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【読書感想】情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編/情報文化研究所

「情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編」こちらの本、読みました。

以前記事にした「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」が面白かったので、同シリーズの第2弾となる本書も読みました。

上記が第1弾の本で、「論理学」「認知科学」「社会心理学」3つの専門分野からのアプローチで書かれているようです。
第2弾となる本書は「行動経済学」「統計学」「情報学」3つの専門分野からのアプローチで書かれているようです。


本の内容

まずはAmazonから本の内容を抜粋します。

■「行動経済学」「統計学」「情報学」の3つの研究分野からアプローチ。
合計60の認知バイアスを解説します。
なぜか人間に実装されている脳のバグとも言うべき「認知バイアス」。
本書では、「行動経済学」「統計学」「情報学」の3つの研究分野からアプローチし、
計60の認知バイアスを豊富な図版とイラストを用いて解説します。

こんな感じの本です。

記事の冒頭でも触れましたが、以前記事にした「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」が面白かったので、同シリーズの第2弾となる本書を読みました。

第1弾と第2弾で著者は違いましたが、監修者が同じようです。
そのためか第1弾と同様、第2弾も非常に面白かったです。

著者情報

本書の著者情報はちょっと独特です。

Amazonに載っている著者情報が分かりやすかったため、そちらを引用します。

著者 情報文化研究所(米田紘康/竹村祐亮/石井慶子)
「情報文化論および関連諸領域に関する研究の推進と交流」を目的として1996年に発足した情報文化研究会を基盤に2018年に設立。
新進気鋭の研究者や多彩な分野で活躍している社会人も幅広く所属し、活発な議論や提言を行っている。
所長は、高橋昌一郎。
本書を執筆した情報文化研究所所属の研究者3人の現職と研究テーマは、次のとおりである。

米田紘康(第Ⅰ部執筆)
桃山学院大学准教授。専門は行動経済学、神経経済学。人間が不確実性な状況におかれたとき、どのように意思決定するのかを研究している。また行動経済学を社会実装し、問題解決に貢献するナッジに関心がある。

竹村祐亮(第Ⅱ部執筆)
同志社大学特別研究員。専門は空間統計学。ある疾病による死亡といった事象が周囲と比べて多く発生する地域(ホットスポット)を特定するための手法を研究テーマとしている。

石井慶子(第Ⅲ部執筆)
青山学院大学助教。専門は熱流体工学、可視化計測など。未利用熱のリサイクル法や、熱物質輸送に興味があり、持続可能・省エネルギーなものづくり技術の開発を目指している。

監修者 高橋昌一郎
1959年生まれ。國學院大學教授。専門は、論理学・科学哲学。
主要著書に『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』(以上、講談社現代新書)、『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』(以上、光文社新書)、『愛の論理学』(角川新書)、『東大生の論理』(ちくま新書)、『小林秀雄の哲学』(朝日新書)、『哲学ディベート』(NHKブックス)、『ノイマン・ゲーデル・チューリング』(筑摩選書)、『科学哲学のすすめ』(丸善)などがある。
情報文化研究所所長、Japan Skeptics副会長。

いくつか引用と感想

サンクコストの誤謬

食べ放題でコスパを考える愚
食べ放題は、まったく食べなくても大量に食べても料金は同じだ。固定された料金なので、安心して好きなものを好きなだけ食べて、満足すればいい。それが本来の食べ放題の楽しみ方だ。
しかし、中には食べ放題で後悔する人がいる。その原因は、支払った代金分、あるいはそれ以上を食べようとするも、何らかの理由によってそれが叶わなかったからだ。自分の好みで食べるものを決めればいいのに、最近では原価率の高さで選ぶ人もいるそうだ。
サンクコストの誤謬とは、このように一度支払って戻ってこない費用に固執するあまり、合理的な判断ができないことを指す。

「サンクコストの誤謬」は、これまで読んだ本でも何度か遭遇していますが、引用するには至りませんでした。
なんとなく、他のバイアスの方が興味深かったためです。

ただ、今回は「サンクコストの誤謬」の解説で使われた事例が面白かったので引用してみました。
サンクコストの事例はたくさんあるのですが、その中で食べ放題をチョイスして書かれていたのが自分としてはビビッときたみたいです(サンクコストの事例が載っているリンクを貼っておきます)。

