【読書感想】情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編/情報文化研究所
「情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編」こちらの本、読みました。
以前記事にした「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」が面白かったので、同シリーズの第2弾となる本書も読みました。
上記が第1弾の本で、「論理学」「認知科学」「社会心理学」3つの専門分野からのアプローチで書かれているようです。
第2弾となる本書は「行動経済学」「統計学」「情報学」3つの専門分野からのアプローチで書かれているようです。
本の内容
まずはAmazonから本の内容を抜粋します。
こんな感じの本です。
記事の冒頭でも触れましたが、以前記事にした「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」が面白かったので、同シリーズの第2弾となる本書を読みました。
第1弾と第2弾で著者は違いましたが、監修者が同じようです。
そのためか第1弾と同様、第2弾も非常に面白かったです。
著者情報
本書の著者情報はちょっと独特です。
Amazonに載っている著者情報が分かりやすかったため、そちらを引用します。
いくつか引用と感想
サンクコストの誤謬
「サンクコストの誤謬」は、これまで読んだ本でも何度か遭遇していますが、引用するには至りませんでした。
なんとなく、他のバイアスの方が興味深かったためです。
ただ、今回は「サンクコストの誤謬」の解説で使われた事例が面白かったので引用してみました。
サンクコストの事例はたくさんあるのですが、その中で食べ放題をチョイスして書かれていたのが自分としてはビビッときたみたいです(サンクコストの事例が載っているリンクを貼っておきます)。
おそらく、食べ放題で後悔した経験が私にもあったからビビッときたのかなと思います。
最近は食べ放題をする機会がほとんど無くなってしまいましたが、学生時代の食べ放題で代金分を回収しようと食べ過ぎてしまった経験は私にもあります。
そういった経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
また、サンクコストの誤謬に陥っていない良い事例として「スーパーマーケットの半額シール」が紹介されていたのも良かったです。
この事例が紹介されていたのも、今回引用した理由の1つです。
ということで、次の引用は「スーパーマーケットの半額シール」の事例です。
サンクコストの誤謬を脱するのは、なかなか難しい印象があります。
「無駄にしたくない」「無駄だと思いたくない」心理状況にあるわけなので、そこから脱する決断をするのは勇気が必要そうです。
そういった意味では、スーパーマーケットの半額シールは潔い対策に感じます。
破格で処分して少しでも回収しようとしているわけで、良い意味でプライドが無い感じが良いなと思いました。
デフォルト効果
「デフォルト効果」も、これまで読んだ本で何度か遭遇しています。
今回引用した理由は「サンクコストの誤謬」と同じく、解説で使われた事例が面白かったためです。
「シートポケットの雑誌やパンフレット」の件には納得感があります。
私はペラペラめくって元に戻す人です。
そしてもちろん、シートポケットに何もなくても特に気になりません。
もう一つの事例、「レジ袋の有料化」の件も納得感がありました。
たしかに最近デフォルトが変わった分かりやすい事例です。
それにしても、レジ袋辞退率が7~8割というのは驚きです。効果絶大ですね。
私もレジ袋の有料化きっかけでエコバッグを持つようになりました。
しっかりデフォルト効果の影響を受けたわけですね。
デフォルト効果は今回の引用でも分かるように強力なので、取り扱い注意としているようです。
ということで、次の引用はその辺りに関してです。
今回の引用で触れている事例(妊娠検査にHIV検査をデフォルトで含める、ジェネリック医薬品をデフォルトにする)も、読む限りではデフォルト効果の影響が大きい印象です。
どの事例も効果が絶大だからこそ、場合によっては意図せず不利益が生じることもあるかなと思います。
「サブスク契約の自動更新」などもそれに該当するかなと思います。
更新のタイミングで「継続 or 退会」の判断を仰がずに自動更新にしてしまうことで、継続利用の可能性を高めていたりするかなと。
「あまり使ってないから退会しよう」とシビアに考えている人はあまり損しない気もしますが、「退会手続きが面倒…」といった感じでズルズルと継続利用している人も多そうです。
今回の引用の最後では、デフォルト効果の「決定的な防衛策というものはない」としています。
