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【行動経済学入門】二重システム理論:人間の思考プロセス

こんにちは。micです。

私が行動経済学に興味を持ったのは、マーケティングの仕事をしている中で、消費者の行動や意思決定がどのように形成されるのかを深く理解したいと思ったからです。

日々の業務で、顧客の心理や行動パターンが売上に与える影響を実感する中で、単なる数字やデータだけではなく、人間の感情や直感がどれほど重要であるかを理解し始めたからです。

行動経済学は、従来の経済学が想定する「常に合理的な人間」とは異なり、実際の人間行動をよりリアルに反映しています。

前回は行動経済学の基本的な特徴や理論をご紹介しました。
(まだご覧になっていない方は、ぜひ見てもらえると嬉しいです。)

今回は、行動経済学の中でも、人間の思考プロセスに焦点を当てた「二重システム理論」に焦点を当てて、より深く掘り下げていきたいと思います。

この理論は、私たちの日常生活における意思決定や判断のプロセスを理解する上で非常に重要な視点を提供してくれます。

※この記事は Perplexity をベースに調査・執筆しています。


二重システム理論とは?

まず、「二重システム理論」とは何かから説明しましょう。この理論によると、人間の脳には2つの異なる思考システムが存在するとされています。これらは「システム1」と「システム2」と呼ばれ、それぞれが異なる特徴を持っています。

・システム1:直感的な「速い思考」
システム1は、私たちが日常的に使用している「直感的な思考」のシステムです。このシステムは、無意識的かつ自動的に作動し、短時間で判断を下すことができます。例えば、友人の表情を見て瞬時にその感情を読み取ったり、道路を歩いていて突然の危険を感じ取ったりするような場面で活躍します。

  • 高速で自動的に処理

  • 感情や直感に基づく判断

  • 無意識的に作動

  • 進化的に古いシステム

・システム2:論理的な「遅い思考」
一方、システム2は「論理的な思考」のシステムです。こちらは意識的にコントロールされ、時間をかけて慎重に判断や評価を行います。複雑な数学の問題を解いたり、重要な意思決定を行ったりする際に使用されます。

  • 時間をかけて慎重に処理

  • 論理的、分析的な判断

  • 意識的にコントロール

  • 進化的に新しいシステム

日常生活における具体例

この理論を理解すると、私たちの日常生活でのさまざまな行動や判断が説明できるようになります。例えば、スーパーマーケットでの買い物を考えてみましょう。いつも買っている商品を手に取る時、私たちはほとんど考えずに(システム1を使って)カゴに入れています。一方、初めて見る商品や高額な商品を購入する際には、成分表を確認したり、価格を比較したりと、より慎重に(システム2を使って)判断を下します。

マーケティングへの応用

この二重システム理論は、マーケティングの世界でも注目を集めています。消費者の購買行動を理解し、効果的な戦略を立てる上で非常に有用な視点を提供してくれるからです。例えば、商品パッケージのデザインや店舗のレイアウトなどは、消費者のシステム1(直感的判断)に訴えかけるように工夫されていることが多いです。鮮やかな色使いや目を引くキャッチコピーなどは、瞬時の判断を促すための戦略と言えるでしょう。一方で、詳細な商品説明や比較表などは、消費者のシステム2(論理的思考)を刺激し、じっくりと検討してもらうための工夫です。特に高額商品や重要な意思決定を要する商品の場合、このアプローチが効果的です。

二重システム理論の限界と注意点

しかし、この理論を過度に単純化して適用することには注意が必要です。人間の思考プロセスは複雑で、常に明確に2つのシステムに分けられるわけではありません。また、個人差や状況によっても、どちらのシステムが優位に働くかは変わってきます。さらに、マーケティングにおいてこの理論を活用する際は、倫理的な配慮も重要です。消費者の直感的判断(システム1)を過度に利用することは、時として不適切な購買行動を誘発する可能性があります。

【参考】行動経済学に貢献した人々

今回ご紹介した二重システム理論(Dual Process Theory)は、思考や意思決定における二つの異なるプロセスを説明する理論であり、複数の研究者によって提唱され、発展してきました。

  • ピーター・ワトソン(Peter Cathcart Wason)とジョナサン・エヴァンズ(Jonathan St. B. T. Evans): 彼らは1974年にこの理論を提唱し、思考過程を「ヒューリスティックな過程」と「分析的な過程」の2つに分けました。ヒューリスティックな過程は直感的で自動的なものであり、分析的な過程は意識的で論理的なものです。

  • キース・E・スタノヴィッチ(Keith E. Stanovich)とリチャード・ウェスト(Richard F. West): 2000年に「システム1」と「システム2」という名称を考案し、心理学の分野で定着させました。システム1は速く自動的な思考を、システム2は遅くて熟慮された思考を指します。

  • ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman): カーネマンはエイモス・トベルスキー(Amos Tversky)と共にこの理論をさらに発展させ、一般向けの書籍『ファスト&スロー』を2011年に出版しました。この書籍により、二重過程理論は広く知られるようになりました。カーネマンはシステム1を「直感」、システム2を「推論」と呼び、それぞれの特性と役割について詳述しています。

これらの研究者たちの貢献により、二重システム理論は心理学や行動経済学の重要な概念として確立されました。

参考文献

・Fin Wing

まとめ

いかがでしょうか。

行動経済学の二重システム理論は、人間の思考プロセスを理解する上で非常に有益な視点を提供してくれます。この理論を知ることで、私たち自身の判断や行動をより客観的に捉えることができるようになるでしょう。

また、ビジネスや教育、政策立案など、さまざまな分野でこの理論の知見を活用することができます。ただし、人間の思考の複雑さを常に念頭に置き、この理論を柔軟に解釈し適用していくことが重要です。

皆さんも、日常生活の中で自分の思考プロセスを意識してみてください。システム1とシステム2がどのように働いているか、観察してみるのも面白いかもしれません。

以上、行動経済学の二重システム理論についてお話ししました。

この理論が皆さんの日常生活や仕事に新たな視点をもたらすきっかけになれば幸いです。


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