amitie

元中学国語教員。学校図書館司書。むかしenpitsuに詳細に結婚や育児について書いたのに、いつのまにか泡と消えてた。言葉を紡ぐのがずっと好き。年下の大学生との恋愛の顛末を描いた短編は本になったことがある。

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元中学国語教員。学校図書館司書。むかしenpitsuに詳細に結婚や育児について書いたのに、いつのまにか泡と消えてた。言葉を紡ぐのがずっと好き。年下の大学生との恋愛の顛末を描いた短編は本になったことがある。

最近の記事

悟りの窓と迷いの窓 源光庵を訪れて

「そうだ 京都 行こう」のCM好きとしては ここを一度は是非訪れてみたかった。 悟りの窓と 迷いの窓。 紅葉にはまだ早いと分かっていたけれど どうしても、行ってみたくて北大路からバスに乗った。 途中でお醤油やさんと京漬物のお店を 目のセンサーがキャッチ。後で行くこととなる。 源光庵に1時間以上いた。 これまでは、まるでスタンプラリーを回るかのように、いかに効率的にたくさん有名な寺社や茶寮に行けるか勝負(だれと?)してた感じだったけど、今回は、ゆっくり味わいたかった。

    • 塩田千春つながる「私(アイ)」

      巡回ないのも納得。 記憶、つながり、出会い、別れ、経験、知識、愛、欲、衝動、、いろんなもので私は構成されている。 それらが結び付き、絡まり、途切れ、再生し 毛細血管のように 神経のニューロンのように DNAとも相まって 私という存在がある。 そこに色濃くずっと影響を与え続ける存在もいれば、零れ落ち、通り過ぎて後ろに去っていくだけの人も物事もある。 それらをひとつにまとめた「私」は いつか消えてなくなる。 愛されてきた記憶も 揺さぶられた感情も あんなにたくさん読んだ本

      • 『保健室には魔女が必要 MMMの息子』レビュー

        保健室の養護教諭と学校司書は、少しだけ似ている。どちらも、全校生徒(児童)と直接関わりを持つからだ。時として、担任や学年主任よりも距離が近くなることもある。この作品を読むと、そんな学校の内情を分かってもらえている気になる。石川先生の描く「みんちゃん先生」は、子どもたちの抱えている問題の本質を正確に見極めようとしてくれる。「おまじない」というカタチを取ってはいるものの、ベースにあるのはラポールだ。ともすれば、ここに問題があるのでは、という大人側のバイアスや「フィルター」について

        • 景観に溶け込む建築、下瀬美術館

          #夏の1コマ エントランスからして、ワクワク感が募る。 車を停めて、美術館へ向かうと ガラスに映る自分たちが、すでに大きな額縁の中の作品のよう。 お目当ての可動式展示室の色の配色、 その向こうの瀬戸内の海と島々のフォルムの 美しさ、 美術館のガラスに映り込んだ 夏の空、雲、連なる山々、その日の自分たち。 全てが唯一無二の、作品みたいだった。 特別展のエミール・ガレのモチーフに 蝉があったのは驚きだった。 冬に行こうと思ってたけど、 夏でよかった。 でも、違う季節の

          お茶漬けくちづけ「正三角関係」NODA・MAP

          許嫁、、、 初っ端からネタバレ。 玉砕、のところは、怖い言葉の羅列だったのに、怖すぎたからか、記憶が欠けてしまった。 ただの言葉遊びしてるところから、一気に突き落としにかかるからなあ、野田さん、ほんと油断ならない。 秒で完売のプラチナチケットが、まさかの発券してみたら実質最前列で、セブンで受け取ってから、もう背後から誰か襲ってこないか、チケットの日にち間違えてないか、濡れてないか、盗まれてないか、1時間に4回くらいカバンの中のチケットを確かめ確かめしながら、その日を迎えた

          お茶漬けくちづけ「正三角関係」NODA・MAP

          両手に抱えられない思いと花束とIKEAの袋7つ分の本と私物(辞校式の余韻のなかで)

