本日の日経新聞「デジタル空間で現場を同時再現」の記事から:工場メンバーがフレックスや在宅勤務を活用できる日も近い!?
本日は日経新聞の記事から、大林組の事例を紹介します。
これは、いわゆるDXによる変革の一歩手前の段階で、近未来の働き方の変革を示唆しているようです。
1. DXは、変革前提で進めなければならない
以前の投稿で、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、イメージ的には、「❶デジタイゼーション」➡「❷デジタライゼーション」➡「❸DX」の順に進化していると考えると分かり易いとお話しました。
現実的には、「❶デジタイゼーション」、「❷デジタライゼーション」の実施がなければ「❸DX」の実施は不可能です。
そのため、「❶デジタイゼーション」と「❷デジタライゼーション」は、「❸DX」より先に行うか、同時に実施する必要があります。
ちなみに、「❶デジタイゼーション」とは、既存の業務プロセスはそのままで、アナログで行ってきた業務をデジタル化すること。
「❷デジタライゼーション」とは、個別の業務や製造プロセス等のワークフロー全体を横断的にデジタル化すること
「❸DX」とは、最新のデジタル技術を活用した構造的で抜本的な変革のこと。そうです。DXは変革を伴わなければなりません。
今日の日経新聞の「大林組のデジタル空間で現場を同時再現」の記事では、どの段階まで、DXが進んでいるのか考えてみたいと思います。
2.大林組、デジタル空間で現場を同時再現 遠隔管理を実現【日本経済新聞2022.2.23朝刊】
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大林組はクレーン作業量や位置情報から現場状況をリアルタイムにデジタル空間に再現し、進捗を一元管理できるシステムを開発したそうです。
事務所から遠隔で把握でき、目視作業が今後、不要になっていくとのこと。
まずは、プロ野球・日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」の施工で導入しているようです。
このデジタル空間は、①カメラやセンサーを設置した移動式の大型クレーン、②全地球測位システム(GPS)、③クレーンの角度や引き上げる鉄骨部材の重量などの情報を一元管理して作られています。
その結果、現場から離れた事務所からほぼ同時に施工状況を把握することが可能となるとのことです。
➡ここまでの内容では、1時間かかる目視作業がなくなるだけで、まだ、「❶デジタイゼーション」の域を超えていない印象です。
3.もちろん、大林組は次のステップも考えている
記事ではさらに大林組は、④クレーンによる作業進捗、⑤顔認証による入退場システムとも連動し、班毎の作業の効率化や重機や作業員の過不足を把握し、工場計画の見直しにつなげるそうです。
➡ここまでくると、ようやく、「❷デジタライゼーション」に手が掛かったかという感じです。
さらにさらに大林組は2030年までに、使用する全てのメーカーの建機の無人運転を目指しているとのことで、現場の省人化や遠隔施工にも繋げたいようです。
➡ここまでやるのでも新技術を結集しなければならないと思いますが、なんだかそれでも「❸DX」までは届いてないように感じました。
それは、なぜなのでしょうか。
4.どうすれば「DX」と言えるのか?
これは、あくまで私見なのですが、この記事での大林組の活動は、現場の効率化や労働時間削減の延長施策にしか感じません。
DXは、やはり変革が伴わないといけないと思います(私見)。
それでは、そうしたらいいのでしょうか。
4-1)大きな見える化目標
例えば、現場人員ゼロ、労働時間を90%削減、コスト1/5のように、通常ではあり得ない目標を掲げ、それを成し遂げるためにIT技術を使ってどうするかという目標にするとよいのではないでしょうか。
4-2)労働形態の変革
工場現場は、これまで、作業着を着て工場で決められた時間、働く必要がありました。
本社や研究開発のメンバーは、フレックス活用や在宅でのリモート活用で、仕事のやり方自体を大きく変えることができました。
それじゃ、工場で働いる人も、AIを駆使して、本社メンバーと同じように、フレックス、在宅でのリモートを前提とした働き方を実現することを目標に持てばいいと思います。
最近のAI、IoT、RPAの発展は非常に急激であり、考えたことは何でも必ず実現できそうです。
それならば、本当に実現したい「夢の姿」(理想の姿より何段階も上の姿です)を描き、その実現をターゲットにDXを考えて行けば、本来の意味の変革が起きるのではないかと思いました。