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日記のような、びぼーろくのような 『2024.12.06 門松づくりで考える』

正月に家や店舗の門前などに立てられる『門松』は、年に一度、古来日本人を日本人として強く意識させる竹や松を用いた正月飾りである。
私たちの先祖は木の梢に神が宿ると考え、門松は歳神を家に迎え入れるための依り代(よりしろ)とし、歳神はこの門松を目印に降臨すると考えられたのであった。
ちなみに、この歳神はここ大原野灰方に鎮座する大歳神社の主祭神でもある。

「松は千歳を契り、竹は万歳を契る」と言われ、非常に縁起の良い飾り物なのがこの門松である。
美味で名の高い白筍の産地であるこの大原野でも古くから門松作りは盛んであった。
門松用の竹の伐採は、その頃は当たり前の竹林整備となり、農閑期の農家の副収入にもなったのである。

私たちは、荒廃放置竹林の伐採後の原竹の利用方法を模索するなか、この門松に行き当たったのである。京都はまだまだ門松を大切にする民家や商店、飲食店が多い、この時期に門松を製作・出荷する専門業者から発注を受けて、門松用部材を毎年納品させてもらっている。
今年は門松580対(1,160基)分の竹材となる40,000本の竹部材の納品を済ませることができた。
部材は2尺門松用(約30cm)から6尺門松用(約45cm)と、さまざまなサイズである。それに合わせて青竹を伐り、割って部材として形成させていく。
男たちが竹林に入り原竹を伐り出し、丸鋸で刻む、それを割ってナタで節を落とし成型していくのは女たちの役目なのである。

大原野の女性たちはよく働く、そしてよくしゃべる。
元気なお母さんたちは、この地の農家の女性であり、地元の洛西ニュータウンなどから通って来る主婦であったりする。多くの女性に手伝ってもらい、ここ大原野地区の荒廃放置竹林の整備にも寄与してもらうのである。
皆にこの作業の意義を考えてもらい、出荷していく竹材を見て達成感を感じてもらうことで、さらにそれを未来に続けていけるのである。
それにしても、このNPO事務所の作業場に集まる女性たちはよく働く。
そしてよく働き、手を止めることなく、よくしゃべる。その内容は家族の事や地元の話題から政権与党の話までと話題は盛り沢山で尽きることは無い。10時には休憩をし、お茶を飲みながらまた話をする。その後皆さんご自身の都合で昼前や午後に帰っていく。皆さん主婦であり、帰れば本業が待っている。
そのパワーの原動力はこんな『おしゃべりタイムなのか』と思ってしまう。
この女性たちがいなければ、門松づくりはできない。男たちは皆、彼女たちを頼りにしているのである。


門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし

これは「とんち小坊主の一休さん」こと一休禅師が詠んだ歌である。
年に一度必ずやってくる正月は、一年また「あの世」に近づいたってことだと、さりげなく教える歌である。
毎年の門松づくりを通して年末を感じ季節を感じることは、現代を生きる私たちにとって欠けてしまった何かを感じることができる非常に重要なこととも思える。
こんなことも私たちNPO法人京都発・竹・流域環境ネットは伝えていければいいと思っている。
年末12月22日、日曜ボランティアで『ミニ門松づくり』も予定されている。竹を知り、荒廃放置竹林の現状を知ってもらい、私たちの先輩たちが残してくれた文化を感じてもらいたい。
そして、「ああ、歳の暮れがやって来たな」と当たり前に感じる日本になって欲しいと思う次第である。

時にはお母さんたちに教えられながら男たちも手伝います。温かな時間がいつも流れています。



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