おそらく、食べ放題で後悔した経験が私にもあったからビビッときたのかなと思います。
最近は食べ放題をする機会がほとんど無くなってしまいましたが、学生時代の食べ放題で代金分を回収しようと食べ過ぎてしまった経験は私にもあります。

そういった経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

また、サンクコストの誤謬に陥っていない良い事例として「スーパーマーケットの半額シール」が紹介されていたのも良かったです。
この事例が紹介されていたのも、今回引用した理由の1つです。

ということで、次の引用は「スーパーマーケットの半額シール」の事例です。

スーパーマーケットの半額シールを見習おう
サンクコストの誤謬が起こる原因はいくつか考えられる。
損失・失敗として認めたくない、今後の進展に楽観的、あるいはあまり深く考えないようにしているなどの惰性によるものである。しかし、そうはいってもなかなか難しい。なぜなら、官僚や一流企業でもこの呪縛から解放されないからだ。
そこで考え方の1つとして、閉店間際のスーパーマーケットで見られる生鮮食品やお惣菜の特売を見習ってほしい。
店側としては、食材を仕入れた時点でサンクコストだ。調理や加工をしたら返品不可能なので、売れ残った段階で損失確定となる。だからスーパーマーケットは定価で売れ残るよりも、サンクコストに固執せず、破格で処分する。これは仕入れ分の回収をあきらめて、加工賃の一部でも回収しようとしているわけだ。

サンクコストの誤謬を脱するのは、なかなか難しい印象があります。
「無駄にしたくない」「無駄だと思いたくない」心理状況にあるわけなので、そこから脱する決断をするのは勇気が必要そうです。

そういった意味では、スーパーマーケットの半額シールは潔い対策に感じます。
破格で処分して少しでも回収しようとしているわけで、良い意味でプライドが無い感じが良いなと思いました。

デフォルト効果

レジ袋がデフォルト?
飛行機や新幹線のグリーン席のシートポケットには雑誌やパンフレットなどが入っている。ペラペラめくって元に戻す人、あるいは持って帰る人もいるだろう。これらを手に取る人たちに質問したい。もしシートポケットに何もなかったら、CAさんや車掌さんに持ってきてもらうようにお願いするだろうか。おそらく、ほとんどの人はしないはずだ。
つまり、初期状態によって人の行動が左右される。これをデフォルト効果という。デフォルトとは、最初から設定されている状態や条件のことだ。自身が置かれた状態によって行動が変わるという意味では、フレーミング効果の一種と考えることができる。
近年、日本で最も大きくデフォルトが変わった出来事は、レジ袋の有料化(2020年7月開始)だ。それまで黙っていても配布されていたものが、申告したうえで有料になった。有料化の影響もあるのでデフォルト効果だけの効果とはいえないが、レジ袋辞退率が7~8割になり、レジ袋の国内流通量が約20万トン(2019年)から約10万トン(2021年)まで減少した。

「デフォルト効果」も、これまで読んだ本で何度か遭遇しています。
今回引用した理由は「サンクコストの誤謬」と同じく、解説で使われた事例が面白かったためです。

「シートポケットの雑誌やパンフレット」の件には納得感があります。
私はペラペラめくって元に戻す人です。
そしてもちろん、シートポケットに何もなくても特に気になりません。

もう一つの事例、「レジ袋の有料化」の件も納得感がありました。
たしかに最近デフォルトが変わった分かりやすい事例です。
それにしても、レジ袋辞退率が7~8割というのは驚きです。効果絶大ですね。

