り返ってみると以下のようなプロセスをたどりました。
この中でも今回はこの課題探索のプロセス、社内でユーザーテストの協力者を募って実施するときにユーザビリティエンジニアリングをどう読みながら実践したかを具体的なページを挙げながらお話しました。
ユーザビリティエンジニアリングの読み方
まず始めにこの本を読む上での私なりの大原則2つ。
①本に書いてあるとおりに実践する
インタビューのテンプレ文が載っていたりととても実践的なので、まずは真似してやってみること。まずは型どおりにやってみて、ある程度コツを掴んでからアレンジしていくのがお勧めです。
②必要なところから読んでいく
ユーザーテストを行うまでには以下のようなプロセスがあるかと思います。私が各プロセスで参考にした具体的なページを紹介していきますので、まずはここだけでも読んでみてほしいです。もちろん、イラストやコラムも多くとても読みやすい本なのでできれば全部を読むことをおすすめしますが、取っ掛かりとしてまずは評価のパートから入って自分の現場で実践サイクルをまわすのが良いと思います。
調査全体の計画
【Part3 評価】Chapter8 ユーザーテスト
・8-1②ユーザーテストの概要(P157)
・8-2①思考発話法(P159)
・8-3②ユーザーテストの被験者数(P171)
【Part3評価】Chapter9 ユーザーテストの準備
・9-1テスト計画(P180)
→社内実施なら③ユーザーテストの費用はスキップしてOK
リクルーティング
【Part3評価】Chapter9 ユーザーテストの準備
・9-2リクルート(P186)
→社内実施なら②スクリーナの作成③リクルートの実施はスキップしてOK
設計
【Part3評価】Chapter9 ユーザーテストの準備
・9-3①タスクの設計(P195)
→NGパターンにも目を通しましょう
・9-3②インタビューガイドの作成(P201)
→ガイド例をテンプレとしてまずはそのまま使ってみましょう
・9-3③実査ツールの準備(P205)
・9-3④パイロットテストの実施(P207)
実査
【Part3評価】Chapter10 ユーザーテストの実施
ここは全部読んでください
分析
【Part3評価】Chapter11 分析と再設計
ここも全部読んでください
樽本さんの研修で学んだこと
このユーザビリティエンジニアリングを読んだほか、私は上司のお勧めで樽本さんの研修にも参加しました。そこで学んだこととして、以下2つが大きかったです。
・ユーザーテストはDIYできる
予算がなくても機材がなくてもユーザビリティテストはできる!これを知って、まずは小さく社内で協力者を募ってユーザビリティテストを行いました。
・まとめて発注したら安い
ユーザビリティテストを外部の会社にお願いすると、数十万から時には数百万ほどかかって非常に高い印象があるかもしれません。しかし、3ヶ月分隔週のリクルーティングを発注してスクラム開発においてもスムーズにリサーチができるようにしました。これは前職でも現職でも続けていることで、私のアジャイルUXリサーチの原型になっています。これも別のイベントでお話しましたので、ご興味のある方は以下noteをご参照いただければと思います。
最後に宣伝
来年の春を目処に私も同僚とUXリサーチ実践本の出版を予定しており、私たちはリサーチャーらしくその本自体もリサーチしながら作っていきたいと考えています。名付けてMeta UXR (=UXリサーチをメタ的にリサーチする)プロジェクト!
プロダクト開発でプロトタイプを検証してより良いサービスをつくっていくように、本も編集会議をオープンにしてフィードバックをいただきながらつくっていけたらと考えています。そしてこれは共創型デザインプロセスの実験でもあります。このプロジェクトについてはまた別途noteに詳しく書きたいと思っていますが、まずはstand.fmでの音声配信をはじめてみました。ぜひお気軽にご意見ご質問などレターをお寄せください!