ひとり ふたり みんなでpizza。【食エッセイ】
ピザ、ピッツァ、pizza…
呪文のように唱えてしまうほど、ピザが好きだ。
子どもの頃、誕生日に何が食べたいかと聞かれれば、
迷わず「ピザ!」とリクエストをしていた。
両親は共働きで、平日の夜ごはんは同居する祖母が切り盛りしていた。祖母の料理は、和食や田舎ならではの創作料理を基本とする。
今思い返せば、ありがたい料理だったのだろう。が、子どもの舌はそう簡単には満足しなかった。
家庭では食べることのできない、あの洋風の味。
おかずとお米の行ったりきたりのない、シンプルな一品。大きなまるい丸い食べ物に、そのまま精神を集中させることができる。
それは当時の私にとって、某ファーストフード店を超える、革命的な出会いだった。
大人になり、ピザをよく食べるようになった。
友人たちと囲むランチで、サラダ・パスタ・ピザをみんなでシェアするという、ごまかしが効くものではない。
ただひとり、レストランでピザを頼む。その一枚を6カットにしてからいただく日があれば、丸いままの一枚をフォークとナイフで一口サイズに切り分けながら、その都度口に運ぶ、という日もあった。
この大きな一枚をひとりじめできる、
それがとてつもなく贅沢に思えた。
とある日から、事態が一変する。
夫と結婚後、新居に引越しするタイミングで、必要な家電を買い揃えることになった。どうやら、オーブンレンジはいいものを購入した方が重宝するらしいとの情報を耳にした。
ほうほうと思う一方で、後ろ向きな自分もいる。
いいものであればあるほどお値段は跳ね上がるのだろう。だが、問題はそこではない。
私は今までの人生、オーブンと共に歩んでこなかった。
生まれ育った家には、オーブンというハイカラなものは存在しなかったし、友人宅にある立派な備え付けのオーブンは、選ばれしものしか使えないのではと、勝手に高い壁を築き上げてしまっていた。
おかげで、フライパンやお鍋で何かと応用する技を身につけたものの、ここにきて、オーブンのある生活にシフトしていけるのだろうか…と、大きなプレッシャーを感じていた。
だが、試してもみたい…
こうして、好奇心が打ち勝ち、
いちばんかっこいいオーブンを、我が家に迎え入れることになった。
最新のオーブンレンジというものは、すごい。
ゆで卵も温泉卵もチャンネルひとつでポンっとできてしまう。
パンの温めモードも、トースト・フランスパン・惣菜パンなど…お好みの焼き加減に仕上げてくれる。それがまた美味しいのだ。スーパーで買ってきたおつとめ品のパンがレストランでいただくお味に生まれ変わる。これはもう魔法といっても過言ではない。
そしてなんとまあ、ピザも作れる、らしいのだ。
耳を疑った…
今まで、ピザは特別なもの、という認識が細胞レベルにまで浸透していた。
お家では作れない、外食のときに味わう、装いきなものだと。
…
ピザ…だ。(形は努力賞)
何を乗せても、なんとなくそれらしく仕上がる。
ゴロゴロチキンにピーマンやパプリカ、蓮根などで食感に遊びを入れる。チーズも焼き加減も、作り手の思うがまま。
直前に、レモンを絞って、爽やかにいただく。
先にチキンを味付けしてこんがり焼いたものをトッピングしているので、ピザ自体の焼き上げは10分ほどで済む。
何を食べようかなと迷う昼食ほど、ライスでもパスタでもない、ピザという選択をしてみたい。
ピザがカジュアルな食べ物だと認識してからは、家でよく食べるようになった。ひとりで、ではない。ふたりで、夫と食べる。
冷蔵庫にある物の中から、これとあれとそれと…とイメージを膨らませる。もりもりの具材でも良いのだが、ぐっと堪えて、激選した方が本物っぽく仕上がる。これは、決断のときだ。
友人たちをお家に招いたり、義父母のお家に出向いた際、ピザをシェアしてかこむ時間をみんなで分け合う。
これが私とピザの、これからの歩む道。
📝きまぐれpizzaメモ
『ゴロゴロチキンの爽やかレモン』
材料:(二人分)
生地 ※パナソニックスチームオーブンレンジ(NE-BS908)料理レシピ本より一部引用
・薄力粉130g、砂糖大さじ2/3、ドライイースト小さじ2/3、塩小さじ1/2
・無塩バター10g、ぬるま湯(約40°)70ml
具
・鶏胸肉、塩胡椒、ドライパセリ、ニンニク、パン粉 ※味付きのお肉等でも可
・玉ねぎ、ピーマン、パプリカ、蓮根
・オリーブオイル、チーズ、レモンor柚子胡椒
作り方:
〈生地をつくる〉
1. バターを常温に戻す、またはレンジで500wで30秒ほど温める。
2. 生地の材料をボウルにすべて入れ、ひとつにまとまるまでよくこねる。
〈発酵させる〉
3. オーブンレンジの発酵メニューがあればそれを利用する。
(パナソニックNE-BS908の場合:2の生地をボウルに入れたまま角皿に乗せて、予熱なし1段、40°、20〜30分でセットさせる。)
〈具の準備〉
4. 3の待機中。塩胡椒、ドライパセリ、ニンニク、で下味付けした鶏胸肉(前日から下味をつけておくと味がよく染みる)を、大きめにカットし、パン粉をつけて、フライパンでじっくり焼く。
5. その他の野菜(玉ねぎ、ピーマン、パプリカ、蓮根等)をカットする。
〈発酵完了→オーブン予熱→トッピング〉
6. 3の生地を取り出し、オーブンを220°で10分予熱する。
7. 発酵した生地を小麦粉などでくっつかないようにして、めん棒で伸ばしていく。
8. 7の生地をクッキングシートをひいた角皿に乗せ、オリーブオイルを塗り、塩胡椒をふる。チーズ→野菜→チキン(食べやすい大きさにカット)→チーズの順に乗せる。
〈焼き上げ→仕上げ)
9. 6完了後、角皿に乗せた生地を10分焼く。
10.お好みでレモンを絞って召し上がれ🍋✨
(柚子胡椒ペーストを代わりにつけていただいても✌️)