私もレジ袋の有料化きっかけでエコバッグを持つようになりました。
しっかりデフォルト効果の影響を受けたわけですね。

デフォルト効果は今回の引用でも分かるように強力なので、取り扱い注意としているようです。
ということで、次の引用はその辺りに関してです。

デフォルト効果はかなり強力なので取り扱い注意
表記方法を変えるだけで、行動が変わる例は多々ある。
たとえば、南アフリカのある病院では、妊娠検査にHIV検査が含まれている。妊婦に拒否権はあるが、検査を前提にすることで98%の妊婦が受け入れた。また日本では医療費増加を抑えるために、特許期間が切れたジェネリック医薬品を推進する動きがあった。ところが、あまり普及しなかったので、2008年に処方箋の形式が変更された。医師が従来の先発医薬品を希望する場合は、「後発医薬品への変更不可」欄への署名が必要となったため、ジェネリック医薬品が前提となった。診療報酬上の後押しなどもあったので、一概にデフォルト効果だけの影響とは断言できないが、数量シェアは32%(2005年)から79%(2021年)まで上昇している。
デフォルト効果の影響は、シンプルでありながら強力だ。
したがって、政府や自治体、企業が採用することが多い。その際の設定には注意を払う必要がある。安易な設定は、利用者や消費者に倫理的、経済的な不利益をもたらす可能性があるからだ。
一方、利用者側も惰性で判断することは危険だ。初期設定の内容が多岐にわたるので、決定的な防衛策というものはない。しかし、考える労力を惜しまない、あるいは違う表現に置き換えることなどで冷静な判断を取り戻すことができるだろう。

今回の引用で触れている事例(妊娠検査にHIV検査をデフォルトで含める、ジェネリック医薬品をデフォルトにする)も、読む限りではデフォルト効果の影響が大きい印象です。

どの事例も効果が絶大だからこそ、場合によっては意図せず不利益が生じることもあるかなと思います。
「サブスク契約の自動更新」などもそれに該当するかなと思います。

更新のタイミングで「継続 or 退会」の判断を仰がずに自動更新にしてしまうことで、継続利用の可能性を高めていたりするかなと。

「あまり使ってないから退会しよう」とシビアに考えている人はあまり損しない気もしますが、「退会手続きが面倒…」といった感じでズルズルと継続利用している人も多そうです。

今回の引用の最後では、デフォルト効果の「決定的な防衛策というものはない」としています。
強いて言うなら「考える労力を惜しまない、あるいは違う表現に置き換える」としています。

なかなか強引な防衛策にも感じますが、私も良い案は浮かびません。
これしかないのかもしれません。

1つ前の引用で紹介した「レジ袋の有料化」は環境面から見ても良い事例だと思うのですが、そういった事例ばかりではないということですかね。

デフォルト効果の事例は他にもたくさんあるので、事例が載っているサイトをリンクしておきます。

棒グラフの誤用

誤解を与えたり、騙すためのグラフが存在する
日常的に使われるグラフとしては、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフが思いつく。これらは、小・中学校の教科書に使われるなど一般的なグラフだといえるだろう。
グラフの利点は、大量のデータを1枚の図として表現でき、データから視覚的に情報を読み取れるということにある。実際に、テレビや新聞のニュースではグラフを使って説明をする場面を見る。また、企業の広告などでは、商品やサービスの効果をグラフにして宣伝する場合もある。
このように、グラフは私たちの生活の中で当たり前のように使われている。そのため、私たちは普段から目にするグラフを判断の基準とすることがある。
しかし、ニュースや広告の中でも私たちの誤解を招くようなグラフが使われる場合もある。ひどい場合には、私たちを騙す目的でグラフが使われている場合もあるだろう。こうしたグラフの誤用に騙されないためにも、グラフの注意すべき点について知っておくべきである。
ここでは、棒グラフの誤用について見ていこう。

グラフって便利ですよね。
仕事で資料を作る際にも、データを分かりやすく伝えたい時はグラフを多用するようにしています。

字で埋め尽くされた資料は読みにくいですし、読み手の負荷も高くなってしまいます。
図解やグラフを多用できれば、視覚的に情報を伝えやすくなります。

資料の中でも、プレゼン資料は特に図解やグラフを多用します。
プレゼンのスライドが字で埋め尽くされていると、それを読み上げるだけの発表になってしまいます。
それではプレゼンの意味があまりないかなと。

プレゼンを見る側の立場で考えても、グラフで表現されると分かりやすくてありがたいです。
ただ、グラフの細かいところまでジックリ見たりはしないんですよね。
発表者の説明を聞きながらグラフを見ているわけですし、グラフのスライドを表示している時間も短かったりします。

なので発表者の立場で考えると、グラフの表現次第で騙そうと思えば騙せそうな気はするんですよね(実際にはしませんけど)。
ということで、次の引用は「目盛りが省略されたグラフ」に関してです。