          10年弱に及ぶ職を辞することにした。 本当は、今の学校図書館に異動してきて まだ1年なので、このままいたかった。 だが、今年度から扶養から外れることになり、 そのくせ勤務日数も勤務時間も増えず 勤勉手当がつき時給が少し上がるとはいえ 手取りが減ることは確実なので 大学生2人同時の学費負担に このままだと耐えられそうにない。 苦渋の決断。 同じ職種の先輩方は 「人材の流出」だと心を傷めてくださり 自分たちに、何かもっとできることがあったのではないか、と自分を責め それでも

          両手に抱えられない思いと花束とIKEAの袋7つ分の本と私物(辞校式の余韻のなかで)

          韓国旅行3日目 安国、東大門、エオゲ、弘大入口

          この日のみ、朝はゆっくりめに起床。昨日のカフェミニョンのタルトだけ食べてから、安国の韓屋カフェへ。 Cafe Onion 映える写真を撮れそうなカフェだった。 でも、そこまでの情熱は持ち合わせてないので、ぱぱっと撮っておしまい。 パンツのポケットにモバ充いれて、それにつなげたまますごいカメラで、いい角度で後ろ向きの女友達を交代で、山盛りのデニッシュと渾身の1枚✨を という彼女たちの真似はできないけど、せっかくここまで来たんだから、もうちょっと写真撮るのをオットに一緒に

          韓国旅行3日目 安国、東大門、エオゲ、弘大入口

          韓国旅行2日目 明洞、DMZ、狎鴎亭、江南、新沙、永登浦、龍山

          2日目は、ほぼ今回の旅行の2大メインイベント。38度線近くまで行くDMZツアー参加と、江南界隈散歩。 朝5時半前に起きて準備して、7時に明洞駅10番出口に到着。集合時刻は7時20分だから、優秀👏 と思ったら、10番出口そばに、でっかい「粥」の看板あり。 オットの希望として、「朝ごはんにあわび粥を食べる」というのがあったので、(お腹すいてないけど仕方なく)行くことに。20分に集合なのに、お粥やのおじさんも、間に合うって言うし。 でも、バスに何分乗るか分からないから、トイレ

          韓国旅行2日目 明洞、DMZ、狎鴎亭、江南、新沙、永登浦、龍山

          韓国旅行1日目 弘大

          初めての韓国🇰🇷は、女友達と行きたかった。基本装備である『愛の不時着』すら見ていないオットと行ってもなー。。 せっかく韓国行くなら、ロケ地巡りしたいし、お洒落カフェで映える写真撮りたいし、のんびりコスメを選びたい。 けど、それらに全く興味のないオットと攻防戦を繰り広げ、まあ、まあまあの満足具合 ( ー̀дー́)و 13時成田発で仁川空港着いたのが16時。 ホテル直通のバスがないと窓口で言われて、地下鉄で移動。荷物持ったまま弘大へ。 Tマネーのカードを空港のコンビニで作

          韓国旅行1日目 弘大

          愛の不時着の世界をより自分に引き寄せられるDMZツアー

          38度戦のいちばん近くまで行くことのできる、唯一無二の体験。 ガイドの丁さんが流暢に説明をしてくださるので、初めは大まかな説明を書き留めながら聞いていました。中身が濃くて初めて知ることも多く、いい学びになりました。同時に、帰ったらすぐに誰かに伝えたくなるような、「そうだったんだ!」というおもしろいエピソードも織り交ぜられていて、堅苦しさなく、ユーモアたっぷりでした。第三トンネルを歩く困難さも、あらかじめ何度も伝えてくれていたので、心構えができました。わたしは背が高いので、途

          愛の不時着の世界をより自分に引き寄せられるDMZツアー

          『窓ぎわのトットちゃん』非公認アンバサダー

          映画化される、という第一報が入った時から、待ちに待っていた公開日。 12月8日に初日を合わせてきたことから、これは、きちんと徹子さんの思いを汲み取ってくれる映画である、と確信していた。そして、そのとおりの作品になっていた。 小学生だったわたしが、毎晩母の読み聞かせを楽しみにしていた頃から40年の月日を経て、色と音のついたトットちゃんの世界に、出会い直すことができた。 松下奈緒さんと山本耕史さんの朝さんと守綱さんのドラマも、本当に完成度が高くて、当時としては、とてもハイカラな