強いて言うなら「考える労力を惜しまない、あるいは違う表現に置き換える」としています。
なかなか強引な防衛策にも感じますが、私も良い案は浮かびません。
これしかないのかもしれません。
1つ前の引用で紹介した「レジ袋の有料化」は環境面から見ても良い事例だと思うのですが、そういった事例ばかりではないということですかね。
デフォルト効果の事例は他にもたくさんあるので、事例が載っているサイトをリンクしておきます。
棒グラフの誤用
グラフって便利ですよね。
仕事で資料を作る際にも、データを分かりやすく伝えたい時はグラフを多用するようにしています。
字で埋め尽くされた資料は読みにくいですし、読み手の負荷も高くなってしまいます。
図解やグラフを多用できれば、視覚的に情報を伝えやすくなります。
資料の中でも、プレゼン資料は特に図解やグラフを多用します。
プレゼンのスライドが字で埋め尽くされていると、それを読み上げるだけの発表になってしまいます。
それではプレゼンの意味があまりないかなと。
プレゼンを見る側の立場で考えても、グラフで表現されると分かりやすくてありがたいです。
ただ、グラフの細かいところまでジックリ見たりはしないんですよね。
発表者の説明を聞きながらグラフを見ているわけですし、グラフのスライドを表示している時間も短かったりします。
なので発表者の立場で考えると、グラフの表現次第で騙そうと思えば騙せそうな気はするんですよね(実際にはしませんけど)。
ということで、次の引用は「目盛りが省略されたグラフ」に関してです。
本書では図1・図2としてグラフが載っており、目盛りの省略前後が分かりやすいです。
ただ、そのグラフをそのまま引用することはできないので同じようなグラフをスプレッドシートで作成してみました。
同じような感じで再現できたので、今回の引用に書かれている図1・図2の代わりとして機能するかなと思います。
どちらも元となるデータは同じですが、目盛りが省略されただけでグラフの印象がかなり違うかなと思います。(以下の図1、図2)
図1はグラフだけ見ると、A社・B社・C社でデータにある程度の差があるように見えます。
ですが、目盛りの数値をよく見てみると実際にはほとんど差がありません。
対して図2はグラフ的にもA社・B社・C社でデータにほとんど差がありません。
誠実に感じるグラフではあるものの、そもそもグラフにする意味がほとんどなさそうだなと。
図1ほど極端ではないかもしれませんが、図1に似たようなグラフはCMや広告でたまに見かけます。
特にCMで使用されるグラフは一瞬の表示だったりしますし、目盛りが調整されているかをチェックする時間がないくらいの短さだったりします。
仮にもう少しデータに差が出ていて、多少の目盛りの調整でデータの差が分かりやすくなるなら、私も目盛りを省略する可能性はあります。
とはいえ図1は、あきらかに誤魔化したい気持ちがあるような気がしてしまいます。
目盛りを省略するにしても常識の範囲内でやらないとですね。
あとは、省略する場合は目盛りを調整している旨を必ず伝えるとか。
「棒グラフの誤用」でネット検索したところ、色々なグラフの誤用の事例が載っていたサイトがヒットしました。
せっかくなのでリンクしておきます。
標本の偏り
アンケート結果を見るとき、割合がどうとか、自分ならどこに該当するかとか、そういったところに目が行きがちかなと思います。
人によるかもしれませんが、少なくとも自分はそうだなと。
そこで大事になってくるのはアンケート結果を鵜呑みにせず、どういう方法でアンケートを取ったかもチェックしておくことですよね。
アンケートの内容にもよりますが、「調査方法(電話・SNS・街頭など)」「回答者数」「年齢層」といったところが気になるところです。
回答者数が十数人しかないアンケートだったりするのも、たまに見かけます。
そういったアンケートであっても参考になるかもしれませんが、そこまで信頼性の高いデータではないですよね。
本書では「標本の偏り」に関して他の事例も挙げつつ解説されているのですが、全て引用すると長くなってしまうので割愛します。
代わりに参考になりそうなサイトをいくつかリンクしておきます。
「標本の偏り」に関して、SNS上のアンケートに対する内容が印象的でした。
その辺りも引用してみます。
SNS上のアンケート調査の信頼性に関しては以前から気になっていたので、そこに関して言及していた部分を引用してみました。
今回引用した内容に書かれているように、標本の偏りを排除するのは難しそうです。
こういったアンケートが全く参考にならないわけではないですが、「アンケート結果=世論」とするのは危険そうだなと。
あくまで参考程度に留めた方が良さそうだなと改めて思いました。
また、そもそもSNSを利用しない層がアンケート対象から除外されていることも気を付けたいところです。
