言語化力 vol.2
■読書感想文
題 名:『言語化力』
著 者:三浦崇宏 氏
出版社:SBクリエイティブ株式会社
本書のタイトルである『言語化力』という言葉について考えながら、備忘録兼、読書感想文を書いていきたい。
言語化する力 -言葉の作り方
「〇〇力」という単語は、世の中にたくさんある。
そして、それらの多くが「〇〇する力」という意味で使われる。
もっと丁寧に表現するなら、「〇〇するための力」ともいえる。
「説得力」は「説得する力」だし、
「突破力」は「突破する力」で、
「忍耐力」は「忍耐する力」だ。
今回僕が本書『言語化力』を手に取ったのも、"三浦さんが考える「言語化する力」について知りたかったから"だ。
そんなわけで、まずは「言語化するの力」としての「言語化力」を主役に、話を進めたい。
『言語化力』にはまさに「言語化する力」を高めてくれるノウハウ、いわば「言葉の作り方」が、これでもかと言うほど詰まっている。
章でいえば、主に1〜3章だ。
僕たちは本書を読み進めるにつれて、
自分が
・言葉にできる(1章)
・印象に残る言葉を作れる(2章)
・言葉で人を動かせる(3章)
ということについて、理解と自信を深めていく。
でも、「言語化する力」の真髄は、たぶん他のところにある。
本書を読んだ僕は、そう感じるようになった。
"他のところ"とはどこか。
それは、序章だ。
全286Pの本書にあって、"はじめに"から序章の終わりまで、56Pまで続く。そんなページ数を割いて、そこで何が語られているのか。
それは、「信じること」についてだ。もう少し言葉を足せば、「自分の言葉の価値を信じること」についてだ。
すべては言葉で変えられるー仕事も人間関係も人生も
-『言語化力』序章タイトル
それから本書の帯に目を移せば、こんなテーマが掲げられている。
君の言葉を、「最強の武器」にする方法。
武器が武器であるためには、まずはその力を信じ、手に取らなければならない。
武器の力を信じるためには、それが信じるに足る力を持つように、研ぎ澄ましておかなければならない。
だから、1〜3章で語られたテクニックやノウハウはきっと、僕たちの言葉を研ぎ澄ます術、いわば「言語化”術”」だ。
それが必要なプロセスであって、強力な手段であることは疑いようがない。(実際、僕はこの「言語化”術”」に触れたくて、本書を手に入れたのだ。)
でも、本当の目的はきっと、序章で語られた「自分の言葉の力を信じること」にある。
だから、僕が思う「言語化する力」とは、「言葉を武器として扱う力」であって、その真髄は「自分の言葉の価値を信じる力」だ。
言語化の力 -言葉の使い方
一旦、話を『言語化力』という言葉そのものへ戻したい。
ここまでは「〇〇力」とは「〇〇する力」という視点で、「言語化するための力」に注目してきた。
でも、世の中には「▲力」というものもたくさんある。
例えば「筋力」。
例えば「財力」。
これらはそれぞれ「筋肉の力」、「財産の力」だ。
ならば、「言語化の力」、わかりやすく言えば、「"言語化すること"の力」があってもいいはずではないだろうか。
「言語化する力」が「言葉の作り方」なら、
「言語化の力」は「言葉の使い方/使われ方」だ。
「言語化」が僕たちにもたらすものとは、なんなのだろうか。
これについて触れているのは、主に序章と3章、4章だ。
言葉を変えることで、思考法を変えることで、結果を変えることができる。
-『言語化力』p53
言葉というのは危険なものでもある。
(中略)
言葉によって人は死ぬ。言葉によって人が生かされるということもある。本当だよ。
-『言語化力』p206
この言葉を、信じてみてほしい。
そこから、あなたの人生が始まるはずだ
-『言語化力』p278
自分や誰かの言葉を信じることで、ものごとの結果が変わるし、
一つの言葉が、自分や誰かを変えてしまうかもしれないし、
僕たちの世界は、僕たちの言葉によって作られる。
たぶんそれが、「言語化の力」だ。
そしてこれはきっと、「言葉の力」そのものだ。
おわりに
『言語化力』という言葉の意味について長々と考えてきたけれど、結局、いまの僕にとっての『言語化力』とは、「”言葉の力”を信じる力」だ。
いまの僕にとっての『言語化力』は、他の誰とも違っていたって構わないし、明日や来年、10年後の僕自身と違っていても構わないはずだ。
最後に、この感想文のタイトルについて触れておきたい。
『言語化力 vol.2』というタイトルについてだ。
この”vol.2”は「『言語化力』の続編が出たよ!」という意味では、当然、ない。
三浦さんの次回作が発刊されるなら僕は必ず買うだろうが、残念ながら今は違う。
僕が『言語化力』の感想文を書くのは2回目だ。だからvol.2とした。
ちなみに、1回目を書いたのは昨日だ。
昨日、感想文のおわりに、偉そうにこんなことを書いた。
いつかまた、いつかの僕のために、この本の内容を言語化し直す日が来るのだと思う。
”言語化し直す日”は、”いつか”などと言わず、翌日にやってきた。
昨日の僕が書いた文章が、今日の僕にはなんだかしっくりこなかったから。
1日で書き直しをすることになったなんて恥ずかしいし、いっそのこと昨日の感想文を削除してしまおうかと思ったが、踏みとどまった。
「あの感想文を残しておくことが誰かの役に立つ」なんてことは少し考えづらいけど、昨日の僕があそこに吐き出した言葉が、いつかの自分には役立つのかもしれない。
そんな可能性を信じる勇気をくれたのは、本書。
『言語化力』だ。
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