俺をみろ!
boy(15歳息子)が、youtubeで、
この頃よく観ている動画がある。
「原信夫とシャープスアンドフラッツ」
というバンドの、演奏の動画だ。
そのバンドの演奏する、
「SING,SING,SING」
という曲目がすごくすきなようだ。
だって、いつも観ている。
この曲は、吹奏楽部でも演奏していた。
いろんな方達の演奏する
シングシングシングの中で、
この方達の演奏が一番かっこいいのだそう。
一言でいうと、ものすごく渋い。
みんな、すてきなおじ様すぎる。
原信夫、という人はサックス奏者で、
この動画を観るかぎり、もう80さいは
超えておられるのかもしれない。
boy曰く、この動画は、このバンドの
解散コンサートの最後の映像、
という事だった。
トランペット。クラリネット。サックス。
ソロをするひとが1人ずつ、前に出る。
かっこいい。おじさんの貫禄と余裕。
吹奏楽部でソロを経験したことのあるboyに、
「ソロで、前に出てくるときのきもちって、
どんななん」
と聞いてみると、boyが
「目立つことしか、考えていない」
と言ったので、びっくりした。
いや、びっっっっくりした。
boyは11歳から学校での集団生活を
やるのをやめた。
教室にも入らない。
人が多いのがだめなのだ。
中学校は、部活だけしに行った。
とにかく優しすぎる彼は、人を押し退けて
我先に、と行くタイプではなく、
順番待ちならみんなを先に行かせてから
最後に自分が行くタイプの人間だ。
注目を受けるのも苦手だと思っていた。
だから、そんな彼から、
「目立つことしか考えていない」
などという言葉が出たことに驚いた。
ええやんええやん。
人間ってほんとうに、いろんな面を
持ってて、おもしろいね。
わたしは、46年生きてきて、
「目立つことしか、考えていない」
なんて台詞を、言ったことがない。
こんなふうに思った事すらたぶんないかも。
つまり、
「俺をみろ」
と思ったことが、ないのだ。
おお。
軽く、boyに、超えられてしまっていた。
仕事場に、ダウン症のこどもたちがたくさん
来てくれる曜日がある。
この子たちに共通していることに、
音楽やダンスがだいすき、というのがある。
すきで、ものすごく得意。
この子たちの、ダンスをみると
こっちまでたのしくなってくる。
その曜日は、みんなが喜ぶから、
カラオケをする事が多い。
ひとりの女の子が、この曲がすきで、
ダンスも完コピしていて、何度も聞くうちに
わたしも歌えるようになってしまった。
キラッキラの衣装を身につけた男の子たちが
「俺をみろ!」
って言っている。
それから
「みんなのものは俺のもの」
とも。ふふふ。
「俺こそが仏」
とも。あはは。
ちょっとださいけど、なんか、いいなあ。
って思う。
わたしも、
「俺をみろ!」
って、いつか、ちょっと、言ってみたい。