VueScanではなくSilverFastを使うことに決めたワケ

本記事は文字オンリーです。

以前から使っている写真サイト、Flickrのコメントで、
「SilverFastもいいが、VueScanってソフトもいいぞ」
との情報を頂いたので、こちらのソフトもちょっと試してみました。

結論から言うと、両方試していろいろ使ってみた結果、僕はSilverFastのSE Plus版を使うことにしました。

VueScanも良いソフトだと思いますし、SilverFastに不満がない訳でもありません。
そんな中でVueScanではなくSilverFastを選んだ理由をご紹介しようと思います。


機能は豊富だが、ドキュメント類の整備状況が残念

VueScanのライセンスは2種類のグレードがあり、フィルムをスキャンする際はProfessional版を使う必要があります。

僕が選んだのはProfessional版で、全ての機能を使用できるものでした。
確かに機能はかなり豊富で、細かいところまでスキャンパラメータが設定できます。
また、複数回スキャン(多重露光)機能などもあり、使いこなすことができればスキャナの機能をフルに活用できそうです。

が、非常に残念なことに
「どの機能がどう言う効果を持つものなのか」
「どのパラメータをどう編集するば、どう言う結果が期待できるのか」
「その機能を使用するために必要な条件は何か」
と言った、各種機能の細かい使い方がまとめられたドキュメントがなかなか見当たりませんでした。

英語で記載されたサイトなどはありましたが、やはり読むのに時間がかかります。

操作できるオプション項目の表示・非表示を切り替えることもできますが、その際の操作もちょっと分かりづらいな、と感じました。

SilverFastもドキュメントの整備具合はお世辞にも完璧とは言えませんが、それでもWeb上の日本語情報は結構豊富で、また操作方法もマニュアルを読まなくてもある程度わかる、と言う具合になっています。

この部分、「技術的な情報へのアクセス性」は、ソフトを使い込む上で結構重要な要素になって来ます。
使い方がわからない機能について、容易に調べられるかどうかは、使う機会が多ければ多いほど大事なポイントです


ユーザーインターフェースと用語が分かりづらい

前述のドキュメントや情報に関連するところではありますが、SilverFastと比較して
「ユーザーインターフェースが分かりづらい」
「画面上に表示される用語が示す意味が分かりづらい」
と言うポイントも、非常に残念なところでした。

基本的に操作のためのパネルが画面左側にあり、右側ではプレビューを確認する、と言った具合なのは両ソフトで共通でしたが、
「ユーザーがより使いやすいように」
「直感的な操作がしやすいように」
と言う設計思想が見て取れたのはSilverFastの方でした。

設定できるパラメーターの細かさや自由度は、おそらくVueScanの方が上かと思います。

すでにVueScanを使い慣れている方にとっては、何の問題もなく使いこなえせるのかもしれませんが、新しくVueScanというソフトを使い始める層にとっては、使い方が非常に分かりづらい、と感じてしまいました。

ただ、これは個人によって感じ撮り方が全く違うものになりますので、あくまで「僕個人はこう感じました」というレベルの情報です。

複数コマの連続スキャンの設定が極めてやりづらい

写真を撮るフィルムは、大抵の場合1本で複数枚のコマがあります。

フィルムホルダーにフィルムを入れてスキャンを行う際に、35mmフィルムであれば12コマなど、複数のコマをまとめてスキャンすることも多いです。

SilverFastの場合は自動コマ認識であったり、手動でコマを設定する事が結構簡単にできます。

が、VueScanでは複数のコマ読み取り対象にするための設定方法がどうしても分かりませんでした。

Webで情報をかき集めて、「こうすれば複数のコマを一気にスキャンできる」という情報にも行き当たりました。
その情報に従って設定をしてみても、どうしても2コマ以上のスキャン対象設定が出来なかったんです。

これは僕にとって、かなり致命的な問題でした。

おそらく機能的にはVueScanでも出来るのかもしれませんが、僕の環境下では出来なかった、というのが致命的な問題です。

一度のスキャンで複数コマを指定する、という操作に複雑な手順が必要になる、という事は、スキャン作業の効率がかなり落ちるという事になるので、効率的に、綺麗にフィルムをスキャンしたいと考えて導入するソフトとしては痛いな、と感じました。

フィルムのテンプレートが豊富、と言う割には…?

