離れてもなお、好きが溢れすぎてまた住みたい街、福岡・薬院
生まれ故郷や地元のことを「マイホームタウン」ということがあるけれど、私はそれ以外にも「マイホームタウン」がある。
人生ではじめて一人暮らしをした街
福岡は中央区・薬院。
福岡の中心部・天神の隣駅であり、博多駅からも地下鉄で7分という、とってもいい立地。
仕事で通いはじめてからは、かれこれもう8年の付き合いになり、6年間この街に住んでいた。(住んでいた住所は「平尾」なのだけど、絶対的に薬院駅が最寄駅なので、「薬院」とさせていただきます)
2023年の4月末をもって一旦地元(同じく福岡市内だけど別の区)に帰ってきたので、残念ながらいまは住んでいないのだけど、ただ、また機会があればぜひ住みたいと思っている街。
この記事では、わたしが薬院に惚れ込んだ理由や場所を、少しでもお伝えできたらと思う。どうやら私がこの街を好きすぎて、また、魅力がありすぎるがあまりに、何を紹介するにもボリュームが大変なことになってしまったのだけど。
アクセサリーパーツショップ《Dua》
わたしの人生のターニングポイントだと明言できるのが、この《Dua》というお店との出会い。
Duaは2015年に薬院1丁目にopen。私は、地元のスーパーの求人情報紙で、偶然オープニングスタッフの求人募集を見つけ、無事に採用いただき入社。そこから2022年まで約7年間お世話になった、とてもたいせつな場所だ。それまで縁もゆかりもなかった私の薬院生活のスタート地点だ。
近所の方もあまり通らないような、車1台が通れるほどの小道沿いにDuaはある。
小さな店内には世界中から集められたアクセサリーパーツがならぶ、ならぶ。
聞きなれない方も多いと思うので簡単に説明をすると、「アクセサリーパーツショップ」=「アクセサリー作りをするための材料屋さん」、よりシンプルにいうと「手芸屋さん」である。
ご自身でハンドメイドをされる方は間違いなく楽しんでいただけるはずだけど、自分で作るのはちょっと、ね…という方は、アクセサリーのオーダーもお願いできる。店内のお気に入りのパーツでオリジナルアクセサリーも作れてしまうのだ。
どちらの興味がない場合も、ぜひともこの空間だけでも体験してみてほしいとすら思う。私は、スタッフとして、誰よりも長い時間をこのお店で過ごした人間なのだけど、”何年経っても、こんなスペシャルな空間にいれることがしあわせだ!!!”、と、いつも働きながら酔いしれていた。
リボンとカフェのお店《Pita》
Dua目の前の小道挟んだ向かいには、レトロな雰囲気漂うビルがあって、その2階に、姉妹店のリボンとカフェのお店《Pita》がある。
Pitaは、ここに辿り着くまでに過去に2度の引越しを経て、ようやく、このDuaの目の前にやってきた。お店をすぐに行ったり来たりできる距離にある姉妹店。それはもう、念願だった。
「Pita」とはインドネシア語で「リボン」という意味。その名の通り、店内の至る所に所狭しとリボンが並ぶ。(「Dua」は同じくインドネシア語で数字の「2」、由来はいくつかある。)
ご自身で製作をする方がご来店されるのはもちろんだけど、”リボンを結ぶ”以外の使い方が思い浮かばなくたって、ぜひ来てほしい。
そう、だって、この空間がかわいいのだから。
カフェでは、福岡発祥のコーヒーショップ・REC COFFEE監修のコーヒーをいただくことができ、元パティシエがプロデュースする季節のパフェなどのスイーツも味わうことができる。
こんなにも、心躍るかわいい空間で。なんだ最高か。
Pitaではワークショップも頻繁にやっているので、ぜひ、詳しくはInstagramやHPを見てほしい。余談であり宣伝だけど、ひっそり私のハンドメイドアクセサリーも並んでいる。
元Duaゼネラルマネージャーとして、初っ端から熱が上がりすぎた…ただ私がこの街を語る上で、ここは外すことは不可能だし、いまだって大好きな場所なのだからどうしたっておすすめなのです。贔屓しかできない!