          『窓ぎわのトットちゃん』非公認アンバサダー

          『アップサイクル! ぼくらの明日のために』佐藤まどか作 

          社会科の夏休みの課題をグループで考えていくのだが、全く説明くささを感じさせないまま、 読者の知識や世界が広がっていく。それは、魅力的なキャラクター造詣と、ぽんぽん弾むテンポのいい会話で成り立っているから。 普通の公立中では、なかなかここまでのことができる子も、それを受け止める先生の余裕もないだろうけれど、学びの本質は、こういうことなんだろうと思う。 ちょっとした事件も起こるのだが、その時の対応と言葉を、なにかといえば、すぐに双方に謝らせて握手させるような、典型的なダメなや

          『アップサイクル! ぼくらの明日のために』佐藤まどか作 

          「そうだ、選挙へ、GO‼︎」

          Netflixの『離婚しようよ』本当に面白かった。でもこれは、政治にまつわるエトセトラを追ってきてるからこそ、その面白さが分かるんだろうな。 『なぜ君は総理大臣になれないのか』や『香川1区』を映画館で観て、杉並区の区長選や区議会議員選を見てきて、女の人たちが自発的に各駅でひとり街宣を始めたり、事務所のデコレーションをしたり、写真やSNSなどで、各々が得意分野で推しを応援している様子が、まるでお祭りで、大人の文化祭みたいな感じを受けた。 参加されてる女性たち、すごく素敵な顔を

          「そうだ、選挙へ、GO‼︎」

          教え子たちとの、あんなこととかこんなこととか

          ①「好きやけ」 まだ図書室が正しく管理されておらず、学校司書も配置されていなくて、国語科の教員が多忙を極める合間を縫ってしか立ち寄らない頃。中学校の図書室は放置され、古い本の墓場と化していた。勤務していた学校には図書室が二つあり、一つは、まあ生徒たちの遊び場で人目もあったが、もうひとつの方は教室もない4階にあり、廊下を通る子も少なかった。 そこで本を探してほしい、と生徒に頼まれて勤務1年目の私は1gの猜疑もなく向かった。図書室にその子と入った途端、抱き締められた。一瞬、

          ¥300

          教え子たちとの、あんなこととかこんなこととか

          ¥300

          「離婚しようよ」脚本も役者との親和性も最高オブ最高

          私はむかしから言葉フェチなので、クドカンのことも大石静さんのことも、それはそれは尊敬している。『いだてん』の時は、クドカンと同じ時代を生きていることに天に感謝した。ちゃんと大人として、ある程度の知識を持って経験も重ねた上で、クドカンや大石さんを味わえる、この至福。同じ時代を過ごしてきて、『あまちゃん』の1980年代いじりのような、むかしを面白がることもできるし、『セカンドバージン』という言葉を作り上げる凄さも理解できる。 『離婚しようよ』は、政治に言葉を壊されたことへの怒り

          「離婚しようよ」脚本も役者との親和性も最高オブ最高

          田沼武能 「人間讃歌」

          むかし、ライターもどきだった頃、素敵な上司がいた。髪が艶々で、歌舞伎鑑賞が趣味で、美食家で華やかなお洒落。デスクと2人で名店に○をつけてくれた銀座の地図は宝物だ。 「このナイフだと、トマトのサンドイッチでも、ぐしゃっとならずにスパッと切れる」と薦められたブレッドナイフは今も健在だし、 幻のタルトタタンは美味しかったし、名入り月餅は、次男誕生時の内祝いとして大好評だった。 その月餅は、彼女が通う歯科医のプロデュースのものだった。名を清薫洞、という。 「あの田沼武能さんの奥

          ¥100

          田沼武能 「人間讃歌」

          ¥100