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選択的、夫婦別行動制。

休日。我が家はふたりで過ごすことが多い。

家にいるとき、外に出かけるとき、何かと行動を共にしている。

約束をしたわけではない。たまたま夫が家にいて、妻も家にいる。夫が行きたい場所に妻も行きたい。妻の提案に夫がのる。

その積み重ねで、自然と隣にいる。



先週末のこと。

「仕事するの?」

「うーん。」

土日のどちらかは仕事をしていることが多い夫。気分転換に外出でもどうかなと思い、予定を聞いてみた。
このぬるい返事。これは、”やらなきゃなんだけど、やる気スイッチが入らなくて”ということ。

夕方からスイッチがONになって、寝るのが遅くなるのは本末転倒。明日に備えて、早めにお布団に入りたい私のルーティーンが乱れてしまうのはごめんだ。

「お散歩いく?」

「行かない。」

目的のない放浪が好きな妻に対し、夫は目的がないと歩行をしようともしない。何度でも試すが、やっぱりダメだ。


「じゃあ、いいや。ひとりで本屋さん行ってくるね。」

痺れを切らした妻は、ゴロゴロ侍の夫を残してその場を去ろうとする。

「本屋さんのカフェなら!」

本屋さんに併設されているカフェになら、行ってもいいよという夫。

「私は本屋に行くのよ。」

負けじと本屋放浪の意向をぶつける。


「「・・・」」


沈黙の結果、16時に本屋さんのカフェに集合することになった。

時刻は、15時30分。
約束の時間まで、あと30分。

私は本屋さんをうろうろする時間、夫は外出の準備をゆっくりとする時間。


別々に家を出て、待ち合わせの場所へ向かう。



16時。夫からメッセージ。
「先に席に座ってるね。」

「了解。もう少ししたら行くね。」

ゆっくりと並んだ本をみていると、目新しいものが次から次へと…ああ、目まぐるしい。
ぜんぜん30分じゃ足りない、足りない。

やっとの思いで1冊を厳選し、カフェに向かう。



店内はある程度にぎわっている。

夫が目に留まる。見えるか見えないかの場所に、腰掛ける。
目が合い、手を振る。


同じ場所で、それぞれの時間を過ごす。



ホット珈琲とラム酒の効いたカヌレ。
買ったばかりの本をアテに時間を堪能する。



3分の1ほど読み終えて、顔を上げる。

夫とまだ目が合わない。

先に店をでて、食料品の買い出しを済ませてから
メッセージを入れる。

「外で待ってるね。」

すぐに駆けつけてきてくれて、パンパンになった買い物袋をひょいと持ちあげた。

「帰ろうか。」



ふたりで過ごした場所。
それぞれが過ごした時間。

一緒でなくてもいい。

こうして一日を終えられたのなら、一緒にいられることが、より嬉しくなる。


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