VusScanのレビューなどを色々とみてみましたが、
「フィルムメーカーや銘柄に応じたスキャンのためのプロファイルが豊富に用意されている」
という情報がありました。

これはフィルムスキャンを頻繁にやる僕にとっては、大きなメリットです。

ただ、このプロファイルを確認してみたんですが、SilverFastで用意されているプロファイルとさほど差がないのと、
「プロファイルをダウンロード可能」
という謳い文句の割に、どこからダウンロードできるのかも結局探し当てることが出来ませんでした。

公式サイトからのダウンロードかとも思いましたが、残念ながら情報が見当たらず…

現状僕が普段使うフィルムのテンプレートというかプロファイルは、SilverFastでも用意されていることが確認できていますので、ここは差別化にはつながらなかったなーと感じました。

同じ条件下でのスキャン処理時間が長い

そして何よりも痛手だったのが、
「同じフィルムの同じコマを、同じ解像度でSilverFastとVueScanでスキャンしてどっちが早くデータを出力できるか」
という方法で比較してみたんですが、僕の環境では5戦4勝でSilverFastの方が早く終わりました。

どう言った要因で差が出たのかは分かりません。

また、それぞれのスキャン時にかかった時間を計測したデータは残っていませんが、SilverFast側が1割〜3割ほど早く終わっています。

この辺はPCの構成なども関わっている部分かと思いますので、環境によっては逆の結果になることもあるかと思います。


結果

これらの内容から、
・VueScanのマルチスキャン機能などは魅力的
・ただし、マルチスキャン(多重露光)はSilverFastのSE Plus版のライセンスで使用可能
・リバーサルフィルムのスキャンにも、SilverFast SE Plus版ライセンスであれば対応できる
・SEからSE Plusにアップグレードする際のコストは、VueScanのProfessional版の購入額よりも4割弱低い
・ユーザーインターフェースはSilverFastの方が使いやすい
・スキャン作業にかかる時間も、SilverFastの方が(※僕の環境では)早い


追加で8,500円のコストを払ってVueScanを導入するよりも、5,800円ほどのコストでSilverFastのPlus版にアップグレードした方が良い

という結論に至りました。

実を言うと、VueScanの検証結果をより確実に見るために、一度8,500円でVueScanのライセンスを購入しています。
が、ありがたいことにVueScanは30日返金保証を設けてくれています。

サポートへ連絡し、返金を申し込んだところ翌日には返金処理がされていました。

今回はこのような結果になりまして、我が家の環境では引き続きSilverFastを使うことにしています。

追加コストを払って別ソフトに乗り換えるか、同じく追加コストを払ってライセンスをアップグレードするかの選択になったワケですが、やはりユーザーインターフェースが分かりづらい+ドキュメントなどの情報へのアクセスが難しい方に変える、と言う選択はできませんでした。

ちなみに、VueScanにも自動でのゴミ処理補正機能はついていますが、仕上がりにSilverFastと大きな差は見られませんでした。

VueScanは非常に機能も豊富で、RAWデータの同時保存などの機能も兼ね備えています。

また、Professional版のライセンスを購入すれば、その後のアップグレードや更新なども無料、と言った具合で、ライセンス料金面ではSilverFastに対して優位だと思います。

ひょっとして、SilverFastよりも先にVueScanを使い始めていれば、検証で受けた印象も変わっていたかもしれません。

なお、VueScanもSilverFastと同様に、無料でトライアルが出来ますので、ご興味が湧いた方は是非一度試してみると良いかもしれません。
※トライアル版では全機能を利用できますが、スキャン結果のファイル出力時に画像に文字が埋め込まれますので、そこだけ注意が必要です。


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