目盛りが省略されたグラフ
まず、棒グラフは、名前のとおり数量の大小を棒の長さによって表したグラフのことを指す。そのため、自社と他社の年間売上の比較といったように複数の値を比較する際によく使われる。
棒グラフには、棒の長さを測るための目盛りがつけられるが、棒グラフの誤用として最も多い例は、目盛りの一部を省略することが挙げられる。
仮のデータを使って簡単な例を示そう。
まずは、図1のグラフを見てほしい。このグラフは、ある製品を販売しているA社、B社、C社の利用者満足度を示しているとする。ここで、このグラフがA社の広告に使われており、広告には、「利用者満足度No.1」の文字が大きく書かれていたとしよう。さて、この宣伝は妥当だといえるだろうか。
確かにグラフを見ると、A社の満足度が最も高い。したがって、利用者満足度No.1という広告が誤りというわけではなさそうだ。しかし、グラフの左側に示された目盛りの下部を見ると、0%からではなく95%から始まっており、目盛りが省略されていることがわかる。
一方で、目盛りが省略される前のグラフ(図2)を見ると、A社、B社、C社に大きな差はないことがわかる。つまり、A社が宣伝する利用者満足度の差について広告に載せるほどの意味があるかは疑問が生じるのである。
この例で示したように、目盛りの省略には、実際にはわずかな差しかないにもかかわらず、大きな違いがあるように見せるという効果がある。もっと悪質な場合には、目盛りのないグラフが使われる場合もある。見せかけのグラフにごまかされないためにもグラフの目盛りには注意しよう。

本書では図1・図2としてグラフが載っており、目盛りの省略前後が分かりやすいです。
ただ、そのグラフをそのまま引用することはできないので同じようなグラフをスプレッドシートで作成してみました。

同じような感じで再現できたので、今回の引用に書かれている図1・図2の代わりとして機能するかなと思います。

どちらも元となるデータは同じですが、目盛りが省略されただけでグラフの印象がかなり違うかなと思います。(以下の図1、図2)

図1:目盛りが省略されたグラフ
図2:目盛りが省略される前のグラフ

図1はグラフだけ見ると、A社・B社・C社でデータにある程度の差があるように見えます。
ですが、目盛りの数値をよく見てみると実際にはほとんど差がありません。

対して図2はグラフ的にもA社・B社・C社でデータにほとんど差がありません。
誠実に感じるグラフではあるものの、そもそもグラフにする意味がほとんどなさそうだなと。

図1ほど極端ではないかもしれませんが、図1に似たようなグラフはCMや広告でたまに見かけます。
特にCMで使用されるグラフは一瞬の表示だったりしますし、目盛りが調整されているかをチェックする時間がないくらいの短さだったりします。

仮にもう少しデータに差が出ていて、多少の目盛りの調整でデータの差が分かりやすくなるなら、私も目盛りを省略する可能性はあります。

とはいえ図1は、あきらかに誤魔化したい気持ちがあるような気がしてしまいます。
目盛りを省略するにしても常識の範囲内でやらないとですね。
あとは、省略する場合は目盛りを調整している旨を必ず伝えるとか。

「棒グラフの誤用」でネット検索したところ、色々なグラフの誤用の事例が載っていたサイトがヒットしました。
せっかくなのでリンクしておきます。

標本の偏り

現在、さまざまな分野で行われる調査の多くは標本調査に分類され、その際に気をつけなければならないことが標本の偏りだ。
仮に当たりくじの割合が10%のくじ引きがあったとしよう。このとき、この10%という割合を調べるためにくじを100回引いたとする。引いたくじの中に当たりくじが10個あれば、当たりくじの割合が10%であると推測できる。
では、当たりくじが20個引けた場合や、1つも引けなかった場合はどうだろうか。正しく10%という割合を推測することはできない。
このように、取り出した標本が元の集団と異なる傾向にあれば、標本に偏りがあるといえる。統計学では、推測に影響を与える偏りをバイアスと呼ぶ。特に、調査者の標本の取り出し方によって生じるバイアスを標本抽出バイアス(サンプリングバイアス)という。

アンケート結果を見るとき、割合がどうとか、自分ならどこに該当するかとか、そういったところに目が行きがちかなと思います。
人によるかもしれませんが、少なくとも自分はそうだなと。

そこで大事になってくるのはアンケート結果を鵜呑みにせず、どういう方法でアンケートを取ったかもチェックしておくことですよね。
アンケートの内容にもよりますが、「調査方法(電話・SNS・街頭など)」「回答者数」「年齢層」といったところが気になるところです。

回答者数が十数人しかないアンケートだったりするのも、たまに見かけます。
そういったアンケートであっても参考になるかもしれませんが、そこまで信頼性の高いデータではないですよね。

