詩: 熱せん妄
子供が悲鳴を上げて目を覚ます
布団の上を逃げまどう
いつも幸せに生きている人が
三度絶叫
本気で怯えているのでさすがにこちらもこわくなる
39.9度の夜
「へんなひと」のいる寝室から逃れて
明るい居間へ
何度も「こわい」と震えて起きる
子供の見ているものを
知りたいような、知りたくないような…
昔みた映画で
気の狂った姉と心を通わせたとき
弟の空にも、幻の雨が降り出した
「何もいないよ」
「ママも昔、熱が出てこわいもの見たよ」
「でも本当はいなかったよ」
「大丈夫、こわくないよ」
そう言えるのは
わたしには彼の幻が、見えないから
抱っこしてトントンして
歌詞をほとんど忘れた讃美歌を歌う
彼のリアリティを
私のリアリティに寄せていく
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