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ビジネスに活きるアート思考の8つの意味
近頃、ビジネスシーンでよく見かける「アート思考」という言葉。
しかし、「アート思考」という言葉が曖昧で結局のところ何を意味しているのかわからない。という人は多いのではないでしょうか。
今回の記事ではそんな曖昧な「アート思考」という言葉が意味することを複数の視点から整理していこうと思います。
そのため職業の異なる著者によって書かれた「アート思考」というタイトルのついた本を分析しました。
選んだ3冊はこちらです。どの本もかなり売れているため、読んだこと
がある人も多いのではないでしょうか?
それぞれ上から、「美術教師」「美術館館長」「起業家」という職業の人が書いています。
3冊の中から「アート」「アーティスト」を形容する言葉を抜き出すことで、著者それぞれがアートシーンをどのように捉えて、ビジネスとの接点を見出しているのかを整理していきます。
「アート」「アーティスト」を形容する言葉を抜き出し、制作したマインドマップがこちらです。文字が小さいので、ぜひダウンロードをし、拡大しながら読んでいただきたいです。
マインドマップにしたことで「アート思考」という言葉が意味することは大きく分けると8つの要素で表現出来ることがわかりました。
それは
1.現代社会の潜在的な問題への気づき
2.バイアスを外す能力
3.個人の価値観による意思決定
4.言葉にならない感覚の認知
5.独自の競争優位
6.事業立ち上げに対するマインドセット
7.答えがないことに対する受容力
8.資産としての価値
です。これらを「アーティスト」の思考法から学ぼうというのです。それぞれを少し細かく紹介していきます。
1.現代社会の潜在的な問題への気づき
一つ目の要素は「現代社会の潜在的な問題への気づき」です。
アーティストはしばしば「炭鉱のカナリア」に例えられるように、社会の動向や不穏な空気をいち早く察知して作品に落とし込むことがあります。
現代アートを見てみると、まだ社会課題として認識されていない、潜在的な問題にスポットをあて、作品に昇華しているものが多く見られます。
「環境破壊」「差別」「SNSによる誹謗中傷」などは、現在は社会課題として認識されていますが、過去では当たり前のものとして許容されていました。
このような、当たり前の中に潜む「潜在的な問題」をアーティストは肌で感じ、作品に落としこむことがあります。
そして、「アート思考」という概念の中では、このようなアーティストの視点をビジネスに取り組もうとしているのです。
2.バイアスを外す能力
2つ目の要素は「バイアスを外す能力」です。
現代アートの世界では、教育や習慣によって身についてしまった「常識」といったバイアスを外すことが高く評価されます。
マルセル・デュシャンの「泉」、アンディー・ウォーホルの「ブリロ・ボックス」といった作品は高く評価されていますが、美しく手間がかかっているから評価をされている訳ではありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1645336636095-yAeHwCdRqI.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1645336711664-56vt7Nyucg.jpg?width=1200)
「美しく」「オリジナルでなくてはいけない」といった、当時のアートシーンの「常識」を覆すような革新的な視点があったらから、評価されているのです。
このような革新的な視点はビジネスでも大きな利益を生み出すことがありますよね?「Uber」や「Airbnb」などは当時の常識を覆すようなサービスであったことは間違いありません。
「アート思考」では、現代アーティストの行っている「常識」を更新するという、知的なゲームをビジネスに応用しようとしているのです。
3.個人の価値観による意思決定
チームによる作品制作でない場合、アート作品の制作は「テーマ設定」から「完成」までを全て個人で決めて行わなければいけません。「自由度」が高く全ての責任が自分に返ってくる中で、自分の価値観にしたがって意思決定をしていきます。
このような、「個人の価値観による意思決定」は新しい事業を生み出す際にも必要とされます。客観的なデータが足りないからこそ、最終的には価値観によって判断するしかない。
アーティストはなぜ、あそこまで孤独な状態でも「個人の価値観による意思決定」をすることが出来るのか?その、コツや考え方をビジネスにおける意思決定に応用しようとしているのです。
4.言葉にならない感覚の認知
アーティストは言葉にならないようなでも情報を鋭い感性によって認知し、作品に落とし込むことがあります。「アート思考」では、この言葉にならない感覚の認知のコツを「アーティスト」から学ぼうとしているのです。