ちなみに、博多駅の中にも《Rotti》という店舗があり、県外だと大阪・南堀江にも《Dua osaka》店舗がある。こちらもぜひご贔屓に。
タイ料理 《ドゥワンディー》
Duaから歩いて2分もかからない場所にある、同じく薬院1丁目界隈のご近所さんだ。
この日は、平日の14時過ぎにお店に着いて駆け込みランチ。扉を開けると「あ、みほちゃ〜ん!」という店主のちよみさんが、すかさず声をかけてくれる。
何を隠そう、ここは私が薬院時代に頻繁に通っていたお店だ。仕事の合間にランチへ行くことが多かったけど、ディナータイムに知人と行くこともあったし、仕事終わりに駆け込んで一人ごはんをすることもしばしば。風邪の引きかけのときにお粥を食べにきたことも…
この日はカウンター席に着席。
ドゥワンディーへランチに来たら、私は基本的に〈おすすめAランチ〉と決めているので、この日も写真用にメニューは開いたけど、実は座る前に注文は終えていた。
グリーンカレーやパッタイ、カオマンガイやガパオライスなど、そのほかのメニューも一通り食べて、どれも美味しいことはわかった上で、ドゥワンディー初心者の方にも、私はこの〈おすすめAセット〉をおすすめする。
理由としては、ほかのタイ料理屋さんではあまり食べる機会がないおいしい料理が、必ず味わえるから。
この日の〈鶏肉のハーブ和え〉もそうだけど、ほかのタイ料理屋さんで同じようなメニューを私は見かけない。時々、Aランチに出てくる、あのさっぱり酸っぱおいしいイカのサラダもここでしか味わえないし、炒め物系もごはんが進むいいお味。必ず付くスープもクセになるおいしさなのだ。
これにデザートがついて、880円という最強コスパランチ。
上の写真右側に写っているものは、生で食べれるナスだそうで、タイ人シェフのナッちゃんが、”ハーブ和えと一緒に食べたらおいしいから”と、厨房から突然持ってきてくれた。
ナッちゃんは、日本語がほぼ分からないので、タイ語で私にペラペラと話しかけてくれる。でも、私はタイ語が分からないので、いつもお互いの言語と表情で会話をする(おそらく内容は噛み合っていない)。そうこうしていると、奥様でもあるちよみさんが来て通訳をしてくれるのが毎度のシステム。
辛いものが大好きな上にイタズラ好きなナッちゃん。いつも私に「カライカライ〜」と言って唐辛子を提供しようとしてくれる(が、断る)。この日も、フードプロセッサーで刻む前の大量の唐辛子とニンニクを見せてくれたあと、厨房に戻ってなにか調理を始めた。
それがこちらだ。
ナッちゃんは、さっきくれたナスを千切って、この謎の液体にディップして美味しそうに食べた。私にも食べてみろという。
さっきの唐辛子たちがこれになったのか…?得体のしれない液体は、辛い以外の味の想像は付かなかったけど、私も辛いものは割と得意なため、ただの興味本位でナスを千切って、いざディップ!!!
めちゃくちゃ辛かった・・・(味はおいしい)
その様子を見たナッちゃんがこちらです。
ナッちゃんが右手で掲げているものがエビのペースト(カピ)で、これが茶色の元らしい。確かにエビの旨味がしっかりとあった。
「これ、夜のメニューなんですか?」と、ちよみさんに尋ねると「ちがうちがう、いまからみんなが賄いで食べるだけよ」とのこと。どうやら、キュウリなど、野菜などをディップして当たり前のように食べるものらしい。
元々エスニック料理は大好物だったけど、《ドゥワンディー》に通うようになり、知らなかったタイの味に出会って好きの幅がぐっと広がった。それはきっと、こうやって作ること食べることが大好きなナッちゃんのおかげだ。
そして、いつ行っても、温かく迎えてくれるちよみさんがいるから、またここに帰ってきたいと思う。私にとってみれば、ここは実家のように落ち着く場所なのだ。
エスニック料理が好きなひとになら、きっと気に入ってもらえると思う。
すぐ知り合いに遭遇するところ
この日、ドゥワンディーのあとに行く場所は決めていたものの、近くの街並みも写真に収めておきたかったので、撮影がてら少しお散歩。
ここは、さっくりと紹介していく。
目の前の道をDuaとは反対方向・薬院大通側に進むと、左手に見えるのがこの建物。
おしゃれな雑貨やインテリア、キッチン周りなど、暮らしのものが揃う人気のお店。《B・B・B POTTERS(スリービーポッターズ)》
