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早稲田大学大学院夜間MBA受験時のエッセイを全文公開します!

このnoteはプロ専業主婦1年目の私が早稲田大学大学院経営管理研究科(夜間MBA)受験までの道のりや学生生活、仕事と育児の両立、人事のお仕事などについてつらつらと書き連ねているものです。
今回は大サービス?受験時の書類(エントリーシート)を全公開します。

用意したもの

以前ご紹介したように、私は早稲田大学大学院と一橋大学大学院の2校に出願しましたが、情報収集段階では慶應義塾大学大学院、青山学院大学大学院、中央大学大学院辺りも調べました。文字数等の一部ズレはあるもののどの学校もだいたい以下3点を用意することが求められます。

  • 職務経歴/今まで何をしてきたか

  • 志望動機/なぜ入学したいのか

  • 研究計画/どう学び、どう活かしたいのか

私は以上3本の骨子をそれぞれ2,000文字程度で作成し、各校の出題の表現や文字数に合わせてカスタマイズして提出することにしました。

エッセイ全文

なかなか本番で提出した資料が無料で全公開されていることも少ないかと思いますが、ここでは早稲田大学経営管理研究科に提出したエントリーエントリーシートを丸々公開しちゃいます。ほぼ全文です。

※注意事項
・私の場合、すでに過去実名でインタビュー及び登壇時にお話しているエピソードと重複するため機密事項や当時の所属企業への不利益はないものと判断し公開しています。
・提出原稿そのものではなく、一部文言や表現を調整する前の最終調整段階の原稿です。
・本文の全部または一部を著作者に断りなく無断で複製・転載はしないでください。
・今後何らかの事情により非公開にする可能性もあります。その際はご了承ください。

受験を志しているもののどんなこと書けばいいのかわからずお困りの方、まだ受験までリアルに考えられていないけどちょっとだけ覗いてみたいという方、すでに合格されて(卒業されて)いるが同級生のレベル感ってどんなもんだったんだろうと今さら気になっている方等の参考になれば幸いです。


【2022年度冬入試】早稲田大学大学院経営管理研究科夜間主総合コース提出書類(エッセイ3本)

1.これまでの実務経験(または実務に相当する経験のなかで成し遂げたこと、および現在(離職中の方は直近)の担当業務に関する詳細(職務・職責・業績等)について説明してください。1000文字以内

私が実務経験の中で成し遂げた最大の実績は、現在勤める株式会社マクアケ(以下、当社)において、人事・品質保証担当として約2年で社員数を3倍に成長させ、IPOの達成に貢献したことである。私が取り組んだ具体的な職務は以下の3点である。
①採用による管理基盤の強化
当社は購入型クラウドファンディングを主業とした株式会社サイバーエージェントの上場子会社である。当社が上場する際、同業態の東京証券取引所における上場審査は前例がなかった。そのため、上場にあたって我々には高いハードルが課され、それを乗り越えるためには各部門における人材強化は必須条件であった。
しかしながら、本上場は親会社のインサイダー情報にあたるため、その情報を求人時に公開することができず、上場請負人を大々的に確保することはできなかった。そのため、情報開示の制約を受けながら、必要な人材の探索活動を地道に続け、同時並行で採用後の教育を施すことで上場に耐えうる組織体制を構築したのである。

②審査実務の実行
当社事業はプラットフォーマーとして、販売前のプロダクトに対してサポーターから資金を募り、資金化された後に実行者がプロダクトを提供するというものである。そのため、基本的にプロダクトは新規性が高く、その品質や供給体制を保証することは容易ではない。上場にあたっては品質担保のための厳格な審査体制の構築が必要であった。
しかしながら、当時の当社には品質保証部門が存在しておらず、私は担当として部門の立ち上げとともに審査体制の確立に従事した。最も骨が折れたのは審査フローの作成である。作成には各種法令の理解が前提として必要であったが、私を含め社内に精通したメンバーがおらず一から関連知識を学び積み重ねるように作り上げた。上場に要求される水準はクリアできたものの今もなおブラッシュアップは継続している。

③人事業務の内製化
上場前の当社は人事業務を含む管理業務の多くを親会社に依存していた。独立性の観点から、私は人事業務の内製化に務め、各種規程作成から給与計算等の実務、衛生委員会の設立等、親会社に依存していた業務を全て作り替えた。

上場後、私は人事・品質保証管掌の執行役員の任を受け、現状は上記3点の業務を軸に事業拡大に耐えうる経営全般の体制づくりに従事している。管掌部門だけでなく、経営ビジョンの達成に向けて全社最適の視点で日々の経営判断を行っている。

筆者作成2022年1月提出書類より抜粋


2.あなたのキャリアゴールを具体的に設定してください。それをどのように達成しますか?当研究科における学習・研究その中でどのような意味を持ちますか?500文字以内

私のキャリアゴールは、当社の経営陣として、消費者の潜在需要を形にし、社会にイノベーションや豊かさを提供することである。当社のビジョンは「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」である。当社が展開する事業は、資金調達のみがバリュープロポジションと理解されがちであるが、当社バリューの本質は、ファイナンス機能だけでなく消費者のインサイトを発掘し、企画段階の実行者が早期に需要を獲得できることにあると考えている。ともすれば埋もれていた技術や眠っていたアイデアを、当社のプラットフォーマーとしてのファイナンス、マーケティング、PR機能により具現化したい。
当社がこれまで以上に実行者のサポートや消費者の潜在需要喚起に寄与するためには、経営の意思決定に関わる私自身が、現場での実践的な経験だけでなく、経営に必要な多角的な知識と論理的な思考能力を一層高める必要がある。
貴研究科における私自身の研鑽は、当社だけでなく社会に還元できるものと確信している。

