移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)

日本に暮らす移民・移民ルーツをもつ人びとの権利と尊厳の保障を追求し、誰もが安心して自分…

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)

日本に暮らす移民・移民ルーツをもつ人びとの権利と尊厳の保障を追求し、誰もが安心して自分らしく生きられると同時に、多様性を豊かさと捉える社会を目指して活動するNGOです。情報誌(Mネット)の記事を中心に紹介・販売をしていきます。HP: https://migrants.jp/

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大阪の運動のダイナミズムと「地域」の大切さ——座談会 郭辰雄さん×三木幸美さん

郭辰雄(かくちぬん)特定非営利活動法人コリアNGOセンター 三木幸美(みきゆきみ)公益財団法人とよなか国際交流協会 コリアタウンで移住連フォーラムを開催したことの意義 郭辰雄:今回のフォーラムをコリアタウンでできたことは非常に良かった。在日コリアンの抱えている課題や思いとニューカマーが直面している課題を突き合わせながら、今の日本の現状を立体的に見ることができたのが一つ。もう一つは、在日コリアン自身が日本の多文化共生と言われる、外国に繋がるマイノリティの人権を守っていくよう

    • 【オンライン参加者用】シンポジウム 「管理と排除に終止符を〜いま、わたしたちに必要な移民政策とは?」

       近年、日本では人口減少や労働力不足を背景に、「外国人材の活用」が進められています。「移民政策ではない」という言葉が端的に示す通り、「有用性」に基づいて外国人を選別し、評価する政府の政策は、人間としての尊厳と権利を蔑ろにしてきました。  2023年と2024年には入管法が改定され、国家にとって「有用な外国人」の受入れが拡大される一方で、難民の送還停止効の例外や永住資格取消しなど、管理と排除を促進する制度が確実に整えられています。このような状況の中で、在日クルド人へのヘイトスピ

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      • 特集 共生を阻む「永住資格取消し」

        法的地位の不安定化に抗う
 — 永住資格取消しは外国人に対する差別である国士舘大学 鈴木江理子  人権とは「人間としての権利」であり、「人間」であることに、国籍や民族、ジェンダーや在留資格などの違いは関係ない。にもかかわらず、この国では、外国人(市民でない者non-citizen)の権利が、極めて軽く扱われる。 手続き無視でねじこまれた永住資格取消し  今回の改定入管法に永住資格取消し制度が導入されるきっかけとなったのは、自民党外国人労働者等特別委員会の「技能実習制度・

        • 特集 2023年改定入管法施行でなにが起こるのか 現場からの声

          日本で暮らすクルド難民たちへの影響クルド難民弁護団 弁護士 大橋毅 送還停止効の例外規定、旅券発給申請命令制度など、日本で暮らす難民たちの状況に深刻な影響を及ぼしかねない内容が含まれている改定入管法は2023年6月に成立し、施行時期が2024年6月10日と発表され、その施行が迫っている。 送還停止効とクルド難民 送還停止効と呼ばれる制度は、難民認定申請をしてその審査中(不認定処分に対する行政不服法に基づく審査請求を含む。)の者は、例え在留資格がなく退去強制令書の発付を受

        大阪の運動のダイナミズムと「地域」の大切さ——座談会 郭辰雄さん×三木幸美さん

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        • 【無料公開】入管長期収容問題を考える(2020.4)
          8本

        記事

          ともに生きるためのネットワーク構築のとりくみ―コロナ禍の「緊急支援基金」から「アウトリーチ支援事業」へ

          移住者と連帯する全国ネットワーク安藤真起子 M-netの2024年4月号の第一特集は「相談支援事業」です。noteでは安藤さんの記事を紹介します。M-net本誌では、本特集の記事が他に7本掲載されています。本号全体の目次と購入方法はページ末尾のリンクをご覧ください。(編集記) 1.コロナ禍で立ち上がった支援事業(1)コロナ禍をともに生き抜くための「新型コロナ移民・難民緊急支援基金」(2020年5月-10月) 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、2020年5月か