本書では「標本の偏り」に関して他の事例も挙げつつ解説されているのですが、全て引用すると長くなってしまうので割愛します。
代わりに参考になりそうなサイトをいくつかリンクしておきます。

「標本の偏り」に関して、SNS上のアンケートに対する内容が印象的でした。
その辺りも引用してみます。

標本の偏りを完全になくすのは難しい
最近では、SNS上でもアンケート調査が行われることがある。しかし、こうした調査結果の信頼性は次の理由から疑ってかかるべきだ。
●回答者の多くは調査者のフォロワーである可能性が高い。
●1人の回答者が複数のアカウントで回答しているかもしれない。
●調査者が別のアカウントを利用して回答者になることも可能に。
以上の問題を避ける方法がSNSでは存在しない。したがって、どれだけ多くの回答者を得られたとしても標本の偏りを排除できないのだ。
では、インターネット・SNSなどの媒体から偏りなく情報収集できる術はあるのか?
あなたが旅行に行く際に観光地や飲食店を調べたいとき、どのようにして調べるだろうか。SNSの場所だけ調べていたり、グルメサイトの口コミだけを見ていたりしないだろうか。しかし、その情報にはSNSや口コミサイトの利用者のみの意見というバイアスが生じている。
標本の偏りを完全になくすことは難しい。しかし、さまざまな角度、方法による情報収集でバイアスの影響を少しでも外すことを意識したい。

SNS上のアンケート調査の信頼性に関しては以前から気になっていたので、そこに関して言及していた部分を引用してみました。

今回引用した内容に書かれているように、標本の偏りを排除するのは難しそうです。
こういったアンケートが全く参考にならないわけではないですが、「アンケート結果=世論」とするのは危険そうだなと。
あくまで参考程度に留めた方が良さそうだなと改めて思いました。

また、そもそもSNSを利用しない層がアンケート対象から除外されていることも気を付けたいところです。

テレビでやっている街頭インタビューに関しても、基本的に数人分のインタビューしか放送しないことが多いかなと思います。
数十人、数百人といったボリュームで全てを放送することはほとんどないかなと。

数人のインタビューにも関わらず、世間の代表みたいな感じに見えてしまうのがなんだかモヤモヤします。
街頭インタビューも全く参考にならないわけではないですが、あくまで参考程度に留めた方が良さそうだなと改めて思いました。

第三者効果

アニメの規制
漫画『ONEPIECE(ワンピース)』にサンジというキャラクターがいる。漫画や日本版のアニメではいつもタバコをくわえているが、海外アニメ版では、棒がついた飴玉をくわえている。アニメ「クレヨンしんちゃん」でも、教育上好ましくない”下品な”シーンが封印されるようになった。
他にも、殺人犯や性犯罪者が好んでいたアニメやゲームを規制しようという声が上がることは多い。
いずれも子どもへの悪影響を防ぐためなのだろうが、こうした規制の動きは健全な社会のために必要なことなのだろうか?
この現象に着目した一つの理論が第三者効果である。
第三者効果とは、メディアやインターネット等でプロパガンダ(特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為のこと)や有害な情報にさらされたとき、自分自身はあまりその影響を受けないが、他人は大きな影響を受けやすいと考える傾向のことである。したがって、自分以外の第三者はメディアに悪い影響を受けやすいと考え、マスメディア等への規制を必要以上に進めてしまう可能性が指摘されている。

「第三者効果」は以前の記事でも引用していました。

【読書感想】イラストでサクッとわかる! 認知バイアス - 第三者効果:メディアの情報を鵜呑みにする人って多いよね

上記リンクの引用の感想として、『親が子供への影響を心配してテレビ等に規制を求める行動にも、この「第三者効果」が働いていそうだな』と思っていました。
そういった「これも第三者効果に該当する?」と疑問に思っていたことにズバリ該当する内容が書かれていたので、引用してみました。

今回の引用でも書かれているタバコの件も、正直なところ「そこまで規制しなくても…」と思ってしまいます。
ですが第三者効果が働くことを想像すると、「しょうがないのかもな…」と思えてきます。

単位バイアス

単位が我々の行動に与える影響
「万歩計を確認したら9534歩だった。1万歩になるまで歩こう」
「そろそろ就寝時間だけど、読んでいる本の第2章が終わるまで残り数十ページ。そこまで読んでから寝るか・・・」
似たような経験をした人は多いはずだ。このように、人間はタスクをこなしているとき、単位を意識して完了するまで続けたり、あるいは途中でやめたりする傾向がある。これを単位バイアスという。
単位バイアスにより、本来ならやめてもいいことを続けたり、続けてもいいことをやめてしまうのだ。