筆者作成 2022年1月提出書類より抜粋


3.当研究科におけるあなたの志望プログラムへの期待と入学後に予定している研究テーマについて以下の項目に言及したうえで具体的に述べてください(テーマ/当該テーマに取り組もうと考えた理由・課題・仮説)1000文字以内

私は貴研究科に対して、熟練した講師陣による体系的かつ手触り感のある講義と、優秀な仲間とともに研究に専念する学習環境を期待している。貴研究科は、人事・組織における専門分野に精通した講師陣が在籍するだけでなく、アントレプレナーシップや技術経営をはじめとする先進的な研究を行っており、後述するテーマの研究志望を持つ私にとって、最適な学びの場になると考える。
また、私が晴れて貴研究科に入学できた際には、「成長企業における要員計画の最適化」の研究を行いたいと考えている。理由は、以下の3点である。

①当社のようなITを軸としたスタートアップ企業の最大の成長ドライバーは、人員であると考えている。有形の大型設備投資を必要としない当社にとって、要員計画の最適化は最大の経営課題といっても過言ではない。特に足元においては、新型コロナウイルスの世界的流行によって、消費者の中で急激な行動変容が生じており、ニーズの変化に柔軟かつ迅速に対応するための人員配置が事業成長の肝になることを痛切に感じている。自身が人事担当であることもあり、経営課題に直結する本テーマを是非研究課題にしたい。

②要員計画は多角的なアプローチで検討するのが効果的であるという仮説を持っており、独学ではなく大学院において研究したい。
要員計画は量と質とタイミングの観点で検討すべきと考えているが、これらは企業のステージやビジョンによる相対性が働くものである。そのため、通り一遍の教科書的な学びだけでは不十分と考えており、実例を通して可能な限り汎用的な研究を行いたい。その点、豊富な経験を有する有識者と様々なバックグラウンドを持つ異業種の同志とともに学ぶことが可能な貴研究科は、本研究を行ううえで最適の場である。

③本研究テーマは、当社の人事戦略において活用することで、短・中期的に実証が可能である。当社の人事担当役員である私にとって 、要員計画はまさに目の前にある不可避の課題である。当社事業をブレイクスルーさせるためには、大胆かつ迅速な戦略の実行が必要であり、学びと並行して実践する必要に迫られている。
加えて、プラットフォーマーである当社が、これを先行事例として確立できた暁には、当社を活用する実行者やその他の同じ悩みを持つスタートアップにも展開したい。それが、当社事業の発展、ひいては社会全体への還元に繋がるものと確信するためである。

筆者作成 2022年1月提出書類より抜粋

作成時の注意事項

入試のエッセイに限らず、面接の応募書類、論文においても気をつけなければならない注意点は、自分の頭の中で考えていることや経験してきたことは想像以上に初見の人には伝わらない、ということです。
思いが溢れてしまうと、自分しか分からない前提情報や何故そう考えたかのロジックが抜けてしまいがちです。兄と夫に何度も壁打ちし、私の業務や経験を知らない人が見てもこの文字数でシンプルに何をしてきて何を考えている人か理解できるかというところを重点的にアドバイスしてもらいました。

今思うこと

しかしまあ改めて読むと恥ずかしい…。でもこれは当時本心で思っていたことであり、経歴も含めて、面接でボロが出ないように極力盛らずに書いたつもりです。今見ると突っ込みたいところがたくさんありますが、まっすぐさと熱意は評価してもらえたのかなと思っております。

ただ、特に3の研究計画に該当するところ、イケてないですね。全然イケてない!研究テーマとして全く面白くない。
これが自社の成長に対する課題と思っているところが視点が狭かったのでしょうね。要因計画の立て方のテクニック的なものを補えればいいと思っていたなんて。甘い。

確かに入学前、自分自身の問いの立て方には疑問を感じておらず、とにかくこの問いを解決するための手法が知りたい!WBSで学べば知れるはず!と思っていました。

これが浅かったんです。
2年間を通して一番学んだのは問いの立て方です。自分自身が問題と思っていることは果たして本当に問題なのだろか。もっと本質的なところを見落としていないか。(実際に書き上げた修士論文も全く違うテーマです)

この思考は仕事だけでなく自身のキャリアの築き方、これからの生き方の選択の全てに影響を与えてくれました。まだまだ修行の身ではありますが色んな意味で生きやすくなった気がします
とはいえ、こんな志を持っていたのに退職してプロ専業主婦(見習い)になっていることは少し不甲斐ないというか、胸が痛いです。

次回以降、このエッセイを元にどんな質問がなされたのか、面接についても公開しようと思います。

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Megumi Sakamoto
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