          ともに生きるためのネットワーク構築のとりくみ―コロナ禍の「緊急支援基金」から「アウトリーチ支援事業」へ

          近年における「ヘイトクライム」の現状とその課題ーー求められる反差別法の整備ーー

          近年における「ヘイトクライム」の現状とその課題——求められる反差別法の整備 外国人人権法連絡会/市民セクター政策機構・客員研究員瀧大知 昨今、国内でも外国人/民族的マイノリティに対する「ヘイトクライム」(差別的動機に基づく犯罪)が頻発している。特に直近の事件は様々な面で今日的な社会状況を表象している。本稿では主に2020年以降におけるヘイトクライムの実態と特徴、そして筆者が所属する「外国人人権法連絡会」(以下、「連絡会」)の取り組みを中心に紹介しつつ現状と課題

          近年における「ヘイトクライム」の現状とその課題ーー求められる反差別法の整備ーー

          特集 教育行政の在日外国人教育「方針・指針」を継承する

          総論:忘れられた20世紀の「反差別」移住連子ども若者プロジェクト・元高校教員高橋徹 教室の中の排外主義を嗅ぎ取る力はありますか? あるベトナムルーツの女性から電話があった。「先生、日本国籍に変更したいのだけれど、やり方を教えて」。彼女は出産をひかえていた。小学校時代は、カタカナの名前ですごしていて、執拗ないじめに遭った。中学時代にその体験を、さらにベトナム人としての自分を確認するように、生きている自分を語ってくれた。高校時代に日本風の通称名を名のるようになる。出産をひかえ

          特集 教育行政の在日外国人教育「方針・指針」を継承する

          特集「移民・難民とアート」について

          倉敷芸術科学大学  川上幸之介 移民、難民とアートという組み合わせを聞くと、一般的には繋がりが想像しづらいかもしれません。この接点を振り返ると、絶対王政に対して新興の産業資本家を中心とする市民階級が政治的・経済的な権利を獲得し、近代資本主義社会への道を開いた市民革命と、植民地拡張と紡績工場を基盤とした経済の中で胎動し、商品の大量生産を可能にした産業革命へと遡ります。それは、この二重革命によってもたらされた階級、性差といった問題、それ以前に資本主義の勃興と共に始まった奴隷制に

          特集「移民・難民とアート」について

          【オンライン参加者用】シンポジウム「技能実習制度・特定技能制度の見直しから共に生活する移民社会を考える」

           技能実習制度と特定技能制度で働く外国人労働者の数は45万人を超え(2022年12月末現在)、多くがこの社会を支える産業で働いています。しかし、技能実習制度は「奴隷労働」であるとして国際社会からの批判を受け続けてきたように、この制度下では労働問題や人権侵害が多く発生しています。  これらの問題は、生活者(人間)としてではなく「労働力」としてのみ受け入れようとする制度構造の歪みが顕在化したものです。しかし、2022年11月に設置された「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関す

          ¥500

          【オンライン参加者用】シンポジウム「技能実習制度・特定技能制度の見直しから共に生活する移民社会を考える」

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          鳥井一平(移住連共同代表理事)インタビュー「外国人労働者が働く現場でいま起きている問題とその背景——その場しのぎの在留資格設計がもたらした混乱・差別」

          政府有識者会議での議論に欠如している重要な観点 いま外国籍の労働者を社会は求めているが、それは労働力としてだけでなく、地域社会の一員としての参加の求めでもある。しかし、政府の検討会や研究者の議論ではその観点が欠落している。 この社会では一般的に企業の社長は社会的地位が高いが、それは人を雇用することで地域社会に貢献しているということだろう。企業が地域を支配しているという企業城下町さえある。しかし、実際は、企業だけが地域をつくり出しているのではなく、その企業で働いている一人