インテリア雑貨ショップといったところだろうか。特に目星がなくとも、ふらりと入ることもあり、贈り物を探すときにも、いい感じのものが必ず見つかる。2階にはカフェもあり、ガレットやケーキがおいしい。ここの焼菓子が大好きで、よく休憩中に買いに来た。こちらもランチがあります。
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この写真の先には「薬院六ツ角」という、その名の通り六つの角がある交差点がある。これはその手前の道。
鶏皮の焼き鳥で超有名店となった《粋恭》や、おいしいもつ鍋やさんの《もつ料理幸》もこの道沿いにある。さらに先には、インドカレー屋さんやハンバーガーショップなどもあり、食べるにはとても充実しているのがこの界隈だ。
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ようやく次の場所に行こうとしたところ、道路の向かい側に知り合いを見つけ、すぐに目があった。「ちかこさーーん!!!」と呼ぶと、「みほちゃーーん!!!」と手を振ってくれたので、私はすぐに道路を渡った。
ちかこさんは元々Duaのお客様でもあり、すてきな笑顔が印象的な大好きなご近所さんだ。
Instagramでは繋がっているから、お互いにおおまかな近況は見ていたけど、会うのは多分2年以上ぶり。数分の間で近況を聞き、LINEを交換して近々お宅に遊びにいく約束をさせてもらい、お別れをした。
ちえこさんも「きっとまた逢えると思ってたけど今日だったんだね〜!」と言ってくれて、私も同じように思っていたし、ドゥワンディーを出てお散歩をしていなかったら、この日会えなかったと思っている。私とって、不思議なこういう巡り合わせエピソードがたくさんある街。
薬院の小さな喫茶店《ミックコメルシー》
Duaの目の前の小道を、北に徒歩1分ほど、走ると30秒ぐらいで着くであろう《ミックコメルシー》は、小さな喫茶店。
と、書いたものの一度も「藤野さん」とは呼んだことはなく、みんな「ミックさん」と呼んでいる。動物で例えるとくまさん(だと私は思っている)。
帽子と丸眼鏡はミックさんのチャームポイント、お店は一人でされている。
ここのショーケースには自家製のケーキやプリンが並び(もっとケーキをアップで撮るべきだった…)、夏季はかき氷もあり、夜限定でパフェもある。
ほかでは食べることのできない、ミックさんだけの少しだけ大人なスイーツが味わえる。
この日、私はガトーショコラとコーヒーのケーキセットをいただいた。
コーヒーはネルドリップで一杯ずつ丁寧に淹れられていて、ほんのりとアルコールを感じつつ、しっとりと、でもほろほろとした軽やかさもある、甘さ控えめなガトーショコラによく合う。
ここでも、どのケーキも食べてきたけれど、どれもおいしい。
ミックさんに来るようになったのも、Duaで働きはじめてからのこと。一人で来ることが多いので、基本的にいつもカウンターに座って、ミックさんと近況報告会になる。お互いのことやこの街のこと、共通の知り合いの話など。この日も久しぶりだったので、たくさんお話しをした。
一番最初の印象は、寡黙そうなイメージだった。けど、寡黙そうなだけだった。落ち着いたトーンだけど、おしゃべりをするし、ちょこちょこ毒が入ったりボケたりもする。こんなことを書いたら怒るかもしれない。
まだ、Duaで働いていたころ、仕事が終わったあと、項垂れながらミックさんに辿り着いたこともあったな。いつもお店や私の成長を見守ってくれていた気がしていて、この街にミックさんがいてくれてよかったな〜と何度も思ったことか。
小さな喫茶店って、どこか入りづらさもやっぱりあると思う。でも、安心してお店に行ってもらえたらうれしい、店主さんは、とてもすてきなひとだから。
カウンター席のほかに、窓際に2名がけのテーブル席も2席あります。
割と遅めの時間まで空いているのもうれしい、飲み帰りにもおすすめです。
あとがき
お気づきだろうか。この記事は「薬院」の街全体のこと綴るつもりで書き始めたのだけど、この文量を書いても「薬院1丁目界隈」のことしか紹介できていないことに。(これでも省いている箇所もある)
薬院には、大好きな場所も理由もまだまだたくさんある。近しいひとならすぐにピンとくる、私といえば…な、あのお店すらまだ書けていないのだ。また、続編を書きたいと思う。ぜひお楽しみに。
あ、なんか、この街おもしろそうだな〜!と、ちょっとでも思ってもらえたら本望です!
紹介させていただいた皆さまも、ありがとうございました!また遊びにいきます。