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音読のデータ提出で働き方改革

はじめに

先生方は、音読の宿題を出されますか?
その是非は置いておくとして、ほとんどの教室では音読の宿題を出していると思います。しかし、その宿題のチェックは内容のチェックというよりは「保護者のサインの有無」に終始しているように見えます。しかし、それは本質ではありません。なぜなら、それは宿題そのものをチェックしていませんし、きちんとやった子が保護者のサインをもらえていなかったり、逆にきちんとやってない子も保護者のサインさえあればOKとなったりするからです。また、そのために大量の音読カードを用意し、毎日チェックすることは教師にとっても負担です。
そこで本記事では、従来の紙媒体での音読チェックをやめ、別の形の代替案を提案します。この方法により、音読そのものをチェックできるようになり、かつ先生方の負担も減らせると考えています。ぜひご一読ください。


≪提案≫音読データの提出

本記事での提案は『音読のデータ提出』です。
現在は一人一台のタブレット端末が配布されています。そのため、児童生徒が教師の端末にデータを送ることができます。そこで、各自治体が採用しているアプリやツールを使い、音読を録音してそれを教師に送るという方法が非常に良いと考えています。では、そのメリットを具体的に見ていきます。

メリット

1.チェック

従来の音読カードのような紙媒体では、チェックするものは「課題そのもの」ではなく「保護者のサインの有無」にならざるを得ませんでした。しかしデータ提出であれば、音読(音声)という課題そのものをチェックすることができます。また、誰が提出したかどうかも一発で分かるので教師の負担減にもつながります。

2.フィードバック(評価)

音読がチェックできると、フィードバックを返すこともできるようになります。例えば『ロイロノート』を採用している自治体は、テキストに直接先生がコメントを書いて児童生徒へ返信することができます。また、『Teams』を採用ている自治体であれば、音読の正解率なども瞬時に行ってくれます。これは、従来の紙媒体でのチェックではありえなかったフィードバックの形でしょう。

3.子ども&保護者の負担減

保護者のサインがあるということは、強制的に「保護者がいるときにしか宿題ができない」ということになります。これでは、子どもが自分のやりたいタイミングで宿題を行うことができません。サインをなくすことでこの現状を解消することができるのも大きなメリットです。
また、宿題のチェックを保護者に一任しているという状況は、働く保護者にとっては負担にもなります。それをなくすことで、保護者にとってもメリットが大きいのではないかと考えます。

上記したように、音読のデータ提出は様々なメリットがあります。しかし、それをX(旧Twitter)にポストしたところ、先生方からデメリットや懸念点についてもご指摘いただきました。

Xでのポスト(2024.5.4)
Xでのポスト(2024.5.5)

そこで、次はデメリットについての考察をしてみたいと思います。

デメリット(とその考察)

1.チェックできるかどうか

デメリットというより懸念点です。30名のクラスだとして、毎日その30人分の音読データをチェックできないのではないかというものです。
はっきり言えば、毎日全員のチェックは不可能だと思います。しかし、それは旧来の紙媒体でも同じです。であれば、少なくとも「チェックができる状態にしておく」ことは意味があります。その上で、例えば評価に使うのであればその時だけでも聞いてあげたり、必要な子をピックアップしてフィードバックをしてあげたり、といった指導方法の多様性も担保できます。

2.保護者との関係

保護者がチェックしないときちんとやってこない、という心配をされる先生もいます。たしかに、特に低学年などはまだ学習に慣れていないので保護者がきちんと見てあげた方がいいと思います。
しかし、それは紙媒体でもデータでも同じことです。サインの有無でみるかどうかというより、保護者がそれを必要と感じているかどうかが本質です。なので、教師側からきちんと「お子さんの宿題を見てあげることで、より学習の効果が高まります。ぜひご協力ください」ということを伝えていければいいのかと思います。

3.全員がタブレット端末を持ち帰るわけではない

タブレット端末が1人1台あるとはいえ、児童生徒全員が端末を持って帰るわけではありません。例えば家にネット環境がなかったり、そもそも保護者から持ち帰りをさせないでほしいという要望があったりもします。また、自治体や学校単位で「持ち帰りはさせない」と取り決めているところもあるでしょう。その点から、音読のデータ提出についての実施が難しいという現状があるようです。
まず、個人的には全員がデータ提出をする必要はないと考えています。上記のような例で持ち帰りができない場合は、旧来の紙媒体でいいでしょう。データ提出ができる子はしてもらい、できない子は紙で提出させればいいのです。それでも、前述したようなメリットは十分に受けられます。「全員が一律で同じことをやらないといけない」という決まりはありません。ぜひ、できるところから始めてみることをおすすめします。

さいごに

いかがでしょうか?
ここまで述べてきたように、タブレット端末の活用によって、子ども・保護者・教師のそれぞれが大きなメリットを得られると思います。ぜひ、参考にしていただけたらと思います。
ちなみに、最後に少し触れましたが「自治体や学校単位で、持ち帰りの許可が出ていない」という場所も少なからずあります。その場合は、本記事で提案させていただいた音読のデータ提出は難しいでしょう。しかし、少なくとも文部科学省は家庭学習でのタブレット端末活用を積極的に推進する立場にあります。ですので、いずれは持ち帰りの許可も下りるでしょう。
今はGIGAスクール過渡期ですので、いろいろな状況があって当然です。しかし、その時のためにこうした活用の知識を踏まえておくことは重要です。そして、もしできるなら勤務校の中で「持ち帰りをさせるとこんなメリットがあるよ」という声をあげることも大切です。ぜひ、ご自身の勤務校の実態や子どもたちの状況に合わせて、タブレット端末を活用していただけたらと思います。

今回のように、ぼくのnoteでは教師の働き方や授業実践等に関するさまざまな記事を発信しています。また、X(旧Twitter)をはじめとした各種SNSでも日々発信を続けていたり、『定時退勤がちサロン』というオンラインコミュニティの運営をしながら先生方の働き方改革をサポートさせてもらったりしています。もしこうした内容に興味がありましたら、下記のリンクよりお声掛けください。よろしくお願いします。\


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