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憎らしい肉増しィ愛

先月の29日のことであった。私は肉を食べ損ねた。
肉食べ損ねたんすよ。
こっちはすた丼食べたー。ニクの日は問答無用で肉増し。
先輩は自慢気に語っていた。ふーん、面白いじゃない。

私は先月末から今日というこの日を本当に楽しみにしていたのだ。絶対に誰にも邪魔させない。昼休みのチャイムが鳴った途端に走った。
私の意向を聞いた別の先輩が付いてきた。強い信念はヒトを引き寄せるらしい。食べ物のこととならば、いつか組合が創れそうだ。麻婆豆腐丼ハンターイ!!!!
初めてのすた丼に心が躍って、食券を買う手が震える。どうする、どうする、初めてのすた丼で私は一体何を選ぶ??
もちろんノーマルすた丼にした。やっぱり初めてのお店ではシンプルなものを頼んでその店の度量を知らなきゃならんと思うのですよ。サイゼリヤでもはじめはミラノ風ドリアでしょ。
お店に入れば既に肉の匂い漂う素敵空間が広がっている。店内の床は脂ギッシュでぬるぬるする。これは肉汁たっぷりに期待できます。いや、今まで食べてきた戦士たちの汗か?ともかく肉を喰らうために集まった同士たちが熱気を放つ店内には、ただならぬ雰囲気を纏っていた。

着丼。肉増しィ愛。
あっつあつが来た。私の角膜が曇るくらいの湯気湯気。お肉が崩れんばかりに盛られている。嗚呼なんて愛おしいお姿。この山は儚い夢だ。今から僕が喰らってあげるからね。
にんにく、豚の脂、病みつきの甘辛。ご飯が進まない訳がない。すた丼をおかずに白飯を食べたい。
美味いもん食って先輩との話も弾んだし、脂質と糖で酔いしれて午後の仕事も良い感じに進んだし、今日はなんていい日なんだ。肉の日最高じゃん。

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