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久方ぶりに感じた風

今日私は久しぶりに自転車に乗った。

近くのスーパーまで買い出しに行くのに、たった片道10分ほどの事だったが、すごく懐かしい気持ちになった。

私の家からは少し遠い駅まで片道20分ほど。
だからという訳では無いだろうが、私の人生には自転車が常にそばにあった。
地元の友人と遊びに行くのも、高校までの通学で登る山道も、年越しの為に友達の家に向かうのも、全て自転車だった。

ほんの数ヶ月前までは毎日の通勤も、もちろん自転車だった。
しかし、それが無くなると、こんなにも自転車に乗らないものなのか。と今日改めて驚いた。


久しぶりに跨った自転車を漕ぎ出した。
雨上がりの鬱陶しい生温い風が全身にまとわりついてくる。
少しずつスピードにのり、漕ぎ進める。
あら?太腿にかかる負担ったらハンパないじゃないの。

そりゃ毎日こんなトレーニングみたいな事やってたんだから、自然と体型維持はできてたんだろうな。コロナ太りとかじゃないや、私は。なんて少し笑った。


昨日までの大雨で近所の川もいつもより水かさが増して、濁った水が留まっていた。
そんなに被害の出ていない大阪ですらこんな状態なのに、連日報道されている地域の川はきっと、手のつけられない状況なのだろうと、少し心が痛んだ。
自然の力の前には人間は本当に非力だ。

私に出来ることはほとんど無いのかもしれないけれど、気持ちばかりの募金をしようと決めた。

すれ違う人達は、お父さんと自転車を漕いでいる小さな子や、手を繋いで歩くカップル。
生温い風と、濁った川と楽しそうな人達がすーっと通り抜けていく。

自転車って地域とか周りの空気とかたくさんの事に気がつくのに1番ちょうどいいスピードなのかもしれない。


車に乗ってしまえば、快適に汗をかく事ものなく遠くまで行くことができるけれど、大人になった今だからこそ自分の力で漕いで、前に進む自転車で周りを感じてみるのはどうだろう?

私は生暖かい風なのに、なんだか清々しいサッパリした気持ちになった。
自転車さえあれば、どこまでも行けると信じていた高校生の頃を思い出したからだらうか。
そして改めて、自分の暮らす地域の自然の多さや、たくさんの人たちを感じられた。

きっと誰もが今までにない、たくさんの発見があるのではないかと思う。
梅雨が明けて夏が来たら、今日よりすこし先まで自転車で走り抜けてみよう。

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