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世界がもっと優しくなる日
ママが泣いたあの日、一人のおば様に救われた
「誰か助けてぇ!!!!!!」
そう思った瞬間、目の前に“おば様”が現れました。
子どもの暴走、冷たい視線、心が折れそうなあの瞬間。
でも、たった一人の“おば様”の存在が、
さゆぽんの心に小さなひかりをともしてくれた。
■ スーパーは戦場
「お菓子買うーーー!!」
その声が響き渡ると同時に、祥ちゃん(当時3歳ASD/てんかん)はお菓子コーナーへ全力疾走!さゆぽんは理太くん(ASD/ADHD)をおんぶしながら、右へ左へ駆け回る。
「捕まえた!」 と思ったら、今度はお菓子を投げつけて大騒ぎ。
終わりのない おいかけっこが始まった。
「もう…どうすればいいの!?」
そうこうして すでに30分以上が経った。
お客さんたちは冷たい目でチラチラ見てくるし、
「しつけがなってない」 「あの親何してるの?」 という無言の圧力。
「恥ずかしい…いなくなりたい…誰か助けて…」心の中で何度もそう叫んだ。
■ “おば様”の登場
「こんにちは、元気だね~!」
振り返ると、ひとりのおば様が、ニコニコと祥ちゃんに話しかけていた。
祥ちゃんは、その声にピタリと止まった。
その瞬間、さゆぽんの心の中に「ポカッ」と光が灯った気がした。
「外に行こうか?」
その言葉に祥ちゃんはすんなりついていき・・・
「え?そんなことある??」
慌てて追いかけるさゆぽん。おば様はスーパーの外まで祥ちゃんを連れ出して、車まで一緒に来てくれた。
■ 溢れ出す涙
「すみません!ありがとうございます!」 でも、言えたのはそれだけ。
感謝の言葉も、今の気持ちも、すべて言葉にしたかったけれど、声が震えて出てきたのは、
たった一言だけ。
「助かりました…本当に…」
涙が止まらなくて、何に泣いているのかも分からない。
ただただ、
その優しさが・・・
あまりにも温かすぎて・・・
今まで張りつめていた心の糸がプツンと切れて、もうぐちゃぐちゃ~
■ あの人は誰だったんだろう?
あのおば様は、きっと同じような体験をしてきたのかもしれない。
もしかしたら、子どもが発達障害を抱えていて、自分も同じように苦しんだ経験があるのかもしれない。
その人の背中が遠ざかっていくのを見て、さゆぽんは思った。
「あんな人になりたい。」
子どもを追いかけ回す親の姿を見たときに、すぐに動ける人になりたい。
声をかけられる人になりたい。
冷たい視線を送る人じゃなくて、
「大丈夫だよ」って背中を押してあげられる人になりたい。
■ それから5年経った今
あの日から、さゆぽんは「しばらくスーパーに行かない」と決めた。だって、心がつらすぎたから。
「次は上手にできるかもしれない」「いや、また失敗するかもしれない」
その葛藤を何度も繰り返したけど、焦らずそんな日が来ることを待つことにした。
「今はできなくても、そのうちきっとできるようになる」
それから5年
今、祥ちゃんは、一緒にスーパーでお買い物ができるようになった。
そして あの時のさゆぽんに伝えてあげたい。
「大丈夫だよ。今はできなくても、そのうちできるから。」
スーパーでの大暴れは、子育て「あるある」。
よく見かける風景~
でも親にとっては恥ずかしさ、つらさ、苦しさが最大MAXになる瞬間。
そんな時、言葉をかけてくれる人が増えたら・・・
きっと
世界はもっと優しくなる。