「キリの良いところまで」というのは、普段の生活の中でもよくありますよね。

引用にもある「万歩計」の話は、私も共感します。
もし4500歩くらいだったら5000歩まで歩きたいですし、9500歩くらいだったら10000歩まで歩きたくなります。

読書の件も共感します。
ビジネス書の場合は複数冊を交互に読むことが多いです。
本Aの1章分が読み終わったら、次は本Bの1章分を読んで、それが読み終わったら本Aに戻って・・・という感じです。

しっかり単位バイアスが働いていますね。
ただ、小説の場合はそういったことはせずに1冊を一気読みすることが多いです。

単位バイアスに関して、もう一つ引用してみます。

ダイエットと単位バイアス
ダイエットを成功させるためには、食欲のコントロールが必須だが、満腹を感じるかどうかは必ずしも食べる量によらないという研究が複数存在するので紹介したい。
プレッツェルを被験者に食べてもらう実験を行った。
被験者を2つのグループに分け、1つ目のグループではプレッツェル1つをそのまま提供し、2つ目のグループには半分にして提供した。そして好きなだけ食べていいと指示し、どの程度食べるか観察した。
結果、被験者は提供されたプレッツェルを1皿だけ食べる傾向があった。つまり、プレッツェルを半分に切った場合、そのまま提供した場合と比べて総消費量が半分程度になったのだ(Geier, 2006)。
人は食べ物を量やカロリーではなく、個数として認識し、その単位をもとにして消費する傾向があるのだ。

これまで筋トレ・ダイエット関連の記事をいくつか投稿している身としては、今回の引用は興味深かったです。
この単位バイアスをうまく活かせば、食事量をうまくコントロールできる可能性があるなと思いました。

例えば「ポテトチップスをどうしても食べたい」となった場合。
ダイエット中なら「一袋全て食べるのはさすがになぁ…」と葛藤するはず。

そういった状況なら、皿に半分だけ移してから食べると良さそうです。
皿にある分だけ食べて、なんとか満足できる可能性はありそうだなと思いました。

「半分くらい食べよう」と思いつつ袋から直接食べると、ストップするタイミングが難しそうです。
結局止めることが出来ず、一袋全て食べてしまう可能性が高いかなと。

もちろん、皿に半分だけ移してから食べたとしても、結局満足できずに残り半分も食べてしまうことはあり得ます。
ですが袋から直接食べるのと比べると、皿に移してから食べる方が食欲をうまくコントロールできそうな気がしました。

おわりに

ということで「情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編」に関してアレコレ書いてみました。

今回の記事で引用したのは、

  • サンクコストの誤謬

  • デフォルト効果

  • 棒グラフの誤用

  • 標本の偏り

  • 第三者効果

  • 単位バイアス

の6つでした。

最初の2つは「第1部 認知バイアスへの行動経済学的アプローチ」からの引用となります。

「デフォルト効果」が印象的でした。

今回引用した事例で見ても、デフォルト効果を採用する前後でデータの推移が大きく変わっています。
それくらいデフォルト効果の影響は強力なようです。
仕事をするうえで採用する側としても、利用する側としても、気を付けないといけないなと思いました。

次の2つは「第2部 認知バイアスへの統計学的アプローチ」からの引用となります。

「標本の偏り」が印象的でした。

ニュース等でアンケート結果やランキングを見る機会がけっこうあります。
その際、アンケート方法の詳細であったり、ランキングのルールも載せているはず。

それにも目を通したうえで、そのアンケート結果やランキングをどの程度参考にするか(信用するか)を判断する習慣が身に付くと良さそうだなと思いました。

最後の2つは「第3部 認知バイアスへの情報学的アプローチ」からの引用となります。

「単位バイアス」が印象的でした。

絶賛ダイエット中なので、単位バイアスをうまく活かせたらなと思いました。

食べ物を買う際も、細かく個包装されているものをなるべく選んでみようと思います(チーズやチョコなど)。
これにより、食べ過ぎを防止できたりするかなと。試してみます。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

「仕事」関連の読書感想をマガジンにまとめています。
こちらも良ければぜひ。


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