私好みのお好み焼きの作り方
全世界で巻き起こっているラーメンブームとまではいかないが、ここのところフランスではお好み焼きをメニューに加える日本レストランが増えている。
こだわりを持って本格的な関西風の美味しいお好み焼きを出す店ももちろんあるが、安価な材料を混ぜて焼くだけで出来る簡単な料理だと高をくくって安易にメニューに取り入れている店もチラホラとあるようだ。
試しに何度かお好み焼きを食べに行ったことがある。懐かしい故郷の味を堪能できる美味しい店もあったが、中にはモチャモチャとした小麦粉の塊としか思えない代物を出してくる店もあった。
これがお好み焼き?!んなわけあるかいっ!バンッ!!
小心者の関西人である私は何度心の中で叫んだことか!!京都文化にゆかりのある母方の血が、エライ食べ応えのあるお好み焼きですねぇ、と私に嫌味を言わせたこともある。
お好み焼きがモチャモチャとして硬いってこと自体がアンビリーバボーなのに、レストランでそんなものを出されたらショックで悲しみに打ちひしがれてしまうではないか!
フランス人がこんなものをお好み焼きだと思い込んでしまったら、ダブルでショック!!
これがお好み焼きって?笑わせるんじゃないよ!バンッバンッ!
お好み焼きの作り方はとてもシンプルだ。料理が苦手な私でも作れるほどに。だけど作り方を間違えては美味しいお好み焼きは作れない。物事には手順というものがある。
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先ずは粉。フランスにはいろんなタイプの小麦粉が売られている。
その中でも私的にお勧めなのはFarine Fluide。サラサラしたタイプの小麦粉でダマになりにくく、お菓子やクレープを作るのに適している。Fluideじゃない普通の小麦粉は水分を加えて混ぜるとネバネバとした生地になりやすいから、特に私みたいに料理が苦手な人には扱いやすいFluideがお勧め。
次にキャベツ。ヨーロッパのキャベツは硬いから要注意!できれば葉っぱに細かいシワの寄ったちりめんキャベツか、最近新しく市場に出回っている日本式の柔らかいキャベツを使って欲しい。
お好み焼きはキャベツを美味しく食べる料理。キャベツの選び方と切り方で味は変わる。ヨーロッパでよく見かけるギュッと目の詰まった重たいキャベツは消化が悪く、胃腸の弱い人は食べない方が良いとさえ言われている。
もしそんな硬いキャベツしか手に入らないのであれば、細心の注意を払ってスジを細かく切って欲しい。なんならみじん切りほどに。そうでもしないとゴツゴツとして硬い仕上がりになるからだ。
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粉、キャベツと揃ったら、後は出汁と卵を加えれば基本のお好み焼きが焼ける。実家では田舎からよく送られてきていた山芋を入れたトロットロでフワッフワのお好み焼きを作っていた。だけどフランスにそんなものはない。
でもご安心あれ。山芋なんて入れなくてもフワフワのお好み焼きは作れる。
ポイントは卵。
家庭ですぐに焼いて食べるのであれば、全部一気にまとめて混ぜちゃって大丈夫。ノープロブレム。
でももし、家族の誰かが遅く帰宅するとか、事前に仕込みをしなければならないとか、暫く置いておく必要があるのであれば、出汁を加えた小麦粉の生地とキャベツと卵は別々にしておいて欲しい。
お好み焼きをふんわりエアリーに仕上げるコツ、それは具材を混ぜる順番。
キャベツ+その他のお好みの具材をボールに入れる
小麦粉と出汁を合わせた生地を加える
卵を入れて、軽く混ぜ合わせる
3の軽く混ぜ合わせるところが重要。山芋も膨らし粉も入っていない生地をどうやってフワッと焼き上げるのか?そのポイントが卵ちゃんなのです。
卵は最後に入れて軽く混ぜ合わせればいい。執拗に混ぜすぎちゃぁ駄目。
焼く時は、出来れば中火寄りの弱火で蓋をしてじっくりと蒸し焼きに。そうすることで水蒸気で蒸された生地が柔らかくフワフワに仕上がる。
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これが私のお好み焼きの作り方。
口の中がモチャモチャとする硬いお好み焼きを食べさせられて初めて、作り方を知らない人が見よう見まねで作るとこんなにも悲しい結果になってしまうのだと知った。
料理下手な私の我流レシピなんてわざわざ書く必要もないことだと思っていたけど、前回たこ焼きの記事を書いている時に何故かモチャモチャとしたお好み焼きを食べさせられた記憶が鮮明に蘇って心に留めておけなくなった。収まりどころのないその気持ちの発散ついでに書いてみました。
ちなみにモチャモチャしたお好み焼きを食べたのはどれも日本人が経営する店で、厨房に入っていたのは日本人ではない現地の人たちだった。他の料理は美味しく出来ているのにお好み焼きだけが美味しくないってどーゆーこと?って今でも不思議でしょうがない。
ご覧の通り、そんなに難しい料理じゃないのに、ねぇ。
余談:小麦粉と出汁を合わせた生地は事前に作って少し寝かせた方が粉が馴染んで美味しくなる、ような気がする。根拠はないけど経験から。
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