テレビでやっている街頭インタビューに関しても、基本的に数人分のインタビューしか放送しないことが多いかなと思います。
数十人、数百人といったボリュームで全てを放送することはほとんどないかなと。
数人のインタビューにも関わらず、世間の代表みたいな感じに見えてしまうのがなんだかモヤモヤします。
街頭インタビューも全く参考にならないわけではないですが、あくまで参考程度に留めた方が良さそうだなと改めて思いました。
第三者効果
「第三者効果」は以前の記事でも引用していました。
【読書感想】イラストでサクッとわかる! 認知バイアス - 第三者効果:メディアの情報を鵜呑みにする人って多いよね
上記リンクの引用の感想として、『親が子供への影響を心配してテレビ等に規制を求める行動にも、この「第三者効果」が働いていそうだな』と思っていました。
そういった「これも第三者効果に該当する?」と疑問に思っていたことにズバリ該当する内容が書かれていたので、引用してみました。
今回の引用でも書かれているタバコの件も、正直なところ「そこまで規制しなくても…」と思ってしまいます。
ですが第三者効果が働くことを想像すると、「しょうがないのかもな…」と思えてきます。
単位バイアス
「キリの良いところまで」というのは、普段の生活の中でもよくありますよね。
引用にもある「万歩計」の話は、私も共感します。
もし4500歩くらいだったら5000歩まで歩きたいですし、9500歩くらいだったら10000歩まで歩きたくなります。
読書の件も共感します。
ビジネス書の場合は複数冊を交互に読むことが多いです。
本Aの1章分が読み終わったら、次は本Bの1章分を読んで、それが読み終わったら本Aに戻って・・・という感じです。
しっかり単位バイアスが働いていますね。
ただ、小説の場合はそういったことはせずに1冊を一気読みすることが多いです。
単位バイアスに関して、もう一つ引用してみます。
これまで筋トレ・ダイエット関連の記事をいくつか投稿している身としては、今回の引用は興味深かったです。
この単位バイアスをうまく活かせば、食事量をうまくコントロールできる可能性があるなと思いました。
例えば「ポテトチップスをどうしても食べたい」となった場合。
ダイエット中なら「一袋全て食べるのはさすがになぁ…」と葛藤するはず。
そういった状況なら、皿に半分だけ移してから食べると良さそうです。
皿にある分だけ食べて、なんとか満足できる可能性はありそうだなと思いました。
「半分くらい食べよう」と思いつつ袋から直接食べると、ストップするタイミングが難しそうです。
結局止めることが出来ず、一袋全て食べてしまう可能性が高いかなと。
もちろん、皿に半分だけ移してから食べたとしても、結局満足できずに残り半分も食べてしまうことはあり得ます。
ですが袋から直接食べるのと比べると、皿に移してから食べる方が食欲をうまくコントロールできそうな気がしました。
おわりに
ということで「情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編」に関してアレコレ書いてみました。
今回の記事で引用したのは、
サンクコストの誤謬
デフォルト効果
棒グラフの誤用
標本の偏り
第三者効果
単位バイアス
の6つでした。
最初の2つは「第1部 認知バイアスへの行動経済学的アプローチ」からの引用となります。
「デフォルト効果」が印象的でした。
今回引用した事例で見ても、デフォルト効果を採用する前後でデータの推移が大きく変わっています。
それくらいデフォルト効果の影響は強力なようです。
仕事をするうえで採用する側としても、利用する側としても、気を付けないといけないなと思いました。
次の2つは「第2部 認知バイアスへの統計学的アプローチ」からの引用となります。
「標本の偏り」が印象的でした。
ニュース等でアンケート結果やランキングを見る機会がけっこうあります。
その際、アンケート方法の詳細であったり、ランキングのルールも載せているはず。
それにも目を通したうえで、そのアンケート結果やランキングをどの程度参考にするか(信用するか)を判断する習慣が身に付くと良さそうだなと思いました。
最後の2つは「第3部 認知バイアスへの情報学的アプローチ」からの引用となります。
「単位バイアス」が印象的でした。
絶賛ダイエット中なので、単位バイアスをうまく活かせたらなと思いました。
食べ物を買う際も、細かく個包装されているものをなるべく選んでみようと思います(チーズやチョコなど)。
これにより、食べ過ぎを防止できたりするかなと。試してみます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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