読書記録|メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服
「メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服 」崔炯仁著、星和書店
専門性 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
読み易さ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
役立ち度 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
※個人的な感想です
写真はかなり古びた見た目ですが、、。
専門性が高く難解になりがちな心が形作られる仕組みを、非常に分かりやすく書いてある。素晴らし過ぎて、何度も読み返すうちにこうなりました。
境界性パーソナリティ障害やアダルトチルドレン、愛着形成がままならなかった人たち、その支援者や家族に必読の一冊。
この本の内容を上手に伝えることは、私の力量では難しい。なので、ぜひ読んで欲しいです。
心がどのように獲得されていくのか。
気持ちって他者によって映し出してもらうことで、少しずつ認識出来るようになる。
体の中から湧き上がる感覚に言葉をつけてもらって、その感覚を受け止め時にはなだめてもらう。
寂しかったね。
悔しかったね。
悲しかったね。
誰かにまず適切なラベルを提示してもらうことで、実感していく。これが悲しいってことなのか。って。
小さな子が大事にしていたおもちゃが誤って壊してしまい、泣いていた時。
親から「あらま!壊れちゃて、悲しいね。」と声をかけられ、よしよしとなだめながら、「直せないかなぁ。よーし、修理屋さんに変身!」と言いながら、直せないかみてくれたら。
悲しいという気持ちがわかるようになる。
しかし、このラベル付けが自身が感じたものと違ったら?
もしくはラベル付けしてもらえなかったら?
上の例で、「いつまでも泣いてるんじゃない!自分が悪いんでしょ」と言われたら?
自身の中にあった感覚と一致しない言葉、ラベルつけされない感情が心の中に欠片のように残る。
自身の感覚とズレた“ヨソモノ自己”が心に居座ることになる。ラベル付けされなかったものは、表現できない、何か分からないものとして未消化になる。
小さな事のようだけれど、適切なラベルつけをしてもらえないってことは、はちゃめちゃな生きづらさに繋がる。
その人が感じているであろう気持ちを適切に受け止め、言語化して返す。この作業がどんだけ大事か。
メンタライゼーションって、「自分の心を外から眺め、他人の心を内から捉えようとすること。」
境界性パーソナリティ障害やアダルトチルドレンの人たちは、これがとても難しいのではないかな?
自分自身の心が分からない。他人の心も。
なんだか分からないけど、怒り狂ってしまう。
気づいたら沸点に達するような怒りに支配されてしまう。(アンガーマネジメントで6秒待つなんて出来たら苦労しないよ!)
相手から攻撃されたからやり返して当然!って考える間もなく、気づいたらもう止められない渦の中にいる。そんな感じかと。
“投影同一視”
この仕組みをこの本で理解すると何が起こっているのか分かる。
そして、同時に大事なのが自他の境界を分かるようになること。
自他の境界を分かるって、サラっと書いたけど、この分離の過程が超絶な苦しさを伴う作業なのです。。
100%分かってくれる誰かはこの世にはいない。ってことを受け入れていく作業。
ボーダーやACは、頭で分かっていても、誰かに全部分かって欲しいという願望を捨てきれずに苦しんでる。
この分離を超える必要がある。
そのためには「自身の心を外から眺め、他人の心をその内側から捉えようとすること」、メンタライゼーションが役立つ。
この本を読んで、“治る“ということは無いけれど、何に苦しんでいるのか、その構造が明確になる。これだけでも大きな成果。
抜け出すためにやった方が良いことも分かる。
それは救いに繋がるのではないか。
繋がってほしい。
願いを込めて。
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