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【行動経済学入門】プロスペクト理論で解き明かす人間の意思決定

こんにちは。micです。

私が行動経済学に興味を持ったのは、マーケティングの仕事をしている中で、消費者の行動や意思決定がどのように形成されるのかを深く理解したいと思ったからです。

日々の業務で、顧客の心理や行動パターンが売上に与える影響を実感する中で、単なる数字やデータだけではなく、人間の感情や直感がどれほど重要であるかを理解し始めたからです。

行動経済学は、従来の経済学が想定する「常に合理的な人間」とは異なり、実際の人間行動をよりリアルに反映しています。

以前に基本的な特徴や理論をご紹介しました。
(まだご覧になっていない方は、ぜひ見てもらえると嬉しいです。)

今回は行動経済学の中でも有名な「プロスペクト理論」について、ご紹介したいと思います。

この理論を知ることで、私たちの日常生活や経済活動における不思議な選択の数々が、すっきりと理解できるようになるかもしれません。

※この記事は Perplexity をベースに執筆しています。


プロスペクト理論とは?

まず、プロスペクト理論とは何か、簡単に説明しましょう。

これは1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーによって提唱された理論で、人間の意思決定プロセスを説明するものです。

従来の経済学では、人間は常に合理的な判断をする「経済人(ホモ・エコノミクス)」だと考えられてきました。

しかし、現実の人間はそう単純ではありません。

例えば、

  • なぜ人は宝くじを買うのか?(当たる確率が極めて低いのに)

  • なぜセールの時に必要のないものまで買ってしまうのか?

  • なぜ株価が下がっているのに、損切りできないのか?

プロスペクト理論は、このような一見非合理的な行動を説明してくれるのです。

2つの重要概念

プロスペクト理論の中心となる概念が、「損失回避性」と「参照点依存性」です。これらを詳しく見ていきましょう。

1. 損失回避性:失うことへの強い恐れ

損失回避性とは、簡単に言えば「失うことを極端に嫌う」傾向のことです。面白いことに、私たちは同じ金額でも、得をすることよりも損をすることの方が約2.25倍も気にするのだそうです。

具体例を挙げてみましょう。

  • 株式投資:利益が出ている株は早めに売却したくなりますが、損失が出ている株は「もう少し様子を見よう」と売るのを躊躇してしまいがちです。

  • ギャンブル:負けが込んでくると、「取り返そう」として更にのめり込んでしまうことがあります。

  • 商品の返品:いらないと思っても、「もったいない」と感じて返品できないことがあります。

これらはすべて、損失を避けようとする心理が働いた結果なのです。

2. 参照点依存性:すべては比較から始まる

参照点依存性とは、「何かを判断するときに、ある基準点(参照点)との比較で考える」という傾向のことです。つまり、絶対的な価値ではなく、相対的な変化が重要になるのです。

例えば、

  • 給料:月給20万円の人が3万円昇給したら大喜びするでしょう。でも、月給100万円の人が3万円昇給しても、そこまで喜ばないかもしれません。

  • 温度:真冬の寒い日に10度になると「暖かい」と感じますが、真夏の暑い日に10度になると「寒い」と感じます。

  • 商品価格:定価1万円の商品が8000円になっていたら「お得」と感じますが、定価が不明な商品が8000円だったら、高いか安いか判断に迷うかもしれません。

これらの例から分かるように、私たちの判断は常に「何かとの比較」によって行われているのです。

プロスペクト理論を支える2つの関数

プロスペクト理論では、人間の意思決定プロセスを「価値関数」と「確率加重関数」という2つの関数で説明します。

価値関数

利得や損失に対する主観的な価値(効用)を表します。この関数のグラフは、利得側で凹型、損失側で凸型になります。これは、

  • 利得の増加に伴う満足度の増加は逓減する(1万円もらって嬉しいが、10万円もらっても10倍嬉しいわけではない)

  • 損失の増加に伴う不満足度の増加は加速する(1万円失うのは辛いが、10万円失うのは10倍以上に辛い)

ということを示しています。

確率加重関数

客観的な確率を主観的な重みに変換する関数です。

一般的に、

  • 低確率事象は過大評価される(宝くじを買う心理)

  • 高確率事象は過小評価される(「絶対」という言葉を信じない心理)

という特徴があります。

日常生活での応用例

プロスペクト理論は、私たちの日常生活のあちこちに潜んでいます。

マーケティング戦略

  • 「今日限り!」「先着100名様!」といったキャッチコピーは、買わないことを損失と感じさせる戦略です。

  • ポイント制度は、貯まったポイントを使わないことを損失と感じさせます。

金融商品の設計

  • 元本保証型の商品は、損失回避性を利用しています。

  • 複雑な金融商品は、参照点を曖昧にすることで判断を難しくします。

政策立案

  • 増税よりも補助金カットの方が反発が少ないのは、損失回避性が関係しています。

  • 「エコポイント」のような制度は、得をする感覚を利用しています。

健康行動

  • 「禁煙すると○○円得をする」より「喫煙を続けると○○円損をする」という表現の方が効果的です。

まとめ

いかがでしょうか。

プロスペクト理論を知ることで、私たちは自分の意思決定プロセスをより客観的に見ることができます。

「なぜこんな選択をしてしまったんだろう?」と思ったときに、この理論を思い出してみてください。

きっと、自分の行動の理由が見えてくるはずです。

また、この理論を理解することで

  • マーケティング戦略に騙されにくくなる

  • より合理的な投資判断ができるようになる

  • 政策の真の意図を読み取れるようになる

といった、実生活でのメリットも期待できます。

私たちは必ずしも合理的ではありません。

でも、そんな人間らしさを理解し、受け入れることで、かえって賢明な選択ができるようになるのかもしれません。

皆さんも、日常生活の中でプロスペクト理論の影響を探してみてはいかがでしょうか?

きっと、今まで気づかなかった「人間らしさ」の痕跡を、あちこちで発見できるはずです。

そして、もし「これってプロスペクト理論かも!」と思う場面に遭遇したら、ぜひコメント欄で教えてくださいね。

みんなで「人間の不思議」について語り合いましょう!


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mic | AI×エンジニア×Webライター
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