          鳥井一平(移住連共同代表理事)インタビュー「外国人労働者が働く現場でいま起きている問題とその背景——その場しのぎの在留資格設計がもたらした混乱・差別」

          【無料公開】「ハーフ」になる日

          「ハーフ」になる日 とよなか国際交流協会 三木 幸美  私の名前は、名前からだけでは外国にルーツがあると一目でわかりにくい。人前で話をすると、ごくたまに「ハーフなのに日本の名前ですね」「名前にフィリピン名を入れた方がどちらも大切にできると思う」と言われることがある。逆に母の姓のPanggayan (パンガヤン)を名乗ると「こんな名前なのにすごく日本人ぽいですね!」「どうしてわざわざ入れるんですか?」と言われたりもする。私の正しい名前は何なんだろう、私は自分を何と名乗るべき

          「難民・移民フェス」座談会

          M-net 2023年6月号の特集は「地域社会で暮らす難民」です。特集のなかから、「難民・移民フェス」座談会を公開します。特集の残りの記事の詳細は記事の末尾を参照してください。(本記事は、難民・移民フェスのnote、渡邊さゆりさんのnoteでも同時公開されています) 「難民・移民フェス」は、2022年の初頭にイラストレーターで文筆家の金井真紀さんと金井さんの友人、筆者が、仮放免者のCさんが作っているチリ料理のエンパナダを食べながら話した会話をきっかけとして始まった。周知のよ

          定年退職できない人々

          移住連運営委員 稲葉奈々子 高齢者福祉の対象外の移民たち  高齢者福祉を担うのは誰か。社会保障制度は、しばしば、成熟した福祉国家の「北欧型」と、企業と家族が福祉を担う「中欧・南欧型」、市場原理に福祉サービスを委ねる「アングロサクソン型」に分類されてきた。日本はといえば、「中欧・南欧型」と「アングロサクソン型」の中間あたりに位置すると考えられる。  いずれの場合も、福祉の担い手として、政府、家族、企業が想定されているわけだが、どの「型」であっても、移民労働者が福祉の現場で大

          「食」の視点から何が考えられるか

          移住連編集部(和光大学) 挽地康彦 本特集のねらい 本号の第2特集では、「食と移民」をテーマに据えました。本誌で「食」の特集を設けるのは初めての試みになるかと思います。すでに食のグローバル化や多様化が進行して久しい時代にあるとはいえ、考察の切り口そのものは新しく、手探りする中で企画したというのが正直なところです。したがって、先の話になりますが、このテーマは本号で完結するものでなく、今後も幾度か設定されていくのではないかと想定しています。 さて、そうした前提を踏まえながら

          「食」の視点から何が考えられるか

          コミュニティ通訳から考える移民社会—日本は住みたいと思える国なのか

          武庫川女子大学/ NPO 法人多言語センター FACIL 吉富 志津代 はじめに―コミュニティ通訳―  コミュニティ通訳とは、日本に暮らす日本語の理解の不十分な住民が直面する言葉やコミュニケーションの壁をなくすための通訳で、主に「生活上の対話」の場面で「必要な情報」を伝える役割とされ、具体的には、市町村などの役所、学校、医療機関、支援団体などで必要とされる。そして、その役割のほとんどを、草の根レベルの市民の善意に依存しているという現状がある。この特集であげられている事例

          コミュニティ通訳から考える移民社会—日本は住みたいと思える国なのか

          「避難民」という言葉の意味するもの — 戦争と難民をめぐる法と政治

          明治学院大学 阿部浩己 人道の発露? 2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略は、半年余りを経ていまだ終息せず、市民の惨禍は増す一方である。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、8月15日時点で、国外に避難した者の数は1千万を越える。この大規模な緊急事態に対する国際社会の取り組みは、これまでになく手厚い。日本もその例外でなく、たくわえられていた人道主義のエネルギーが一気に解きはなたれたかのような情景が広がっている。 保護を必要とする人々に庇護の

          「避難民」という言葉の意味するもの — 戦争と難民をめぐる法と政治