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赤い味噌汁
味噌を買ってきた。気温が下がり始めたのと同時に汁物が恋しくなったから。
コートを着るほどでもないけど長袖が必要な季節。鍋をするほどでもないけど温かい汁物が欲しくなる季節。
季節の変わり目でお腹の調子があまりよくなかったのもある。腸活がヨーグルトばかりでは味気ない。ザ・ジャパニーズ発酵食品の王者である味噌が食べたくなってしまったのだ。
初めは無難にネギを入れたりじゃがいもを入れたりしていた。カブやマッシュルーム、トマトも入れてみた。そうやってウチにある野菜ストックを消費していくと、徐々に入れるものがなくなっていった。消費しているのだからなくなって当然だし買い足しに行けばいいってことなのだけれど、味噌汁の具だけを買いにスーパーへ行くのは面倒だ。なにせズボラなもので。。。
棚や冷蔵冷凍庫を見回して目にとまったのがビーツ。それと紫玉ねぎ。
有機食品店で買った生ビーツが隅っこの方に残っていた。それと安売りでまとめ買いした紫玉ねぎ。
ビーツかぁ。。。カブっぽいし加熱すると甘みが増すかもしれない、そう思ってザクザク切って鍋に沸かしたお湯に投入。すると一気に赤い色素が流れ出した。しかも結構濃ゆい赤色。
おっと?想像の上をいくショッキングな赤色を見てわずかに焦る。
調べてみたらビーツはカブとは違う種らしい。ビーツはほうれん草の仲間で、カブはダイコンの仲間だそうだ。カブとダイコンはごもっともだがビーツとほうれん草は異色のコンビに見える。がしかし、色が濃ゆいという面では似たもの同士なのかもしれない。
ビーツを切ったまな板に滴り落ちた真っ赤な液体を洗い流しながらビーツとほうれん草のその他の類似点を考えてみた。だけど濃い色素以外に思いつくことはない。あちこちに飛び散った赤い液体をキッチンペーパーで拭き取った後は鍋の中の赤が際立って見える。
紫玉ねぎはビーツほど色がつかない。薄めにスライスして真っ赤な鍋の中へ入れる。
ぐつぐつと煮える鍋の中は血の色をしている。確か昔料理本でみたロシア料理のボルシチってこんな感じだった。
私が今まで食べてきた料理の中でこんなにも真っ赤な汁物があっただろうか?
いや、ない。ボルシチだって本格的なものは口にしたことがないのだから。
ボイルした真っ赤なビーツを買ってきてサラダに入れたりそのまま食べたりすることはあるけれど、真っ赤なスープの中でぐつぐつ煮えるビーツを食べるのは初めてだ。
どんな味がするのだろう?
顆粒出汁を加え、味噌を溶く。ほんの少し汁にとろみが付いた。
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食べると味噌汁の味がする。味噌を入れたから当たり前なのだが、こんなにも真っ赤な汁が味噌汁だなんて、私の脳みそが認識しきれない。ブー、エラー発生。
しっかりと煮込んだのにビーツはまだ少し硬かった。柔らかすぎず硬すぎない絶妙な歯触りで食べ応えがある。有機野菜だからと皮ごと入れたのに土臭さもない。ほんのりとビーツ特有の風味がして優しい甘さ。
お?おいしいんじゃない?
見た目は色に惑わされて敬遠したくなりそうだが、味はおいしい。味噌の懐の深さに感動。
味噌汁の具に悩んでいる人に伝えたい。ビーツ、おすすめです!!
*見出し画像はトマトとポワロねぎの味噌汁