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特集エッセイ

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就職氷河期世代に向けた、エッセイを発信します。
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#ロスジェネ世代

「ご縁と呼ぶにはあまりにも」

「ご縁と呼ぶにはあまりにも」

文・ハネサエ(OTONAMIE)

もしかして、私は途方もないことをしているのでは、そんなことを思ったのは短大2年生の夏頃だった。
2003年。時はまさに、就職氷河期と呼ばれる時代だった。

出しても出しても通らないエントリーシート、運よく通った書類審査も面接で振り落とされる。大口採用をしているという企業ならどうにか紛れ込めるんではないか、という甘い期待を頼りにかたっぱしから受けて、かたっぱしから

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分からないことがたくさんあって

文・ハネサエ(OTONAMIE)

もうすぐ子育て10年生で、ライター7年生になる。
長さだけで言えば、子育ては義務教育の過程を卒業したことになるし、ライター業は細々ながらも小学校を卒業したことになる。
なのになんてことだろう、いまだにいろんなことが分からない。
悲しいくらい、なにひとつ分かったような気になれない。
先へ先へ進むほど、いろんなことが分からなくなってどんどん自信を無くしていく。それな

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手を取ることは難しい

手を取ることは難しい

文・ハネサエ(OTONAMIE)

人よりできることがうんと少ないのに、私にとって、誰かの助けを借りることはとっても難しい。そう気がついたのは3人目の子を産んで、1年と少しが経った頃だった。

心身の疲労が限界に達したのだろう。なにをするにも時間がかかるようになってしまい、ある日とうとう布団から出られなくなった。
食事を作るどころか食べることさえできなくなって、子どもたちの世話もままならなかった。

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