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ミルクなしのチャイ~カスタマイズしても、それはそれでOK
私は牛乳が苦手である。
子どもの頃、口の周りをたっぷり牛乳で汚した同級生の顔を見てから、なんだか気持ち悪くなってしまい、それ以来好きではなくなってしまった。
けれども、高校3年生まで給食があるという特殊な環境で育ち、もう味覚が大人びている十代後半の頃でさえ、メニューが味噌汁と煮物、のような和食であっても欠かさず出されたのが牛乳。残すことに罪悪感のあった私は毎日毎日学校で出される牛乳を飲み干した。
お陰で背が伸び、骨も頑丈に育ったのは良いけれど、給食が終わった高校卒業後には、たとえ少量でも牛乳をまったく受け付けなくなってしまった。
コーヒーは毎日ブラック。カフェオレやカフェラテなども極力避ける。
子どもの頃は好きだったホワイトシチューのようなものも苦手になった。
チーズは好きなので、よく休日に世界の色々な物を買って食べているが。
アーユルヴェーダやインド関連のイベントに出て困るのが、よくチャイを出していただくこと。それぞれの主催者やお店の方が丹精込めてスパイスを調合し、歓迎の印として出してくださる大切なチャイ。それには必ず牛乳が入っているため、私はやはり苦手だ。苦手だけれど、さすがに申し訳ないからいただく。スパイスの味と香りはとても好きだけれど、後に残る口の中のベタベタした感覚がどうしても苦手だ。
インドに行った時も、よくチャイが出された。旅の恥はかき捨て、と思い、泊まったヨガ施設の初日にチャイをいただいた後、思い切って丁寧に聞いてみた。「次からミルクなしのチャイをいただくことは可能でしょうか?」
気を悪くされるかなと思ったけれど、案外普通に私の個人的リクエストを受け入れてくれ、次の休憩の時から私のチャイはミルクなしとなった。
文化的に、または習慣的に、これはこういうものだ、と既に決まっているものに、そうではないものを個人的に要求することは我儘と見なされるのではないか、むしろ批判の的になるのではないか、という先入観があった。
勇気を持って、それをカスタマイズしたいという要求を伝えれば、それが理にかなった範囲内に収まる限り、大抵は認められるし受け入れられるということが次第に分かってきた。
そもそも聞いてみるということが恥ずかしくてなかなかできない。しかし、よく一緒にお茶をしたりご飯を食べる長年の親友は、その聞いてみるが大の得意だ。
一緒に食事に行くと、あるメニューになにが入っているか、や、どんな形状か、など納得のいくまで細かく店員さんに質問する。私が小声でもういいよ、と言っても彼女は引き下がらない。正直、数年前まではそのやり取りが一緒にいて恥ずかしくて嫌だった。
しかし、ずっとそのような彼女の姿を見ていて私も学ぶことがあった。必要な情報や要求がある時は聞けばいいのだ。それは我儘でも恥ずかしいことでもないのだと。
何年も継続して仕事の合間に時々行く、アジア系の麺を扱うフォーの専門店のメニューには、だいたいこれまた私の苦手なもやしが入っている。最初の頃は、先にもやしをやっつけて、その後のんびりとフォーを楽しんでいたが、もやしをやっつけるのもストレスだなと思い、注文時にもやし抜きでお願いします。と言ってみることにした。
注文を取ったスタッフがキッチンのスタッフに「もやし抜きで!」と伝える。その声が店中に響き渡り、もやし嫌いがみんなにバレてしまうことがまた恥ずかしい。小さくなって座り、注文した麺を置かれる時、また「〇〇フォーもやし抜きです」と言われるのが更に恥ずかしい。パクチー抜きには恥ずかしい響きはあまりないし、もっとメジャーなアレルギーのありそうな食材なら分かるが、もやし抜きはなんとも言えない気恥ずかしさがある。
その店に行くたびに、「もやし抜きの人」と思われるのも気まずいため、忘れられたくらいのタイミングでしれっと通っている。だが、その話を別の友人にしたら、その方はネギが苦手で、行きつけのパスタ屋さんで毎回和風パスタをネギ抜きで注文していたら、店の方から暗黙の了解でネギを入れずに出してくれるようになったとのこと。この手のカスタマイズもまた恥ずかしいことではなかったようだ。
ちょっとのことですぐ気恥ずかしさに負けるこの性格はなかなか治らないが、世の中は私が思っているよりも寛容なのかもしれない。
とは言えやはり、家にいる時が一番ほっとするのは否めないこと。
寒い冬の日、ほっこりとお家タイムをより心温まるものにしてくれるものは、自分で作るミルクなしのチャイ。チャイは牛乳が入って完成というのは一般常識だけれども、必ずしもそうしなければならないということはない。
今日のスパイスは、シナモン、クローブ、スターアニス、黒こしょう、カルダモン(今回ちゃんとしたのがなかったため、市販のパウダー)。共通点は冬に適していることだが、複数ミックスさせることで、効果が偏らずバランスも取れる。特に決まり事もないので、自宅にある心惹かれるスパイスを普通の紅茶に適当に入れればOK.
以下、効能を簡単に。
〇シナモン(カシア)
一晩置くと甘みが増しオススメ
ドーシャ別効果
ヴァータ↓ ピッタ↑ カファ↓
作用
血液浄化、鎮痛(関節痛、生理痛)、去痰、駆風、健胃、利尿、発汗
浄化解毒作用があり、血液循環を上げる。冷え性、風邪に◎
血糖値下げる。アンチエイジング効果もあり。
〇クローブ
妊娠中は多量の使用を控える
ドーシャ別効果
ヴァータ→ ピッタ↓ カファ↓
作用
去痰、駆風、鎮痛、催淫、血液浄化、血行促進、抗酸化、抗炎症、抗菌
吐き気、ガス、消化不良、消化器系の痛み緩和。歯痛。肝臓腎臓の強壮。
〇スターアニス
女性ホルモン、更年期不調のケアにも
ドーシャ別効果
ヴァータ↓ ピッタ↑ カファ↓
作用
鎮静、抗菌、消化促進、便秘改善、代謝促進、血行促進
リンパ循環を整えむくみ軽減、神経の興奮を抑えリラックス、憂鬱感軽減。
〇黒こしょう
肉の臭い消しや食品の防腐にも
ドーシャ別効果
ヴァータ↓ ピッタ↑ カファ↓
作用
去痰、駆風、解熱、消化促進、健胃、鎮痛、発汗、利尿、血行促進
消化を活性化し毒素を排出。花粉症対策。脳の活性化。免疫力up
〇カルダモン
香り高くスパイスの女王とも呼ばれる
ドーシャ別効果
ヴァータ↓ ピッタ↑ カファ↓
作用
去痰、駆風、消化促進、健胃、発汗、抗酸化、抗炎、殺菌作用
消化吸収調整、肝臓の解毒、脳機能up、神経バランス回復、カフェイン中和