過去のデータを用いた合理的な意思決定は、過去には成果を出し続け「ピラミッドストラクチャー」や「MECE」といったツールも多く開発されてきました。
しかし、人間の営みはそこまでシンプルなモノではなく、合理的な意思決定では解決できない問題がまだまだ取り残されています。感情的な抵抗から生まれる問題や、文化的な習慣による課題など、未解決の問題はまだ山積みです。
それらの課題を解決する手がかりを、アーティストの持つ鋭い感覚から学ぼうという主張が「アート思考」の中ではされています。
5.独自の競争優位
アートシーンには「一番乗りであることが全て」という暗黙のルールがあります。どんなに素晴らしい作品でも、過去に同じような作品があればそれは
、パクリになってしまい評価されません。
そのオリジナルを追求し、独自の競争優位を獲得しようという姿勢をアーティストから学ぼうとしているのです。
ビジネスシーンには「一番乗りであることが全て」といったルールはありませんが、価値を生み出すためには必ず、独自の競争優位が必要です。そのオリジナリティをどのように追求していくのか。アーティストから学ぶことが出来るのではないでしょうか。
6.事業立ち上げに対するマインドセット
個人で活動をするアーティストは「資金調達」「ブランディング」「プロモーション」「権利交渉」全てを自ら行わなくてはいけません。
これらを行いながら、自らの作品を世に出すことによって始めて、社会的には「アーティスト」として認知をされるのです。
「リスクを顧みない」「自らの生涯をかけて投資をし続ける人たち」などと言われますが、これらのマインドは事業立ち上げの際にも必要になってきます。
「アート思考」の概念の中では、このようなマインドセットを「アーティスト」から学ぼうしています。
7.答えがないことに対する受容力
「アート」の解釈に明確な一つの答えは存在しません。アーティストはその答えがない中で、わからないまま作品を作り続けています。
ビジネスシーンでは過去の数十年間、データを用いながら数字に基づく最もらしい、一つの答えを求めてきました。ロジカルシンキングとも言われます。
しかし、ここ数年間において、ロジカルに考えることの限界が露わになってきています。人は機械ではないので、数字だけでは動きません。
意思決定の場面において、絶対的な一つの答えは存在しませんし、「余白」や「非効率」が面白みを生み出し、価値につながることがあるのです。
そのような、「答えがないこと」を受容し、楽しめるような力をアーティストから学ぼうとしています。
8.資産としての価値
こちらは「思考法」とは少し異なりますが、「アート」には即金性はないものの、時には信じられないほどの価値の上昇が見られるため投資の対象としても魅力的である。という記述もされています。
「アート思考」と題された本の中では、「アート」の資産的な価値にも注目が集まっていることがわかります。
まとめ
「アート思考」と題された3冊の書籍を分析することで、アート思考の中で主張されていることを以下8つの要素に分類することができました。
1.現代社会の潜在的な問題への気づき
2.バイアスを外す能力
3.個人の価値観による意思決定
4.言葉にならない感覚の認知
5.独自の競争優位
6.事業立ち上げに対するマインドセット
7.答えがないことに対する受容力
8.資産としての価値
このように見てみると、「アート思考」という言葉は多様な意味を含んでいることが読み取れます。
しかし、これらは本当にアーティストの思考法なのか?といった疑問も残ります。アーティストという職業で語られる人たちは多種多様で、そこにパターンを見出すことはできません。
理性的に考える人もいれば、リスクがなるべくない方法を選びながら作品を作る人もいます。
ステレオタイプとしての「アーティスト」を思い描くのではなく、実在するアーティストと時間を共にすることで始めて、上記のような思考法が共有されていくのだと思います。
アーティスト兼キュレーターとして活動する「 nagoho」さんをゲストにお呼びした、エピソードにおいても「アートとビジネス」の共通点を探索しています。もし興味のある方がいましたら、聞いてみていただきたいです。
また、この記事の著者である私もミュージシャンとしてのキャリアを通じて多くのアーティストたちと対話をしてきました。アーティストの価値を企業に取り入れたいが方法がわからない。アーティストと話すきっかけが欲しいなどありましたら、まずはお気軽にご連絡いただければと思います。
ミュージシャンとしてのポートフォリオはこちらになっております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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michinaru じゅんじゅん
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